エッセイ  - 麗しの磐梯 -

「心豊かな日々」をテーマに、エッセイやスケッチを楽しみ、こころ穏やかに生活したい。

あり余る時間に冬の庭を楽しむ

2006-02-01 | 自然観察
《雪に鮮やかなアオキの実》

 静かな雪の庭に木漏れ日がやさしい。一回り小さくなった軒先のつるし柿が美味しそうに熟してきた。命ある小さな虫たちはいつしか雪の季節に埋もれ、厳寒の静寂が巡ってきた。寒さに凛とした赤紫のサザンカ一輪を手折り、家に入った。
 ツバキ、ジンチョウゲ、センリョウなど緑の葉は、雪に埋もれ寒さに耐えていた。ニシキギやアオキの橙色の実がはじけ、雪に映えてとても美しい。いつもの変わらない庭の木々だが、朝に夕に、雨の日、雪の日に、そのときどきの一瞬一瞬が美しく感じられる。
 雪の降る前にいくつもの鉢を部屋に取り込んだ。廊下から書斎の奥まで射し込む冬の陽を追いかけて鉢を移動することは実に楽しい。暖かな書斎から、巡った厳寒の真っ白な別世界を眺め、静かに、緩やかに流れる雪の季節を楽しみたいと思っている。
 あり余る自分の時間、冬の庭を楽しむ贅沢が有難い。


《紅いニシキギの実》