Sightsong

自縄自縛日記

スティーヴ・コールマン+デイヴ・ホランド『Phase-Space』

2017-01-14 12:22:29 | アヴァンギャルド・ジャズ

スティーヴ・コールマン+デイヴ・ホランド『Phase-Space』(DIW、1991年)を聴く。

Steve Coleman (as)
Dave Holland (b)

もちろんデイヴ・ホランドのグループにスティーヴ・コールマンが在籍していたことは知っているし、何枚かは愛聴もしていたのだけれど、このふたりのデュオがあったとは迂闊にも知らなかった。

聴いてみると、期待した通り、最高である。たとえばクインテットなどで、時間の進行に負けないように、煽り煽られるように演奏するのとは異なる。これはデュオであり、時間の流れはふたりの呼吸によって決まってゆく。弛緩も緊張もある。

デイヴ・ホランドはいつものコントラバスによる華麗なダンス、スティーヴ・コールマンは自ら切り拓いてきたスタイルの抽象的なフレーズ。それは他の作品と同じではあるのだが、驚いたのは、バンキー・グリーンの曲「Little Girl I Miss You」。ずいぶんと情緒的でメロディックなソロを、コールマンが吹く。絶品なのだ。こんなことも余裕でできるのか。

●スティーヴ・コールマン
スティーヴ・コールマン『Invisible Paths: First Scattering』(2007年)
シンディ・ブラックマン『A Lil' Somethin', Somethin'』(1980年代後半~90年代前半)

●デイヴ・ホランド
『Aziza』(2015年)
デイヴ・ホランド『Prism』(2012年)
デイヴ・ホランド+ペペ・ハビチュエラ『Hands』(2010年)
デイヴ・ホランドの映像『Jazzbaltica 2003』(2003年)
ケニー・ホイーラー+リー・コニッツ+デイヴ・ホランド+ビル・フリゼール『Angel Song』(1996年)
デイヴ・ホランド『Dream of the Elders』(1995年)
カール・ベルガー+デイヴ・ホランド+エド・ブラックウェル『Crystal Fire』(1991年)
デイヴ・ホランド『Conference of the Birds』(1973年)


アクセル・ドゥナー+オッキュン・リー+アキム・カウフマン『Precipitates』

2017-01-14 10:26:39 | アヴァンギャルド・ジャズ

アクセル・ドゥナー+オッキュン・リー+アキム・カウフマン『Precipitates』(TROKAAN、2011、13年)を聴く。

Axel Dorner (tp)
Okkyung Lee (cello)
Achim Kaufmann (p)

緑青を吹いた銅箔が直接貼り付けてある、奇妙なつくりのジャケット。しかしサウンドはもっと奇妙である。

冒頭、アキム・カウフマンが響かせるピアノの棘があり、それとともに、音の旅がはじまる。三者の役割は時々刻々と変貌してゆく。アクセル・ドゥナーのトランペットとオッキュン・リーのチェロ、ふたりの発する「こすれ」が空中で衝突したり、交じり合ったり、お互いの身体を入れ替えたり。うっかりするとどの音がドゥナーでどの音がリーなのか混乱してしまう。

それに棘を投げ込むのがカウフマンのピアノであり、ほんらいトランペットやチェロとは音の質がまるで違うはずなのに、どういうわけかかれのピアノも擬態して絡み合う。

●アクセル・ドゥナー
「失望」の『Vier Halbe』(2012年)
アレクサンダー・フォン・シュリッペンバッハ『ライヴ・イン・ベルリン』(2008年)
アクセル・ドゥナー + 今井和雄 + 井野信義 + 田中徳崇 『rostbestandige Zeit』(2008年)
『失望』の新作(2006年) 

●オッキュン・リー
オッキュン・リー+ビル・オーカット『Live at Cafe Oto』(2015年)
エヴァン・パーカー ElectroAcoustic Septet『Seven』(2014年)
エヴァン・パーカー+オッキュン・リー+ピーター・エヴァンス『The Bleeding Edge』(2010年)
オッキュン・リーのTzadik盤2枚(2005、11年) 


喜多直毅・西嶋徹デュオ@代々木・松本弦楽器

2017-01-14 08:56:35 | アヴァンギャルド・ジャズ

代々木の松本弦楽器さんに足を運び、喜多直毅・西嶋徹デュオ(2017/1/13)。マンションの一室であり十数人も入れば満員。贅沢にも、わたしは楽器調整の作業机から観た。

Naoki Kita 喜多直毅 (vln)
Toru Nishijima 西嶋徹 (b)

はじまりの曲は、なんとブリジット・フォンテーヌ「ラジオのように」。この、挑発的に囁き呟くブリジットの声が、喜多さんのヴァイオリンから不協和音とともに発せられ、驚かされてしまう。

そして、映画『めぐり逢う朝』において使われた古楽や、喜多さんのオリジナル「焦土」の一部、また、西嶋さんのオリジナル「千鳥の空」や「凩」も演奏された。「凩」においては、西嶋さんのコントラバスに対して、まるで弦をさほど弾いていないのに胴が大きく共鳴するような不思議な感覚を抱いた。また「千鳥の空」においては、喜多さんのヴァイオリンが、旋律を往還しながらサウンドを盛り上げていって見事だった。

最後は、チャーリー・ヘイデンの「Old Spanish Love Song」。ヘイデンの曲にはいつも惹きこまれる。

Nikon P7800

●喜多直毅
喜多直毅 Violin Monologue @代々木・松本弦楽器(2016年)
喜多直毅+黒田京子@雑司が谷エル・チョクロ(2016年)
齋藤徹+かみむら泰一、+喜多直毅、+矢萩竜太郎(JazzTokyo)(2015-16年)
うたをさがして@ギャラリー悠玄(2015年)
http://www.jazztokyo.com/best_cd_2015a/best_live_2015_local_06.html(「JazzTokyo」での2015年ベスト)
齋藤徹+喜多直毅+黒田京子@横濱エアジン(2015年)
喜多直毅+黒田京子『愛の讃歌』(2014年)
映像『ユーラシアンエコーズII』(2013年)
ユーラシアンエコーズ第2章(2013年)
寺田町の映像『風が吹いてて光があって』(2011-12年)
『うたをさがして live at Pole Pole za』(2011年)