(どちらの方がお眠りか@立山町・稚児塚)
本線より立山線の分岐する寺田の駅。寺田から一つ目に、稚子塚(ちごづか)という名前の駅があります。駅としちゃ1面1線の簡素なホームがある無人駅で取り立てて言う事もないのですけども、じゃあ「稚子塚」って何なのよ?と思って地図を見てみると、駅の北側にそこだけこんもりと木の生い茂る一角があって、そこだけがポコリと地面が盛り上がっている。「稚児塚」とは、高さ7mあまりの円墳で、立てられていた看板には「5世紀ごろにこの辺りを支配してた有力者の墓ではないか」という説明書きがあったが、かすれてしまって読むのに難儀すること必至であった。そう訪れる人の多い場所ではないらしい(笑)。あと、駅名は「稚子塚」なのに、古墳は「稚児塚」なのね。
一面の田園風景の中に、そこだけポコっと島のように浮かぶ姿が何となく面白く、これをモチーフにアングルを組んでみる。午後の日射しの中、すっきりと晴れ上がった青空の下。豊かな実りを湛えた稚子塚の秋の風景の中を、立山に向けてダブルデッカーが行く。午後のTY運用への送り込みであろう。5世紀から、1500年の眠りに就いている名も知らぬ豪族様、最近の1世紀は近くを電車がゴトゴト走るので、ちょっと眠りに差し障りますでしょうか・・・(笑)。
刈られた田んぼと刈り取り前の田んぼが、間の畦道の草叢の緑を挟んで何となくパッチワークっぽくシンメトリーな感じだったので、稚児塚を取り込みつつ構図を調整・・・。後ろで稲刈り作業も真っ最中だった農家の老夫婦に「何か珍しいものでもあるですかの??」という撮り鉄あるあるな話しかけられ方をされてしまったのだが、皆さんにとってはなんてことはない普段の風景が自分にとっての最高の被写体ですよ!みたいなカッコイイ事が言えれば良かったんだけど、「あ、いつも走ってるアレ、ダイコン電車って言うんですか。アレがすごく好きなんです」みたいな指示代名詞多めのマヌケな受け答えをしてしまった。普段ダイコン電車なんて言わないから言葉が上滑りしてしまったよ(笑)。
14760形のサイドは、昭和のクルマらしくかっちりとした田窓で、またそれも好ましい。立山連峰の前山をバックに、モーターの音も高らかに走り抜けて行くのでありました。