Sightsong

自縄自縛日記

バド・パウエル『At the Golden Circle』の5枚

2018-04-28 12:19:08 | アヴァンギャルド・ジャズ

バド・パウエルが1962年にストックホルムのゴールデン・サークルにおいて吹き込んだライヴ演奏5枚組、『At the Golden Circle』(Steeple Chase、1962年)をまとめて聴く。これまでつまむ程度だった。

Bud Powell (p)
Torbjörn Hultcrantz (b)
Sune Spångberg (ds)

vol. 1-3が4月19日、vol.4・5が4月23日。ベースとドラムスとは現地のプレイヤーであり、あまり目立つところはない。つまりバドを聴くためのアルバムである。ストックホルムだからといって、『In Paris』のように「Dear Old Stockholm」を弾くようなサービスはない。

通して聴いてみて、同日に演奏されたvol.2と3とが個人的な白眉だ。もう、驚くほどよれよれである。1964年の『In Paris』も酔っぱらっているようだが、それよりもよれよれである。vol. 2における「Like Someone in Love」は翌1963年にデクスター・ゴードン『Our Man in Paris』においてピアノトリオで演奏しており、諦めと悦びとがあい混じった和音が素晴らしいものだが、それよりも遅く、よれている。

だからこそのバドである。すべての感情を中に詰め込むようなことは誰にも真似ができない。61年も、この62年も、63年や64年も何とも言えず好きである。

●バド・パウエル
『Jazz in Denmark』 1960年代のバド・パウエル、NYC5、ダラー・ブランド(1960年代)
「3人のボス」のバド・パウエル(1961年)
穐吉敏子@Mezzrow(2015年)
サシャ・ペリー『eretik』(2005年)
アル・ヘイグ『A Portrait of Bud Powell』(1977年)