(追憶の菊水山駅@鵯越~鈴蘭台間 車中より)
鵯越を出た電車は、いよいよ六甲山系の中心部を鳥原川の谷に沿って上って行きますが、電車が鵯越から2つ目のトンネルを出た場所に、2005年に休止となって久しい菊水山駅を見る事が出来ます。駅名票は取り外されてますが、駅の設備としては券売機と自改を設置すればすぐ復活出来そうですけどね…。まあもとより六甲山地のまん真ん中にあって周辺に民家はなく、駅への取り付け道路もロクにないようなすさまじい場所の駅だったんで日常的な利用者は皆無だったそうな。末期は神戸の中心部から15分で来れる「都会の秘境駅」として秘かなマニア人気を博していた駅でもあります。
電車は休止中の菊水山駅から、鳥原川に作られた石井ダムの脇を線内最長の菊水山トンネル(1184m)で抜け、鈴蘭台駅までやって来ました。電車は、ここで有馬温泉・三田方面の有馬・三田線と三木・小野・粟生方面の粟生線にY字型に分かれて行きます。
神戸の街を出て、ひたすら六甲を上り辿り着く鈴蘭台の駅は、神鉄の数ある駅の中でも一番の規模を誇る山上の要塞の趣。ホームは2面4線。その他粟生方面には引き上げ線と、駅の南側約500mには鈴蘭台車両基地があります。六甲山系の北側には神戸電鉄に沿って開発されたニュータウンが広がりますが、ここ鈴蘭台は行政上も人口22万人を擁する神戸市北区の中心地にて乗降客も多いです。区役所もあるしね。余談ですが神戸市北区の花は鈴蘭台にちなんだのか「すずらん」らしいです。きっと東急が開発したら「すずらん台」とひらがなにしてしまったんでしょうね(笑)。
駅南側の踏切から鈴蘭台駅を遠景で。駅の西口にあるダイエー鈴蘭台店の看板が見える。全国で店舗を激減させているダイエーですが、やはり創業の地神戸ではいまも健在ってところなのかねえ。ちょうど朝のラッシュ時間が終わり始めた頃だったんで、側線へ電車が引き上げられて来ました。駅から南側は上下線含め3線が引かれていて、そのうちの1本は車両基地への入出庫専用の線路となっておりますね。駅から車両基地に向かっては2つの踏切があり、出入庫線の関係で線路部分のスペースが広い事からどちらも見通しの良い撮影スポット。神戸電鉄は全線に亘ってカーブが多いし、架線柱も密に立っているので形式写真的にスッキリ抜くにはここが一番いいんでないかねえ。
と言う事でウルトラマン電車3005編成の普通三田行き。たまたまなんかもしれないけど3000系の塗装っておしなべて褪せてるか剥がれてるかなので、関係者の皆様には是非きれいにメンテいただきたく(笑)。昭和40年代からの沿線のニュータウン化に伴って、大量輸送の担い手として投入されたのがこの車両。自分の子供の頃、神戸電鉄と言えばこの車両が図鑑に載ってたものだ。
5000系の粟生線方面急行志染行き。気付きませんでしたがしっかり運転台上だけ急行灯が点いてるね。神鉄には準急・急行などの優等列車の上に朝のラッシュ時には粟生線に快速、有馬・三田線に特快速と言う種別もあったりする。残念ながら時間的に見られませんでしたけどね。
5000系トップナンバーの5001編成は準急三田行き。「HAPPY TRAIN」という愛称で、両端の先頭車には花柄のラッピングが施されています。「見ても幸せ、乗るともっと幸せ」がキャッチフレーズで、神鉄のHPにはご丁寧に運行時刻まで掲示されている。助手席側の窓際に置かれたマスコットは神鉄のキャラクター「しんちゃん」。このマスコットが生まれた経緯は色々とありまして…まあこの説明は今度に。
5003編成の普通新開地行きが坂を滑り降りて来る。この鈴蘭台南方の踏切は、両方向の電車が撮れるのでお得感があります。1991年に落成された2000系の車体を使い、1996年にVVVF化してデビューしたのが5000系で、現在は神鉄でNo.1の大所帯となった形式でもあります。あんまりマニア的には人気のない車両らしいですが、シンプルで嫌いじゃないっすよ。
神鉄最新鋭の6000系普通志染行きは6003編成。「しんちゃんてつくんミュージアム」のHM付き。車内がギャラリーになっていて、昔の神鉄電車や沿線の風景写真とかが掲示されています。長年の沿線住民の方には懐かしいのではないかな。こちらにも助手席側に「しんちゃん」のぬいぐるみが乗ってますね。この6003編成は6000系の第2編成で、現在の神鉄では一番新しい車両になるのですが、来年度には6000系の派生形式となる6500系の増備が決まっているようです。
一つ動いて駅寄りの踏切から。車庫への出入線を使って5015編成が試運転を行っていました。塗装がピカピカで新しいので車両工場に入場してたのかな。車体にマスキングテープとか貼りっぱなしだったからね。この鈴蘭台駅南方の坂道は短いながらも勾配が神鉄最大の50パーミルもあり、どうやらこの坂道を使ってブレーキ関係のチェックを行ってたみたいね。
1100系1121編成は普通粟生線方面志染行き。前パン3連が50パーミルの勾配を上って来る。架線柱横の勾配標と絡めて撮ってみました。やっぱこの形式が一番好きかな。結局この後も一日中1100形式とその派生形式を追っ掛けてしまったもんねえ。2ドアと、その間にズラリ並んだ2段窓が端正です。
続行でやって来た1300系1357編成準急三田行き。こちらは3ドア車。最初は2両のユニットで活躍してたらしいですが、色々と編成替えがあった結果現在は2両+2両の4連で固定化されています。この形式はどちらから見ても前パンにはなりません。前パンじゃないとちょっと大人しい印象で、貫通路上のブタ鼻2灯ライトといい、より小田急の2400系に似て見えます。
振り返ってもう1枚。ちょうど鈴蘭台の駅を出て来た3000系の新開地行きとすれ違い。引き上げ線に留置されていた3000系と新旧サンドイッチ。どの編成も赤の褪色が激しいのは気になりますが…(笑)。赤って難しいよね。自分が赤い色好きだから良く分かるけど。なんか塗装と言うよりもどの編成もワックスが効いてない感じがするんよね。被膜が剥げて焼けちゃってると言うかw
この踏切にいればいくらでも電車撮れてしまうのでキリがないからそろそろ先を急がねば。もうすぐ昼になろうとしているのにまだフリーきっぷも湊川~鈴蘭台までしか使ってないし(笑)。鈴蘭台駅北方を望むと、右に複線で出て行くのが有馬・三田線方面、左に単線で出て行くのが粟生線方面ですが、粟生線方面の勾配がエグいのが気になるw
鈴蘭台から乗り込みますは普通電車の三田行き@1100系。とりあえずは三田方面に向けて進んで参ります。