『断絶 ニュープリント版』 80点

断絶　ニュープリント版

1971年／アメリカ

ネタバレ

長距離レースの困難

総合 80点

ストーリー 0点

キャスト 0点

演出 0点

ビジュアル 0点

音楽 0点

　ザ・ドライバー（ジェイムズ・テイラー）、ザ・メカニック（デニス・ウィルソン）、ザ・ガール（ローリー・バード）とGTO（ウォーレン・オーツ）の４人だけで繰り広げられる本作は寓話のようにみえる。若いドライバーとメカニックはそれぞれ得意とする運転技術と頭脳を共有しあって路上レースに次々と優勝していく。彼らの親の世代であろうGTOは映画やテレビのカースタントを生業としており、彼らよりも経験はある。若いドライバーとメカニックはGTOにお互いのクルマを賭けてワシントンD.C.までのレースを挑むことになる。ドライバーとメカニックのタッグは生き残るため堅硬であったが、警官に検挙されたGTOを見捨てると思いきや、GTOが酔いつぶれている間に彼のクルマのアメリカ南部のナンバープレートの装備を手伝ったり、欠陥部品を取り替えたりと世話をしてくれる理由は、ライバルがいなくなれば勝負が出来なくなるからであろう。
　GTOは一人で運転しているためなのか、よくヒッチハイカーをクルマに乗せる。それは同性愛者であったり兵隊であったり、墓地に向かう老婆と幼い娘であったりと様々である。
　その３人の目の前に現れるのが、ザ・ガールであり、やがて３人はこの少女に翻弄されることになる。ヒッチハイカーであるガールは、最初、ドライバーとメカニックのクルマに同乗していたのであるが、クルマのことにしか興味を示さないような２人に飽きてしまい、GTOのクルマに乗ることになる。やがてレストランで食事をしていたGTOとガールにドライバーとメカニックが追いついて、話し合いが行なわれる。どこに向かうかを競い合っていた３人の話に全く興味がわかないガールは、たまたま同じレストランで食事をしていて、バイクで帰ろうとしていた若者の後を追いかける。しばらく外で話し合った後に、ガールはそれまで必ず持ち歩いていた荷物を置き去りにして、若者のバイクの後ろに乗って、旅立ってしまう。若者がどこに行くと言って、荷物を捨てさせてまでガールを魅了したのか分からないまま、どこへ向かっていけばいいのか分からない３人は、ただその有様を黙って見ているしかなかった。それはハリウッドを飛び出し、ニューヨークという当たりをつけていたものの、結局どこへ向かっていいのか分からないアメリカン・ニューシネマの立場そのものを暗示する。
　『断絶』のラストシーンに関しては『果てなき路』（モンテ・ヘルマン監督　２０１１年）で取り上げたい。

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