日々のつれづれ(5代目)

旅行レポート以外の、細々としたこと。
割とまめに書くようにしています。
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【映画】アルピニスト

2022-08-02 20:00:00 | 本・映画・展覧会
 カナダ生まれのマーク・アンドレ・ルクレール、この無名のアルピニストを探し出し、信頼関係を築き、共に岸壁を登ることで緊張感あふれる映像を撮った本作の監督はピーター・モーティマーとニック・ローゼン。映画は、彼らのモノローグとマークほか現役アルピニスト、そして彼らを見守るベテランクライマー(ラインホルト・ メスナーも含まれる!)たちのコメントで構成される。もちろん、登山中の主人公をロングショットで撮った背景の、雄大な自然もふんだんに。

 作品は、監督がSNS等でマークを知り、コンタクトを試みるところから始まる。そして実際に会い、インタビューし、登っているシーンを撮る。圧巻はノーロープ(自己確保なし)で数百mのロッククライミング!ビビりな人、高所恐怖症の人、慎重派の人は正視できないと思う。ビルの狭間に渡したロープを綱渡りする男の映画「ザ・ウォーク」を上回る緊張感だ。本人より撮影する方がビビる。もし墜落死したら、その瞬間を撮ることになるのだからトラウマ必至だ。よく耐えて撮影したと思う。

 撮影を終えいよいよ編集となったところで、マークは予期せぬ行動を起こし、それが悲劇となる。カメラは、冷酷にもそこも捉えている。本来の脚本にない物語が加わることにより、綺麗に締め括られたように見えるのは皮肉だ。

 ここ数年で何冊も、山ヤや冒険家の本を読んだ。そのチャレンジがエスカレートしハードになるほど、生還率は低くなる。でもそれは仕方のないことで、無謀登山者の救出騒ぎとは別次元の話なのだと、ようやく理解できるようになってきた気がする。
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【写真展】中村貴史展 「幸せのひと時」

2022-08-02 06:00:00 | 本・映画・展覧会
 その前に観た上森清二氏の作品がいわば「公の記録」であったのと対照的に、隣のスペースで展示されている本展は「私の記録」である。愛娘だろう、幼女の生活を記録した親バカ写真展。

 長年の集大成ではなく、割と短い期間の記録ではないかと思われる。そのため、場面は食事や寝室、公園など色々あるが成長ぶりの記録とは言い難い。子供を持ち(あるいは持つ予定があり)、成長の記録を残すことに興味がある人が見れば、どういうシーンを記録するのか、どういう目線でカメラを向けるのか、参考になるに違いない。そうでない者にとっては、チラと見て「確かに、面倒なことも多そうだけど可愛いだろうねえ」くらいの感想に留まってしまうのではないか。展示点数があまり多くないため、飽きる前に観終えられて良かった。

 2022年7月23日 新宿・OM クリエイティブウォール にて
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【本】柳原三佳著 「遺品-あなたを失った代わりに」(晶文社)

2022-08-01 20:00:00 | 本・映画・展覧会
 母を火葬した翌日から、父は遺品の整理を始めた。まずは洗面台、そして居間や食卓のテーブル…目の付くところに母の物があると、見るたびに思い出して辛 いからだそうだ。自分はそれを冷たいとは思わないし、自分でもそうするだろうと思う。できれば半年、長くても一年で、母の遺品は基本的に全て処分すると言う父の意向は尊重したい。そして、自分は口を出さず、求められた時のみ関わろうと思う。そこは、任せると言うよりさせてやりたい、してもらいたいのだ。

 直近でそういう事があったため、図書館で偶然見つけた本書を借りた。内容はほぼ全てが、無謀運転等による交通事故で我が子を奪われた、親御さんたちが失ったお子さんの遺品とどう過ごしているかの話。高齢で、ある意味亡くなるべくして亡くなった我が母とは異なり、若く、何の過失もないのに人生を奪われてしまった人々の遺品は、それは遺された人々が持つ意味が違うのは当然と言える。

 どれほど自分が気をつけていても、事故に巻き込まれることがないとは言えない。それでも、とにかく親より先に死んで悲しませることはしたくないと、改めて思った。それと、加害者への刑罰が軽すぎるとも。人の人生を過失で奪っておいて、うっかりすれば10年もせずに社会復帰できるってのは間違ってる。母の遺品整理とは全く関係ない内容だったが、無駄だったとは思わない。

 2022年7月23日 写真ギャラリー巡りに移動中の電車にて読了
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【写真展】上森清二報道写真展 「私の写真年表、昭和・平成・令和」

2022-08-01 06:00:00 | 本・映画・展覧会
 7月23日、久しぶりに都内の写真ギャラリー巡りをした。新宿・銀座・品川の3地区で10の展示を見たので、順に感想を記録しておく。ちなみに、新宿で必ず寄っていた「リコーイメージングスクエア(旧PENTAXギャラリー)は3月で閉鎖されてしまっており残念。

 週刊文春~週刊新潮~国会取材というキャリアを持つカメラマンの個展。こういう人たちの写真で、フリーランスでない時代に撮った作品の著作権はどうなるんだろう?それはさておき。

 この手の写真でまず注目するのは被写体であり、報道写真であるので構図や露出、時には少々であればブレさえも二の次。時の人、話題の場所をどう記録するか。画面に緊迫感がある作品も少なくない。

 全てモノクロ、80点近い作品を一枚一枚見て、被写体が誰か確認する。タイトルの昭和とはせいぜい50年年代からであり、自分でも解る。展示パネルは写真だけだが、作品一覧が用意され、見比べながら進むことができる。まずはその紙を見ずに会場を一周、その上で紙と見比べながらもう一周した。結果、9割近い作品の被写体が誰か判った。同じ時代を生きてきたんだなと実感した。

 2022年7月23日 新宿・OM SYSTEM GALLERYにて
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