Sightsong

自縄自縛日記

DDKトリオ+齋藤徹@下北沢Apollo

2018-04-11 23:49:06 | アヴァンギャルド・ジャズ

下北沢のBar Apolloにおいて、DDKトリオ(2018/4/10)。齋藤徹さんがゲストとして加わった。

Jacques Demierre (p)
Axel Dorner (tp)
Jonas Kocher (accordion)
Tetsu Saitoh 齋藤徹 (b)

2日前のFtarriにおいては鍵盤の右端を鳴らして始めたジャック・ディミエール(そして最後には左端で締めた)。この日は、初めに鍵盤の前面を左右に撫でてリズムを創出した。Ftarriと同じくアップライトピアノの内部をむき出しにして、可動部や弦を撫で、弾く。弦に口を近づけて息を吹きかけて音を出しもする。また、ペダルにより内部をパーカッションとして使い、いきなり祝祭感が訪れる。驚くべき人である。グランドピアノの場合にどのような振る舞いを見せるのか興味もある。

アクセル・ドゥナーは素晴らしいテクニックで、循環呼吸にて音を鳴らしたり息を鳴らしたり。あらゆることができるのだろう、視ているだけで惚れぼれしてしまう。そしてヨナス・コッハーは、鋭く折れようもない単音を残響として鳴らし、ときに鋭角的に大きな音を出して斬り込んてゆく。

かれらの演奏はひとつひとつが選ばれ、同時に遊んでもいた。無音の時間が多く作られたのだが、そこには、耐える感覚も苦しい感覚も、また作為的な感覚も皆無だった。

セカンドセットには齋藤徹さんが入った。ファーストセットのあと、抽出して研ぎ澄まされた音のビーム群に対してテツさんの幅広い音の叢が果たしてマッチするのだろうかと思えたのだが、それはくだらぬ想像だった。ずざざというノイズと倍音がテツさんのコントラバスから発せられると、DDKの3人は、執拗に和音、倍音でまた異なるサウンドを創り出した。またその結果なのか、無音の時間は少ない構造となった。さすがだった。

ディミエールの提案で、短い追加演奏がなされた。小さい何者かの種が急成長して破裂に至るようなイメージが浮かんだ。テツさんは足踏みもした。

Fuji X-E2、XF35mmF1.4

●アクセル・ドゥナー
DDKトリオ@Ftarri(2018年)
アクセル・ドゥナー+村山政二朗@Ftarri(2018年)
PIP、アクセル・ドゥナー+アンドレアス・ロイサム@ausland(2018年)
「失望」の『Lavaman』(2017年)
「失望」の『Vier Halbe』(2012年)
アクセル・ドゥナー+オッキュン・リー+アキム・カウフマン『Precipitates』(2011、-13年)
アレクサンダー・フォン・シュリッペンバッハ『ライヴ・イン・ベルリン』(2008年)
アクセル・ドゥナー + 今井和雄 + 井野信義 + 田中徳崇 『rostbestandige Zeit』(2008年)
『失望』の新作(2006年) 

●ジャック・ディミエール
DDKトリオ@Ftarri(2018年)
広瀬淳二+今井和雄+齋藤徹+ジャック・ディミエール@Ftarri(2016年)

●ヨナス・コッハー
DDKトリオ@Ftarri(2018年) 

●齋藤徹
齋藤徹+喜多直毅@板橋大山教会(2018年)
齋藤徹+喜多直毅+外山明@cooljojo(2018年)
かみむら泰一+齋藤徹@本八幡cooljojo(2018年)
齋藤徹+喜多直毅+皆藤千香子@アトリエ第Q藝術(2018年)
2017年ベスト(JazzTokyo)
即興パフォーマンス in いずるば 『今 ここ わたし 2017 ドイツ×日本』(2017年)
『小林裕児と森』ライヴペインティング@日本橋三越(2017年)
ロジャー・ターナー+喜多直毅+齋藤徹@横濱エアジン(JazzTokyo)(2017年)
長沢哲+齋藤徹@東北沢OTOOTO(2017年)
翠川敬基+齋藤徹+喜多直毅@in F(2017年)
齋藤徹ワークショップ特別ゲスト編 vol.1 ミシェル・ドネダ+レ・クアン・ニン+佐草夏美@いずるば(2017年)
齋藤徹+喜多直毅@巣鴨レソノサウンド(2017年)
齋藤徹@バーバー富士(2017年)
齋藤徹+今井和雄@稲毛Candy(2017年)
齋藤徹 plays JAZZ@横濱エアジン(JazzTokyo)(2017年)
齋藤徹ワークショップ「寄港」第ゼロ回@いずるば(2017年)
りら@七針(2017年)
広瀬淳二+今井和雄+齋藤徹+ジャック・ディミエール@Ftarri(2016年)
齋藤徹『TRAVESSIA』(2016年)
齋藤徹の世界・還暦記念コントラバスリサイタル@永福町ソノリウム(2016年)
かみむら泰一+齋藤徹@キッド・アイラック・アート・ホール(2016年)
齋藤徹+かみむら泰一、+喜多直毅、+矢萩竜太郎(JazzTokyo)(2015-16年)
齋藤徹・バッハ無伴奏チェロ組曲@横濱エアジン(2016年)
うたをさがして@ギャラリー悠玄(2015年) 
齋藤徹+類家心平@sound cafe dzumi(2015年)
齋藤徹+喜多直毅+黒田京子@横濱エアジン(2015年)
映像『ユーラシアンエコーズII』(2013年)
ユーラシアンエコーズ第2章(2013年)
バール・フィリップス+Bass Ensemble GEN311『Live at Space Who』(2012年)
ミシェル・ドネダ+レ・クアン・ニン+齋藤徹@ポレポレ坐(2011年)
齋藤徹による「bass ensemble "弦" gamma/ut」(2011年)
『うたをさがして live at Pole Pole za』(2011年)
齋藤徹『Contrabass Solo at ORT』(2010年)
齋藤徹+今井和雄『ORBIT ZERO』(2009年)
齋藤徹、2009年5月、東中野(2009年)
ミシェル・ドネダと齋藤徹、ペンタックス43mm(2007年)
齋藤徹+今井和雄+ミシェル・ドネダ『Orbit 1』(2006年)
明田川荘之+齋藤徹『LIFE TIME』(2005年)
ミシェル・ドネダ+レ・クアン・ニン+齋藤徹+今井和雄+沢井一恵『Une Chance Pour L'Ombre』(2003年)
往来トリオの2作品、『往来』と『雲は行く』(1999、2000年)
齋藤徹+ミシェル・ドネダ+チョン・チュルギ+坪井紀子+ザイ・クーニン『ペイガン・ヒム』(1999年)
齋藤徹+ミシェル・ドネダ『交感』(1999年)
齋藤徹+沢井一恵『八重山游行』(1996年)
久高島で記録された嘉手苅林昌『沖縄の魂の行方』、池澤夏樹『眠る女』、齋藤徹『パナリ』(1996年)
ミシェル・ドネダ+アラン・ジュール+齋藤徹『M'UOAZ』(1995年)
ユーラシアン・エコーズ、金石出(1993、1994年)
ジョゼフ・ジャーマン