MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『おらおらでひとりいぐも』

2020-11-15 23:54:08 | goo映画レビュー

原題:『おらおらでひとりいぐも』
監督:沖田修一
脚本:沖田修一
撮影:近藤龍人
出演:田中裕子/蒼井優/東出昌大/濱田岳/青木崇高/宮藤官九郎/田畑智子/鷲尾真知子
2020年/日本

孤独を伴わない自由について

 主人公の桃子は75歳の未亡人で、息子と娘は家を出ているために一人で暮らしている。図書館に行っては図鑑を借りて独自に地球の歴史ノートを執筆しており、顔なじみの図書館の司書に一緒に太極拳などしないかと誘われるのであるが、誰ともつるむつもりはなく、病院に行っても待合室で他人と世間話をするということもない。
 周造との結婚は自分の方が積極的だったはずだが、それは自由を代償にしたものだったのか、あるいは夫が早くに亡くなったことに対する強がりなのかはよく分からない。
 ところがストーリーは意外な展開を見せる。いつものように顔なじみの図書館の司書に卓球を一緒にやらないかと誘われると、その誘いを受け入れてしまい、家を出た娘は近所に住んでいて孫娘もバスに乗って一人で訪ねてくるのだから、実は桃子は自由ではあっても孤独とは言えないのである。だから老後に本当に天涯孤独になった人に対して参考にはならず、それを目的に本作を観に来た人たちにとっては騙された感が拭えないのではないだろうか?


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