麻婆豆腐という料理が日本に普及したのは陳建民さんの功績である。安い材料で庶民の腹を膨らませ満足感を与えることに成功した裏では大変なご苦労があったと聞く。当時は本場の豆板醤が入手できなかったことから、日本でこの調味料が独自に発展していくことになる(赤みが強いタイプ)。今では本場・四川の強烈な味も選択できる良き時代になっており、食べ比べをして陳さんの柔軟性を知るのも楽しい。
中華鍋を空焼きして油を入れ豚挽肉をよく炒める(油が透き通るまで)。ニンニクの微塵切り、豆チ、豆板醤、甜面醤(八丁味噌+日本酒+砂糖で代用可)を加えて火を通し、スープと水切りした木綿豆腐(2センチ角)を加えて煮込む。味付けは醤油とコショウ。白ねぎのみじん切りを追加し水溶き片栗粉で好みのとろみをつけ胡麻油を足す。皿に盛り粉山椒を振って食べる。
これは日本人の舌に合うように辛味をかなり抑えてあるので本場(四川)の味に近づけたい人は牛肉と花椒(中国の山椒)を使うとよいだろう。これからの季節、汗を流しながらご飯と一緒に食べる麻婆豆腐はより一層おいしく感じる。