ベン・ウィートリー『ハイ・ライズ』(2015年)を観る。何しろJ・G・バラード作品の映画化であり観たかったのだが公開期間も短く逃してしまっていた。amazonのプライムビデオにあった。
閉ざされた世界のような高層マンション。セレブはもはやモラルなど持っておらず本能のはけ口を探している。この帝国で、ヒエラルキーがあるために乱痴気騒ぎと狂気と殺し合いが歯止めなく暴走する。
正直言ってどうも面白くない。バラードのテキストの合間にある想像力のポケットが、この映像にはないためか。リミッターを超えたときに笑ってしまうユーモアもない。最終的に落ち着くところはテクノロジーの中の原始的なコミュニティであり、それはバラード的で良いのだが、それをマーガレット・サッチャー流の資本主義とシニカルに結び付けようとしたところも上滑り。
●J・G・バラード
J・G・バラード自伝『人生の奇跡』(2008年)
J・G・バラード『楽園への疾走』(1994年)
J・G・バラード『ヴァーミリオン・サンズ』(1956-70年)