ここまで行くくらいなら、ちょっと早起きするだけで十分。
観光の匂いが満ちてくる前の三時間で、江ノ電ざっと撮り。
普段着の江ノ電って感じでしたね。
「朝日射す腰越通り」
(江ノ島~腰越間)
江ノ電の魅力は、近くにあるちょっとした非日常。
そのエッセンスが、江ノ島駅から腰越駅にかけてに存在する「併用軌道」ですかね。
この区間は、路面電車よろしく腰越商店街の中を走ります。
日中はさすがに車に押され、肩身の狭い走りになる江ノ電。
まだ商店街が起きだす前ならば、朝日が射す時間は江ノ電も大きな顔。
そうはさせじと、早起きの猫が横切る。
「This is 湘南」
(鎌倉高校前駅)
江ノ電と言われて思い出される風景と言えば、この駅の風景だと思う。
湘南を題材にした、幾多の物語の舞台になったか数知れず。
今でも、この駅でテレビカメラを回している風景をよく見かけます。
ま、それだけ絵になる駅って事なんでしょうね。
ホームのベンチに腰をかけると、右に江ノ島・左に三浦半島。
朝日に照らされた海は、今日は凪の海。
駅の存在がビューポイントであり、観光名所って感じです。
江ノ電に乗らずに、この駅で時間を過ごす人も多いですねえ。
「路地裏物語」
(鎌倉高校前~七里ヶ浜間)
七里ガ浜駅付近の立ち並ぶ家並みの中を、かすめるようにして走る20型。
レトロ電車って言うらしいですね。
道路と線路の境目はあってなきが如し、玄関前が江ノ電と言う家も多い。
警報器のない踏切に右のような足跡マークがペイントされ、警戒を促している。
自分の足元を見つめ直せってか(笑)。
「とどけもの」
(極楽寺駅)
極楽寺駅は、稲村ケ崎から続く鎌倉の尾根筋に続く森の中の駅。
江ノ電の車庫と工場があるんですが、基本的には閑静な駅です。
落ち葉降る木造の駅舎に、真っ赤な丸ポストが映えます。
赤と緑、どちらが先に届くかな。
「輻輳」
(鎌倉高校前駅)
日が昇り人が動き出すと、江ノ電に並走する国道134号線の車の量は増えるばかり。
車列を横目にのんびり走る江ノ電は、車に追い越されても知らん顔…
実際、真夏の時期は渋滞するから、江ノ電の方が速いんですよ。
車より目線の高い江ノ電の窓ガラスに、湘南の海の輝き。
正面側面それぞれに、重なり合って映る光の輻輳。
「最古参の誇り」
(江ノ島~腰越間 藤沢~石上間 300型車内)
大半が平成世代の新型車両で更新されている現在の江ノ電。
その中で、1960年製の300型は50歳を前にした最古参。
正面に行き先サボを付けた古き良き江ノ電らしいスタイルで、人気が高い。
確かに、自分も江ノ電と言えばこの「正面の大窓を小窓が挟む」3枚窓のスタイルだからねえ。
側面の2段分離・上段固定のいわゆる「バス窓」が特徴。
車内の緑色のシートと木張りの床は、何となく昔の世田谷線を思わせます。
「境川橋梁」
(鵠沼~湘南海岸公園間)
江ノ電が渡る一番大きな橋が、鵠沼~湘南海岸公園間の境川橋梁。
昔は護岸が低かったせいで、もっと小さな橋だったそうですが…
現在は河口の浚渫と護岸工事のため、立派な橋になっています。
後ろの山は、高級住宅地でもある片瀬山。
ちょうど4両分ぴったりの橋を、江ノ電が渡ります。
「路地裏物語・Part2」
(腰越~鎌倉高校前間)
路地裏を走る江ノ電の中でも、特に腰越駅から海岸へ出る区間は狭い。
窓から手を出せば、洗濯物に手が届く。
軒先のミカンの木にも手が届く。
線路なのか道なのか。
どちらでもない、ここは路地裏。
「モノクロームの思い出」
(江ノ島~腰越間)
腰越の商店街に、実にいい雰囲気の写真館がある。
店の名前の書き文字も横の右書き。レトロ感が滲み出ている。
その前を走る江ノ電のレトロ車両。
七五三の写真を撮りに来た親子連れが、写真館に入って行った。
ショーウィンドーの思い出は、モノクロームの思い出。
だから、最後はモノクロにしてみました(笑)。
昼前から早くも曇り始めた江の島の街。
江ノ島駅で、江ノ電カレンダーを買って帰りました。