かつて大ヒットを記録したアルバム。リアルタイムで聴いたおぼえはない。“帰れない二人”“白い一日”“心もよう”も好きだが、白眉はタイトルにもなった“氷の世界”だ。
氷の世界(井上陽水 作詞作曲)
窓の外ではリンゴ売り、声をからしてリンゴ売り
きっと誰かがふざけてリンゴ売りのまねをしているだけなんだろ
僕のTVは寒さで画期的な色になり
とても醜いあの娘をグッと魅力的な娘にしてすぐ消えた
今年の寒さは記録的なもの、こごえてしまうよ
毎日、吹雪、吹雪、氷の世界
誰か指切りしょうよ、僕と指切りしょうよ
軽い嘘でもいいから、今日は一日はりつめた気持ちでいたい
小指が僕にからんで動きがとれなくなれば
みんな笑ってくれるし、僕もそんなに悪い気はしないはずだよ
流れてゆくのは時間だけなのか、涙だけなのか
毎日、吹雪、吹雪、氷の世界
人を傷つけたいな、誰か傷つけたいな
だけど出来ない理由は、やっぱりただ自分が怖いだけなんだな
そのやさしさを秘かに胸にいだいてる人は
いつかノーベル賞でももらうつもりでガンバってるんじゃないのか
ふるえているのは寒さのせいだろ、怖いんじゃないネ
毎日、吹雪、吹雪、氷の世界
久し振りにこの曲を聴き、“Sympathy For The Devil”に似ている、と思った(笑)。
1973(昭和48)年に私は何を口ずさんでいたのだろう。記憶の糸をたどってみると“神田川”や“心の旅”ではなくて“てんとう虫のサンバ”と“危険なふたり”であった。

