我が家の近所には「味奈登(みなと)庵」なるそば屋が存在する。
横浜市内には何店舗かあるそば屋のチェーン店なんだが、いつもいつも駐車場が満車でなかなかの人気のお店の様子。
別に外観が民芸的なくらいでどうって事のなさそうなそば屋だが、何が人気かと言うと、このそば屋は「盛り」がすごいらしいのだ。
ちなみに自分は飯食う事で待つ事はあまり好きではないのいつも目の前をスルーしていたのだが、昨日は午後3時と言う中途半端な時間に昼飯を食う事になったため「行ってみっかあ」ってな訳でツレと入店する。さすがに午後3時では特に待つ事もなく窓際の席に通されたが、それでも店内はほぼ満席に近い状態でこの店の人気の高さが伺われるのである。
おしながき。
どこのそば屋でもありそうなそばメニューが一通り。そしてそば屋にありがちなどんぶり系も完備…とここまでは普通のそば屋メニューだ。なんか右の「つけ天」から「鴨せいろ」まで下になんかのマークが付いてますけどね。何にしようかなあと考え、鴨せいろも捨てがたいけど、この店は「つけ天」が名物のようなのでそれに従ってみる。メニューのどれもそばorうどんどちらも頼めるようですが、前はうどんが好きだったんだけど、最近はそば派に変わって来ているので迷わずそばチョイス。ましてやここはそば屋だしね。
「つけ天ふたつ~」のオーダーに、すかさず仲居から「大盛り、富士山盛りはお値段変わらずにできますが…」とのアプローチ。メニュー下の青いマークは、この店名物の「富士山盛りOK」の印でもある。富士山マークはイエスノー枕で言えば「つけ天から鴨せいろまで」にイエス枕が置かれているみたいなもんです(笑)。ってかイエスノー枕の正しい意味と使い方を知った時、思春期に少年から大人に変わる(by徳永英明)と思うのですがw
富士山盛りってなんやねん、って感じですが、この店のそば量は「盛り→大盛り→富士山盛り」と進行して行くらしいので、とにかく「そばが多い」と言う事だけは分かったのだがその多さやいかに。ここまで来て富士登山しないわけにもいかないでしょって感じなのできっぱりと富士山オーダー。昔の高校生クイズみたいだが。
で、運ばれて来たものがコレ↓
フッジッサーン/^o^\
ワロタwそば大杉ww
比較対象物としてKENTの6mmロングにも登場して頂きましたが(笑)、見事。そばのセイロの上に盛れるだけ盛ったと言う感じで、こんな一触即崩落状態の緊張感のある盛り付けも見た事ねえwwつか、ここまで盛られるとそばに見えないw薄茶色のうねうねはケーキのモンブランの上のそばっぽく見える部分?に見えない事もない。富士山だがモンブラン。どっちも山である事には変わりなし。つけ天の「天」部分も、大ぶりのエビ天一本とこれまた大きなカボチャ天にゴボウかき揚げ&シシトウ天と相当なボリュームで見る者を圧倒する。
とりあえず眺めていてもしょうがない。どんどん伸びてってしまってさらに量が増えてしまうのがオチなので、さっそくお猪口にソバツユを注いで富士山の頂上へ箸を伸ばす。いきなり山体崩壊(笑)。そば雪崩は西側の方向に崩れ、おそらく山梨県の身延町付近がそばに埋め尽くされてしまった。
そばはいわゆる更科系と言われる色の薄いスタンダードな関東のそば。ツルツルとノド越しも良く、結構いいペースで山頂付近をクリア。これは結構楽勝じゃん?♪と笑いながら食い進めていたが、さすがに五合目付近まで降りてきたところで飽きが来はじめた(笑)。最初に手をつけたらそばが食いきれなくなると思っていたエビ天にここで箸を。からりと揚がった大振りエビ天のプリッとした歯ごたえに気を取り直し、さらに箸を進める。
そばを手繰る。すする。手繰る。すする。果てしなく進む攻防。序盤は結構山の形が簡単に変わっていったのだが、山麓に食い進めるにつれてそばの平面積が広がってなかなか減らない。もう結構限界が近い。ソバツユもなくなって来た。富士山盛りでもソバツユの量はノーマルなので、富士山盛りを頼む時はソバツユの配分に気を付けてくださいw
先に食べ終わっていたツレからソバツユの配給。もう終盤戦になってくるとそばの山に手を伸ばすのも億劫で、正直口の中でそばの味がわからなくなってくる。また裾野のほうに進むにつれてそばはその自重で圧縮されており、箸でほぐすと次から次へとそばが湧いて出て来て行く手を阻む(笑)。ここまで来るとお口の中でそばは重く重く、噛んでも噛んでもただそばの味が単調極まりない。果てしなく続く風景の変わらないマラソンみたいなもんで、ついつい箸が止まる。ここで最後に取っておいたゴボウのかき揚げが単調な旅路にアクセントになった。ゴボウの香りに何度救われた事か。
完食。
言葉もありません。
言葉を吐くと口からそばが出て来るのでw
おしながきに書いてあったのだが、何でもここの店のオーナーさんはたいそうなそば好きで、サラリーマン時代によくお昼にそばを食べていたそうだ。しかしそばと言うもの、案外と高い割には量が少なく、腹もちもそんなに良くないもんだからいっつも夕方になるとお腹が空いていたのを実に不満に思っていたそうなのだ。
「いつか大好きなつけ天そばを飽きるまで腹一杯食ってみてえなあ~!」
と言う思いが嵩じて、とうとう脱サラしてそば職人になってしまったそうな。
この「つけ天・富士山盛り」はオーナーの夢のメニューなのですね。
でも、ここまで盛られると、夢は夢のままでいいんじゃないかと思わなくもないw
もうそばは10年はいいなw