原題:『みをつくし料理帖』
監督:角川春樹
脚本:角川春樹/江良至/松井香奈
撮影:北信康
出演:松本穂香/菜緒/若林麻由美/浅野温子/窪塚洋介/小関裕太/藤井隆/中村獅童/石坂浩二
2020年/日本
日本の実写映画の環境の厳しさについて
ドリーによる横移動の撮影は流麗なのに、例えば、あさひ太夫の正体を清右衛門に告げ口した男を殴り倒して絞め殺そうとした又次を必死で止めた後、その男に啖呵を切る主人公の澪の場面で、その男の頭が中途半端に映っていたり、あるいは澪があさひ太夫に関して書くかどうか清右衛門相手に料理の腕前で賭けをすることになり、食べ終わった清右衛門が立ち上がった場面で、清右衛門の上半身が映らなくなるなど、「上下」のカメラワークが拙いのは何故なのか疑問が湧かないことはないものの、それでも本作はストーリーの揺るぎなさによって傑作のように見えるのだが、本作が大ヒットしないという事実が日本の実写映画の環境の厳しさを物語ってしまっている。