ネイト・ウーリー+ケン・ヴァンダーマーク『All Directions Home』(Audio Graphic Records、2015年)を聴く。
Nate Wooley (tp)
Ken Vandermark (B♭ cl, bcl, ts, bs)
クラ2本にサックス2本、音域が幅広く、堂々として押し出しの強いケン・ヴァンダーマーク。立派でいて、ケレン味があるのかないのかよくわからないのだが、とにかくヘンな音も含めて重い球を投げ込んでくる。まるでヤンキースの「ロケット」ことロジャー・クレメンスである。
それに対して、地面すれすれを浮いているようなイメージを抱かせるネイト・ウーリー。地球への引っ張られ方がヴァンダーマークとずいぶん違うのではないのか。
そんなわけで、この対照的にも思えるふたりのデュオは聴けば聴くほど味が出てくる。いや、面白いな。前作『East by Northwest』(Audio Graphic Records)は、まるでふたりの間合いと技の探り合いで、それはそれで面白かったのだが、音のあちこちのキャラが立っている新作のほうが好みである。
Nate Wooley (tp)
Ken Vandermark (cl, ts, bs)
●参照
ネイト・ウーリー『(Dance to) The Early Music』(2015年)
ネイト・ウーリー『Battle Pieces』(2014年)
ネイト・ウーリー『Seven Storey Mountain III and IV』(2011、13年)
ネイト・ウーリー『(Sit in) The Throne of Friendship』(2012年)
ネイト・ウーリー『(Put Your) Hands Together』(2011年)
ハリス・アイゼンスタット『Canada Day IV』(2015年)(ウーリー参加)
ポール・ニルセン・ラヴ+ケン・ヴァンダーマーク@新宿ピットイン(2011年)
ペーター・ブロッツマンの映像『Concert for Fukushima / Wels 2011』(2011年)(ヴァンダーマーク参加)
ペーター・ブロッツマンの映像『Soldier of the Road』(2011年)(ヴァンダーマーク登場)
4 Corners『Alive in Lisbon』(2007年)(ヴァンダーマーク参加)
スクール・デイズ『In Our Times』(2001年)(ヴァンダーマーク参加)