(東武のスタンダードヒーロー@大落古利根川橋梁)
春雨そぼ降る春日部の街にて。花散らしの雨に乗って8000系。という事で、先月の越生線とかでも最近よく東武の8000系を撮影している。数を減らしたと言えどもまだまだ東武の主力車両で、越生線だけでなく舘林以北のローカル区間、そしてこの野田線では主役の座を譲っていません。そもそも、東武の8000系って今どれくらい残ってるんだろうね。ローカル用に2連になった800・850形みたいな派生形式を含めると、まだ相当残っているのではないかと思われるのだが。東武の歴史の中でも相当に大きな存在の車両なので、引退とか全廃とかなったらそれなりに騒ぎになりそうなのだけど、今のところまだそこかしこで走っているのであまり騒ぎにもならない。よくよく考えると、東武電車で残る唯一の通勤型の鋼製車輌になってしまった。この後の9000系からはステンレスボディになってしまったのでね。
線路に沿って架かる牛島人道橋から。この区間の野田線は単線なのでカブリもないし、上下とも10分に1本電車が走って来るのでカット数はいくらでも稼げる。現在も単線で残る春日部~運河間、それこそバブル時期には野田線の完全複線化なんかも検討されていたようですが、この辺りは江戸川の鉄橋を始めとする利根川水系の旧河川を渡る橋梁の数が多いので、なかなか線増となると大変なんではないかと思われます。そしてコロナ禍による乗客の減少で、野田線は2024年度以降の減車(6両→5両化)がプレスリリースされており、複線化の話もいまさら・・・という雰囲気になってはいるのだけど。
足元を少し濡らしながら、河原の桜並木と春の景色を探してそぞろ歩く。そうそう、プレスによると野田線の減車は今走っている編成から1両抜くなんて事はしないで、5両編成の新造車両で置き換えて行く感じになるそうなので、60070系(仮)みたいなのが出て来て8000系が順々に落ちて行くのではないかと。コロナ禍が明けて乗客も戻り始めているのでは?と思わなくもないんだけど、中長期的に見れば少子高齢化による通勤通学客減は避けられない、という事なのでしょうね。東武くらい大きな路線網を持つ会社だと、車両の導入計画みたいなものは早目に手を打っておかないと後手後手に回ってしまうのでしょうし。
アングルを探していると、河原の一角に淡い黄色の小さい花が群生しているのを見付ける。露に濡れた花弁が、非常に複雑な造形をしていて珍しい。何という花なのだろう、と手元のスマホで調べると、トウダイグサ系の「ノウルシ」という草花らしい。へえ。春の河原の河川敷に群生して・・・とあるからきっとそうなのだろう。埼玉県内では葛西用水や見沼代用水の周辺の河原に見られるポピュラーな春の草花だそうですが、意外にも絶滅危惧種のリストにも載る植物なのだとか。
そんな春の花の淡い黄色をモチーフに、構図をローアングルで固めて8000系の登場を待つ。無駄なものをそぎ落とし、「多くの乗客を乗せて運ぶ」という通勤電車の本来の役割に徹し切った8000系のシンプルなサイドビュー、ミンデンドイツの板バネ台車と併せて、デザイン性も非常にいいですよね。これぞ東武、と言うイメージに合った造形がすんなり伝わって来ます。「TOBU URBAN PARK LINE」のロゴを付けても、やっぱり野田線は野田線で、東武電車は東武電車。
春の大落古利根川、パステルカラーの淡い彩りの中を。