(あの夏、静かな凪の入江@東幡豆海岸)
蒲郡線は、三河湾に沿って走りますが、残念ながら車窓から海が見える場面というのは殆どありません。ただ、一番海に近い場所にある東幡豆の駅からは、駅からほんの少し歩くだけで海岸に出ることができます。蒸し暑い一日でしたが、さすがにまだ海水浴には早い梅雨の最中。ガクアジサイの咲く浜辺で、地元の親子がチョイ投げ釣りしていたり、波打ち際で遊んでいたり・・・
ビニールのホーム上屋に、なんとなく市民プールのプールサイドのような懐かしさがあるような東幡豆の駅。かつては開通以来の雰囲気のある木造駅舎が建っていたそうですが、老朽化と合理化のために二年前に取り壊されてしまいました。真新しいアスファルトに、そこにあった「はず」の駅の姿を偲ぶのみで、郵便ポストだけが寂しく残っています。名鉄の蒲郡線は、慢性的な赤字続きで存廃問題すら取り沙汰される状況の中、いわゆる「おカネのかかること」というものは極力やらないことにしている感じがヒシヒシと感じられます。
そんな東幡豆の駅に、律儀に30分に一本やってくる赤い電車。どの列車にも、多くはないもののぽつりぽつりと乗降客は見られます。蒲郡線はICカード非対応、かつ券売機すらなく乗車証明書による対応ですし、中間駅同士の利用では小銭での車内精算になるんですよね。あまりにもやってる事が前時代的で、名鉄本社の蒲郡線に対する仕打ちの非道さを憂うばかりなのでありますが・・・ってか、名鉄っていったん合理化って決めたら結構容赦しないイメージはあるよね。
駅舎があった時代の、東幡豆駅周辺の案内図。駅の周辺の景色を見ると、今は既にないお店の案内なんかも掲載されているし、そもそもこの看板も移動しているようだ。在りし日の賑わいはないにせよ、それでも旧幡豆郡の中心をなした幡豆町の住民にとって、名鉄蒲郡線というものはなくてはならない交通手段のはず、なのですが。