寿司屋の主人からもらった“焼きハゼ”でだしをひいた。ハゼを前日の晩から水に浸けておき、じっくりと煮出した。塩と薄口醤油、そしてごく少量の日本酒で味を調えた。丸みのある上品なつゆでにゅうめんを作った。昆布なしでこんな味が出るとは。勉強になった。だしがらのハゼは水で戻した日高昆布で巻き、甘辛く煮た。日本酒によく合うアテである。
今年の最大の収穫はこの料理人との出会いだった。私の疑問には事例をあげて納得のいく回答をしてくれた。くどくどと薀蓄を語らずに自信のネタをさり気なく出してくる。それは職人の美学とも言えるだろう。とにかく彼の講義は面白い。毎回安い授業料しか払っていないので、申し訳なく思っている。