クリス・ピッツィオコス日本ツアーの最後は、秋葉原GOODMANでの怪獣との共演(2017/9/30)。
Chris Pitsiokos (as)
Tatsuya Yoshida 吉田達也 (ds)
Junji Hirose 広瀬淳二 (ts)
JOJO Hiroshige JOJO広重 (g)
Dairo Suga スガダイロー (p)
いやー、なんだこの人たちは。リハーサルのときからただならぬ雰囲気を発散していたが、本番は当然ながら剛球の投げ合いであり予断を許さない。組み合わせは直前に協議して決めていた。期待で胸がふくらみまくる。
結果として、以下の組み合わせとなった。ただ決めても、クリスはステージ上で「Who's Next?」と待ちきれないように言う。
ファーストセット
1. Chris 広瀬
2. 吉田 スガ JOJO
3. Chris スガ 広瀬
4. Chris JOJO 吉田
5. Chris 吉田
セカンドセット
6. Chris
7. Chris スガ
8. 日本人全員
9. Chris JOJO
10. Chris 吉田 広瀬
アンコール 全員
それぞれに面白さと刺激があった。
この爆音の面々の前でスガダイローのピアノが消えないだろうかと懸念したのだが、いやとんでもない、高低を絶えず往還しての攻撃を行い、ときに怪獣軍団のサウンドを鮮やかに主導したりもして、驚くほどの存在感を示した。
広瀬淳二はクリスと同等以上に伍して、ヘンな音を出しまくっていた。パワープレイでの競奏時にもそうだった。またテナーの横に貼りつけた発砲スチロールを擦ったりもした。クリスはその様子を横で視て、嬉しさを隠そうともしなかった。
JOJO広重。始まる前には、このメンバーの中で音が埋もれないかとも思えたのだが、スガさんと同じく、そんなことはないのだった。9曲目のクリスとのデュオではサウンドを持ち上げたままで着地させず、クリスはそれに対して高音のロングトーンで応じた。朦朧とした。
この傾奇ながらの抜きつ抜かれつの爆走。なるべく奇怪な貌を見せんとするメンバーに対して、クリスは多彩な技で呼応した。微分音破裂音、唾をミストとしてスパーク。バップ的ブルース的なフレーズ。間合い、ストップ・アンド・ゴー。息遣いの増幅。マウスピースを外しての口笛。倍音のらせん、循環呼吸。痙攣。5曲目のデュオでは持ち込んだ楽譜をもとにクラスター的な「曲」もやった。このキメラ性がかれの持ち味か。
終わってからクリスはテンションが高いまま上機嫌、来年も自分のバンドで来たいと口にした。
Fuji X-E2、XF60mmF2.4、XF35mmF1.4
●クリス・ピッツィオコス
クリス・ピッツィオコス+ヒカシュー+沖至@JAZZ ARTせんがわ(JazzTokyo)(2017年)
CPユニット『Before the Heat Death』(2016年)
クリス・ピッツィオコス『One Eye with a Microscope Attached』(2016年)
ニューヨーク、冬の終わりのライヴ日記(2015年)
クリス・ピッツィオコス@Shapeshifter Lab、Don Pedro(2015年)
クリス・ピッツィオコス『Gordian Twine』(2015年)
ドレ・ホチェヴァー『Collective Effervescence』(2014年)
ウィーゼル・ウォルター+クリス・ピッツィオコス『Drawn and Quartered』(2014年)
クリス・ピッツィオコス+フィリップ・ホワイト『Paroxysm』(2014年)
クリス・ピッツィオコス『Maximalism』(2013年)
●吉田達也
RUINS、MELT-BANANA、MN @小岩bushbash(2017年)
デレク・ベイリー+ルインズ『Saisoro』(1994年)
●広瀬淳二
広瀬淳二+今井和雄@なってるハウス(2017年)
広瀬淳二+中村としまる+ダレン・ムーア@Ftarri(2017年)
広瀬淳二+今井和雄+齋藤徹+ジャック・ディミエール@Ftarri(2016年)
広瀬淳二『SSI-5』(2014年)
広瀬淳二+大沼志朗@七針(2012年)
広瀬淳二『the elements』(2009-10年)
●スガダイロー
纐纈雅代『Band of Eden』(2015年)
秘宝感とblacksheep@新宿ピットイン(2012年)
『秘宝感』(2010年)