(梅雨前の晴れ間@函嶺洞門)
緊急事態宣言は解除されていますが、休日に出勤していたり平日に休みがあったりと未だに職場のシフトが変則的。6月からぼちぼち再開して行こうかな・・・と思っていた撮り鉄活動ですが、折角の平日休みを何かに生かせないかな、ということで登山電車の試運転が開始された箱根に行って来ました。小田原厚木道路を走り抜けてやって来た久々の箱根。塔ノ沢の函嶺洞門の駐車場から内輪山を見上げると、蒸れたような薄青い梅雨前の空に、すっかり青葉となった山の緑が輝いていました。
運休の張り紙がなされたままの大平台駅の時刻表。去年の10月の台風で大きく破壊された箱根登山鉄道ですが、当初2020年秋頃とされていた復旧時期が前倒しとなり、7月下旬の全線復旧を目指して鋭意工事が続けられています。通りすがりで見た限りでは、一番大きな被害が出た蛇骨川の鉄橋(宮ノ下~小涌谷)の辺りは物凄い規模の足場が組まれてて、復旧に間に合わせるために大人数で懸命の作業が続いていましたねえ。5月から復旧を目指して箱根湯本~大平台駅手前までの試運転がスタートしましたが、6月からはその区間も宮ノ下まで延長。試運転ではありますが、登山電車の名撮影地である大平台界隈にフランジの音が戻って来たのは喜ばしい事。
大平台の駅横の小道を通って、いつもの定番の大平台駅東口踏切界隈。6月のはしりということで、紫陽花は麓の箱根湯本でもまだまだ・・・と言う感じだったのだけども、場所場所ではちらほらと咲き始めています。大平台もだいぶ長い事通ってますけど、この辺りの紫陽花の株もだいぶ大きくなりましたよね。いつの間にか人の背丈以上に育ってしまって、登山電車と絡めて撮影しづらくなってしまったような気がする(笑)。大平台が見頃になるのは毎年6月中旬~下旬なので、全線の運転再開が7月の下旬って事だとおそらく大平台の紫陽花は終わってるでしょうな。時期的にはギリギリ強羅の辺りで残ってるかどうか。
試運転が開始されたという事で、沿線の四種踏切には警備のためガードマンの方が配置されておりました。紫陽花の盛りの時期なら平日の大平台でも大勢のマニアがカメラを並べるのでありますが、紫陽花はまだまだだし、緊急事態宣言明けで引き続き呼び掛けられる県外への外出の自粛ムードもあって私以外にギャラリーはなし。ご挨拶して暫しガードマンの方と情報交換なんぞをしながら試運転を待っていると、ほどなく姫之湯の踏切の鐘の音が聞こえて来て、マルハチマルキューの2連がやって来ました。試運転らしく、運転士の隣には手ブレーキを準備した運転士の二人態勢。「試」の丸看がいいですね!
大平台の駅でスイッチバックして来た108-109を、大平台東口下の踏切で受ける。車体から足回り、電装品に至るまで全てが交換されているとは言えども、車籍のルーツは1920年代に誕生した小田原電気鉄道チキ2型の流れを今に引き継ぐ貴重な車両。モハ1型の「ヨンロク」こと104-106のコンビとともに、登山線最後の旧型形式として天下の嶮を走ります。108は金太郎塗りだったんだけど、今回検査を受けてスタンダードな登山電車の馴染みの塗り分けに戻されました。線路に新しく敷かれたバラストを踏んで、ゆっくりと古豪が山を降りて行きます。
函嶺の 山に木霊す フランジの 音高らかに 歩み再び。
お帰りなさい、箱根登山鉄道。