2006年11月20日発行、新潮社、定価1,300円(税別)
吉村昭さんの遺作短篇集を読了。『二人』『死顔』には、人の死(自然死の場合)は干潮時に訪れる、と書かれてある。私はこの疑問を母にぶつけた。
「そうなの?」
「本当よ。海辺の近くで暮らす人達は経験的に知っとったんじゃね。で、子どもが産まれるのは満潮の時。潮の満ち具合で子どもの未来を予測した、早死にするとか・・・」
非科学的なことを書くと笑われるかもしれないが、この世の中には科学で説明のつかないことが多々ある。科学の限界という虚しさを一番よく知っているのは研究者自身だろう。
つまらぬことを考えている最中にも着実に死に向かって歩いている。死を目前にした時に私は冷静でいられるだろうか。答えは出なかった。