辺野古基地建設により沖縄のジュゴンの生育が脅かされることについての裁判(沖縄ジュゴン訴訟)の判決が出された(2007年1月24日)。
原告は日米両国の自然保護団体やジュゴンなど、被告は米国の国防総省とラムズフェルド国防長官(当時)、根拠法は米国の文化財保護法(NHPA)である。米サンフランシスコの連邦地方裁判所による判決は、国防総省のNHPA違反だった。ジュゴン保護を願い軍備強化に反対する人々にとって、明るいニュースだということになる。
米国の裁判所には、地方裁判所の上位に控訴裁判所、さらには最高裁判所があるため、これが最終的な決着ではない。従って、国防総省は今後控訴できるが、これはまだ決めていないようだ。 なお、2003年に提訴されたこの訴訟は、2005年3月2日、地裁による判決が下されてはいる。これはMHPAが沖縄のジュゴンに適用できるとした「入口論議」判決であり、今回の判決はその後の実質審理を経たものである。
私たちにとって、この判決が持つ意義は何か。
一、基地建設を違法とする根拠を知る。
二、当の米国ですら行き過ぎた権力への歯止め(司法)が存在することを知る。
三、日本の国内法との違いについて考える材料となる。
一と二については、『南の島の自然破壊と現代環境訴訟』(関根孝道、関西学院大学出版会、2007年)および今回の判決文をもとに整理する。三については難しいが、とりあえず考え始めてみようと思う。