私にとっての母の味は何だろうかと考えてみたところ、2つあった。オムライスとばら寿司である。後者は特別な日に作ることもあって子どもはワクワクしていたものである。私が作るばら寿司は母が作っていたものより甘味と酸味を抑えているが、工夫して美味しくする精神は完全に引き継いだと思っている。
旬の食材(比較的安く手に入る)を入れて小奇麗に盛るのが基本だ。広島県東端という地のため明らかに岡山のばら寿司(藩主の出した質素倹約令に庶民が反抗して知恵を絞り生み出したという説あり)の影響を受けていると思う。
焼き穴子を入れたかったが、断念。サゴシの酢〆、スミイカの湯引き、絹さや、ワラビなどを使った。赤、黄、緑の食材をさりげなく配置するばら寿司は見た目の自然な美しさがウリのイタリア料理と類似点が多い。「暑苦しさ」を感じさせない岡山流を「備後の人間」として積極的に支持したい(笑)
