青空、ひとりきり

鉄路と旅と温泉と。日々の情景の中を走る地方私鉄を追い掛けています。

都忘れて湯に遊び

2005年04月26日 14時52分15秒 | 日常
続き。

今宵の宿である手白澤温泉は、一日6組しか取らず山道の送迎もしないという孤高の宿。
こんな山奥なのだが、来るなら歩いて来いと言う。最近じゃ新潟の温泉でも500円で東京からバスを出す時代だと言うのに…ユーザーフレンドリーさが全くねえな(笑)。
しかしながら、こんな山奥にも奥鬼怒の大自然の中に溢れる温泉の素晴らしさだけで客が引きも切らずやって来ると言う。紅葉の時期などは何気に年始からでないと予約も取れない人気の宿の様子です。本来ならばそんな敷居の高めな宿のはずなのだが、今回のハイキング部企画が立ち上がった一週間前に何故か土日の予約が取れてしまったため、有志を募ってはるばる女夫渕から雪道を3時間歩いてきた訳だ(笑)。こんな山奥にどうやって材料を持って来たんだろうかと疑問に思うほど、新しくリゾートホテルのような館内である。通された10畳部屋に全員大の字になって倒れこむ。疲れた…全員が疲労に呆然としている(笑)。

「温泉行ってきます~」
早いな。さすがに登山靴を用意して来ただけの事はあるハイキング部部長・山小屋店主。館内奥の温泉は、大きく窓の開けた内湯と、それに続く露天風呂がある。内湯には蛇口がなく、ただただ温泉が流しっぱなしに臼のような桶に溜められているだけで、何とも野趣がある。
そして露天風呂。歓声を上げて飛び込む山小屋店主。いやー、素晴らしい眺めである。その雰囲気を見て私も部屋に戻り、お湯の支度をして露天風呂にドボーン。青白く輝くお湯には湯の花が舞い、硫黄の香りが鼻をくすぐる。とっぷりとしたぬるめのお湯に浸かって仰ぎ見れば、手白沢の源を発する根名草山の雪をかぶった眺めが開け、ここまでの長い歩きも癒される極楽気分のロケーションなのである。
遅れてグッピー氏もZafolia氏もやって来た。大地のエネルギーを吸い込んだ湯に浸かって生き返ったような顔、顔、顔。全員、さっきまではメッタ打ちを食らった齋藤雅樹みたいな目をしていたんだが(笑)。上等のお湯が、一番風呂の貸し切り。気分の悪かろう筈がない。
陶然となりながら湯に浸かり夕食。山の宿にしては食事は妙に洒落ていて、コースっぽくチョコチョコと出て来る料理に舌鼓。気分の良くなったZafolia氏は顔を真っ赤にしてワインを飲みながら相好を崩す。岩魚の中華風ムニエルが美味かった。出て来た時「バーミヤンのバンバンジーの匂いがする」と言ったのは内緒だが(笑)。
部屋にはテレビも何もない。情報から断絶され下界から隔絶された山の宿では、時間を忘れて湯に浸かるのみ。またぬるめで何時間でも浸かっていられるんだな。夜は夜、強い風に雲が吹き飛びすっかり晴れた夜空に煌々と輝く月の下、ぼうと浮かび上がる雪山の景色。星空。沢音。湯の音。たまに糸を引くような流れ星。歩かなきゃ行けないという付加価値と、ここまで来たと言う感慨が、より一層心を満たすのだろうなあ。
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奥鬼怒の深山に抱かれて

2005年04月26日 14時08分13秒 | 日常
と言う訳で土日に奥鬼怒行って来ました。
2月の千葉・富山に続きハイキング部部活動第2弾であります。

朝7時に東武線の牛田駅に集合し、一路奥鬼怒へ。東北道は2ヶ所で事故渋滞があったものの、久喜→加須を下道でショートカットして上手いこと回避。日光宇都宮道路~R121~栃木r23と進む。川治からいよいよ深山の雰囲気濃くなり、鬼怒川の刻む深い谷沿いをグイグイと上がって行く。4時間弱で奥鬼怒入口の女夫渕駐車場到着。女夫渕では4月も終わろうとしているこの時期に、小雪が降っていた。

ここから徒歩2時間半の山歩き。全員が「早春の奥鬼怒」「芽吹く若葉」をイメ-ジしていた訳だが、その期待は見事に裏切られました(笑)。単純な装備で来た我々は、冬枯れた山々の雪の斜面を何度もコケながら鬼怒川の源流沿いを歩くのでありました。奇岩の谷間を渡る鳥のさえずりの声と、雪を溶かし込んだ鬼怒川の源流の清冽な青さは素晴らしい。この流れが、水海道の豊水橋の下に続いているのですね(笑)。まあ、足元の雪に気を取られて自然を愛でるヒマなど無かったような気もするが(笑)。Zafolia氏は一生懸命双眼鏡で野鳥観察をしているが、見えたのだろうか?

八丁の湯を経て加仁湯へ。最奥の日光澤温泉で休憩をしようと目論むも、冬季は営業してないようでお断りは残念。加仁湯に戻り、昼食がてら一風呂。ちなみにグッピー氏の持って来たタオルは先週中山で仕込んだらしい(笑)。あー、疲れ切った足に湯がジンと染みます。まだ宿まではこれから30分歩かなければならない事に全員が気付いているが、誰も何も言わずただただ全員マターリし切った状態で目が死んでいる(笑)。ここから再度山歩きをしろと言うのは拷問に等しいw

道の雪はさらに深くなる。続く山道に全員が無言になる。あまりにも何もかもが白い山道の風景。最初のうちはキレイだなと言う感覚があるが、見続けていれば単調極まりない。4月下旬、まがりなりにもここは関東だと言うのに、周辺の風景が2ヶ月前の北海道の芽登温泉ツアーの時と変わらんではないか(笑)。何だかもういい加減全員がイヤになって来たその時に、目の前に現れたこの道しるべ。「キタ━━━━━━(゜∀゜)━━━━━━ !!!!! あと600!」その瞬間、全員の頭の中に白川二郎タソが降臨したと思うw思わず全員歓喜の声を上げてガッツポーズしちゃったし(笑)。
「全員揃ってガッツポーズしたなんて初めてじゃないの?」
Zafolia氏が笑う。そうかも。全員揃って当たったためしなんかないし(笑)。
あと600mの道のりは、尾根を越えて緩やかな下り。程なく、沢沿いに今宵の宿が見えてきた。
奥鬼怒の、そのまた最奥。歩いてしか辿り着けない場所にある手白澤温泉到着。
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