(神鉄北の玄関口@三田駅)
ウッディタウン中央駅から折り返しの電車に乗って、終点の三田駅にやって来ました。神戸湊川から32.0km、ひとまずは神鉄のメインルートである有馬・三田線を完乗。お疲れ様ですな。JR福知山線の駅横にあり独立している神鉄の三田駅ですが、JR三田駅から繋がる大きなペデストリアンデッキに隠されて昼間でも薄暗いです。日中でも大阪方面に向けてバンバン快速電車が出て行くJRに比べると、正直日陰の身ではありますが…
神鉄の三田駅全景。頭端式の1面2線のホームから、鈴蘭台・新開地方面の電車とウッディタウン中央方面の電車が交互に発着する。10分に2本の発車があるので結構折り返し時間は短いですね。ホーム先端部は柵で区切られていますが、これは以前5両編成の電車があった名残と思われます。現在は最大でも4両編成なのでね。
駅前のバスターミナル案内図。周辺のニュータウンに向かう路線バスの中に、「三ノ宮・神戸駅南口」行きの路線バス(神姫バス)があるのがお分かりいただけますでしょうか。三田駅を出てから三田市内のニュータウンを回り、イオンのショッピングモールを経由した後に六甲北道路~阪神高速を経由して神戸の繁華街・三ノ宮方面に直行するバスなんですが、所要時間は約1時間で700円。神鉄だと新開地乗換→阪急三宮まで1時間10分で780円、谷上乗換で北神急行新神戸→地下鉄三宮は50分ながら料金は高めの1,060円の現状を鑑みるに、この「三ノ宮まで乗換なし1時間・着席保障・700円」と言う神姫バスの路線の内容は魅力的に映るようで、三田方面からの神鉄の客をジワジワ奪っている様子。日中は時間1本程度ですが、朝の7時台は4本とかありますし、これは強力なライバルかと。
駅の全景を撮るために一回外に出てしまった。三田駅に戻るのも面倒なので、お隣の三田本町駅までは近いので歩いて行く事にする。三田~三田本町間に架かるのは武庫川の鉄橋、下流部ではそれなりの川幅を持つ武庫川も三田市内ではこの程度。先ほど三田の駅に停まっていた普通電車の新開地行き@5000系4連が川を渡って行きます。下枠交差型のパンタって関東ではあまり見ないから新鮮だなあ。
武庫川沿いの細道にある踏切から都市公園線に入線する1107+1204+1108の3連。順光側からガッツリ押さえてみました。前面幕の「ウッディタウン中央」の文字が詰め詰めです(笑)。この2ドア1100系は前パン以外にもウイングバネの古風な台車とか、自動連結器のテコだったり、前面下部にブレーキホースをチェーンで繋いでるところとか、とにかく面構えがいいねえ。
駅近くのセブンイレブンで飲み物と昼食代わりのサンドイッチを買って昼下がりの三田本町駅のベンチで一休み。薄曇りで日差しはそこまで強くないが、とんでもなく蒸し暑かったこの日。飲み物をいくら飲んでも喉が渇く…熱中症でぶっ倒れてもしょうがないので昼食くらい冷房の効いたレストランで…とも思ったのだけど、まだ神鉄の半分を乗っただけ。時間が押しているので、とりあえず昼食の時間をはしょりながら今度は粟生線に向かって移動を開始します。
武庫川の鉄橋を渡り、左カーブで三田本町の駅に滑り込むは普通電車の新開地行き。おっ、「HAPPY TRAIN」の5000系5001編成ですな。さっき鈴蘭台で撮った編成を、今度は逆側のエンドから。エンドごとに赤系統・黄色系統とデザインが違っているんですねえ。そしてやはり助手席側に乗っているぬいぐるみ(笑)。
編成の最後尾に陣取り、ちょっと失礼してぬいぐるみさんのバックショットを(笑)。車窓に流れて行く田園風景を見ながら何を思う。このマスコットは「しんちゃん」と申します。まあ由来は「神鉄」の「しんちゃん」なんでしょうが、近年乗客の減少著しい神戸電鉄粟生線のイメージキャラクターとして、「神戸電鉄粟生線活性化協議会」が地元の高校生からデザインを募集して選ばれたものなんだそうな。そして、これから私が向かうのがその粟生線でもあります。
涼しい車内を満喫し、鈴蘭台で1100系1119編成の急行粟生行きへ乗り換え。粟生線は「近年乗客の減少が著しい」と書きましたが、どんだけ厳しいかってーと上記の活性化協議会の資料によると粟生線ピークの平成4年には年間1,420万人を数えた利用者が、平成25年には672万人と僅か20年で半分以下に落ち込んでいるそうな。近年ではコンスタントに毎期10億円程度の赤字を計上しており、その累積もとうとう100億円を突破しようとしているらしい。神戸電鉄自身も色々と策を講じたりしているそうなのだが、沿線自治体の支援も財政が厳しい中で足並みが揃っているとは言えず、ここに来ていよいよその存廃問題も浮上しているとゆー非常に厳しい状況にあります。
1100系の車体に貼られた粟生線活性化協議会のステッカー。この「乗って残そう」的なスローガンってのは苦しくなった地方鉄道ではどこでも見ますけど、廃止されちゃった名鉄の末端区間や移管されちゃった近鉄のローカル線(伊賀線や養老線など)の末期ならいざ知らず、大都市圏神戸からそれほど離れていない神鉄で見るとは思わなんだ。少なくとも乗り込んだ急行粟生行きは鈴蘭台発車時点ではそれなりの乗客数なのだが、粟生線のこれほどまでの苦境にはどんな理由があるのだろうか。とにかく百聞は一見にしかず、乗ってみる事に致しましょう。