青空、ひとりきり

鉄路と旅と温泉と。日々の情景の中を走る地方私鉄を追い掛けています。

藤の街の桜、春の日に濡れて。

2023年04月13日 21時00分00秒 | 東武鉄道

(春雨に濡れて@東武アーバンパークライン・春日部~藤の牛島間)

今年の桜は、東京で早目の満開宣言を迎えた後、一週間程度の菜種梅雨に入ってしまいました。春には三日の晴れはなしとは言いますけれども、桜を楽しみにしていた人々をあざ笑うかのような雨、雨、雨・・・。まあ、そういう天気ならそういう天気らしく撮るしかないってんで、わざわざ東武電車に乗って埼玉くんだりまで出掛けて来ました。乗り換えの春日部の駅で東武らーめんのワンタンメンを食べて準備万端。目指す駅は東武アーバンパークラインの藤の牛島駅。春日部と藤の牛島の間にある大落古利根川(おおおとしふるとねがわ)に続く見事な桜並木を愛でに。春雨の中で素晴らしい花付きを見せていました。

藤の牛島で東武60000系を降りる。野田線に投入された新車というだけでも存在が貴重。野田線ってのは、かつては8000系すら上等の部類で、だいたいが伊勢崎線を追い出されたツリカケの5070系とか、そういうセコハン車両で構成されたラインナップが主軸だった時代が長かったもんですから、「野田線に新車」とか言われると、長らく堪え難きを堪えて来た野田市民とか鎌ヶ谷市民なんかは「いいんですかっ!」という気持ちになったんじゃないかなって思うよね(笑)。

「藤の牛島」なので、有名なのは「牛島のフジ」。藤花園という植物園にある国の特別天然記念物ですが、藤の花の前にこの街を彩るのが大落古利根川の桜。今の利根川は関宿あたりから東に流れて銚子で太平洋に注いでいますけども、古の時代の利根川は関東平野の真ん中をくんずほぐれつ洲を作りながら絡み合って流れておりました。度重なる洪水から江戸の町を守るために利根川の東進と平野部の流路の整理が行われ、かつての利根川の名残りはこんな感じで街中を流れる灌漑用水として今に残っています。しとしととそぼ降る春の雨に艶やかに色味を増して水面に映る桜の見事さよ。

こんな見事な桜が咲いているのに、お天気が悪いせいで人っ子一人いない大落古利根川の桜並木。晴れていたら、この桜並木の下ではシートがずらっと並んで、それこそ吞めや歌えやの花見の宴が繰り広げられていたのではないかと思われるのだけど、おかげで一人静かに花見とカメラに勤しめるのは嬉しいところ。人がいっぱい居たら、自由なアングルなんか組めないですからねえ。

桜の木の下にあった公園のベンチに、雨露を手で払って腰掛ける。駅前の路地にある謎のお好み焼き屋で買った100円のお好み焼き(唐揚げ)をモグモグと食っていたら、野田線が古利根川を渡って行くのが見えた。空いた右手でワンショット。こーいう雑な芸当が出来るのも小さくて軽いOLYMPUS PENのおかげ。雨の日に傘差して重い一眼レフとか振り回すのはかったるいので、ホント助かりますね。

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