かなり前に西健一郎さんが公開したレシピを参考にして青豆ごはんを作ることにした。作り方は大きく分けると3通りある。まず豆と米を一緒に炊く方法(豆の味はごはんにしっかり移るが、彩りは悪い)、2番目は炊き上がったごはんに茹でた豆を加えて蒸らす方法、最後はごはんに砕いた生の豆を加えて蒸らす方法。西さんは2番目のやり方を採用していたが、プロならではのテクニックがいくつかあった。
豆を色鮮やかに、かつやわらかく(シワがないように)仕上げるには弱火で煮てから徐々に冷却することが重要である。そしてある粉末を微量加えていた。米は同量の水にだし昆布と塩を加えて炊く。ごはんができたら昆布を取り出し、煮ておいた青豆を加えて8分ほど蒸らす。
豆のやさしい香りを嗅いでごはんを口に含む。ほのかな塩味が効いた米粒が豆の甘みを際立たせる。豆が舌の上でホロホロと溶けてゆく。豆ごはんとはこんなに上品な味だったのかと驚いた。豆を茹でる際に流出する旨味成分を昆布だしで補っていると考えれば、第3の方法と大して差はない。
大きな違いは見た目と舌触りだ。美しい色をした豆の形を崩すことに抵抗がある私にはこのやり方が望ましい。何よりも餡子のような豆の食感を楽しめるのが素直に嬉しい。手間はかかるが、繊細な味のわかる人にはぜひ作ってもらいたい。適度に冷めたところでおむすびにして食べてもとても美味しいことを付け加えておこう。
