散歩の途中でコンビニに寄り、これを見つけて懐かしさがこみ上げてきた。
「キリンビール」というブランドが誕生して100周年にあたる1988(昭和63)年にキリンは記念行事の一つとしてクラシックビールセットを販売している。
売国奴新聞(笑)を読んでそのことを知り、近くの酒屋に駆け込み、1セット譲ってもらった。明治、大正、昭和のラガーがケースに各2本入って1800円弱だった。当時のビンを復刻したことで飛びついたビール党も多かったのではないかと思う。
狭い下宿に経済学部の友を招き、メンチカツと明治のラガーをご馳走して喜ばれた。炭酸が少なくて苦みとコクが強いビールで、二十歳前の若造にも揚げ物と相性がいいことがわかった。私の記憶が正しければ、それは春以降のおそらく初夏の晩の出来事だ。
私の暮らした広島市内の日当たりの悪い下宿が取り壊されてもう5年にもなる。当時の建物はどんどん消えていくが、楽しかった記憶はずっと頭に残っているものだ。それでいい、と呟いた。