(五十里、秋深、陰陽。@中三依温泉~湯西川温泉間)
冬枯れも近しと思しき野岩鉄道の秋。令和2年の秋に来て以来、3年ぶりの訪問となりました。およそ半月も経たないインターバルで、再び栃木県くんだりまで出かけてった訳ですが、秋になると色付いた山々を目当てに群馬とか栃木方面に行くってのはルーティンワークになりつつありますね。さてさて、今年の紅葉の色付きはいかばかりか、と夜更けの新4号国道をひた走り、五十里湖の八汐大橋に陣取ったのが朝7時。どうやら今年の紅葉、夏が暑すぎて葉の傷みがひどく、あまりいい感じの色付きでもないというのは事前に聞いてはいたんですよね。色付く前に散ってしまうか、上手く染まらず茶色に枯れるかの傾向にあって、どうにも「錦秋」という雰囲気には程遠い・・・という感じでしたねえ。そもそも、11月の中旬にも差し掛かろうとする時期、川治の温泉街より上は少し見頃を過ぎていたかもしれない。山の色付きは、少しの標高と陽当たりで、大きく変わってしまうものだ。冷たい風が枯葉交じりに吹き抜ける五十里湖の橋の上は、さすがに手がかじかむ寒さ。手っ取り早く橋の歩道に三脚を立て、列車の接近まではクルマの中でウトウト仮眠の人となるのであった。
温暖化は日本から着実に四季を奪っていて、春が短く夏が長く、秋が短く冬が早い。すっかり「二季」の国となった僅かな秋、朝陽の中、五十里湖の大鉄橋に飛び出した61102F。東武20400系の投入により全廃された東武6050系ですが、野岩鉄道持ちの3編成のうち2編成が廃車を免れ、線内の普通列車運用を支えるために奇跡的に残されています。61103Fのほうはクラウドファンディングで修繕中ということですが、この2編成が、ノーマルな形で残された東武6050系最後のグループとなります。秋の一日、野岩鉄道に僅かに残った、私鉄急行型の末裔を追います。