エッセイ  - 麗しの磐梯 -

「心豊かな日々」をテーマに、エッセイやスケッチを楽しみ、こころ穏やかに生活したい。

今井繁三郎美術収蔵館(鶴岡市)

2006-02-14 | 文芸

12日のNHKの「新日曜美術館」で、来週2/19に今井先生が放映される予告があり楽しみにしていた。今日、娘さんからそのご案内のはがきを頂いた。忘れないように見なければと思っている。
今井美術館へは、出羽三山への観光の帰りたまたまお寄りした。8年前のことだ。 そのユニークな美術館に感銘した思いを新聞に投稿した。美術館訪問の折りには先生はお留守で、以来、先生からは折に触れてお便りを頂いていたが、3年前に訃報に接した。一度お会いしていろいろお話をと思っていたので、とても残念だった。
テレビ放送を見て先生の偉業に触れ、威徳を偲びたいと思っている。

今井繁三郎美術収蔵館 HP 【http://www.imaimuseum.net/】


《山麓の石佛》 今井繁三郎
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一芸術家知り思わぬ「収穫」


 出羽国の羽黒山に参拝した帰り道、今井繁三郎美術館に立ち寄った。田や畑の間を縫いながらたどりついた柿畑の中に、鶴岡から移築されたという三百年も前の土蔵が見えた。背丈ほどの壺がいくつも並ぶ庭はヤマゴボウの黒紫の実が印象的な不思議な空間であった。
 監視人などいない館内には大きな絵画が並び、壁には民族衣装やお面が架けられ、屋根瓦やドライフラワーが床に置かれていた。美術館の主は個展開催に上京していたが、これら世界各地の民芸品の数々は、彼の心動かされた宝なのであろう。
 特に早春の月山の風景画に魅せられたが、小さなタンスに何気なくかけらた古ぼけた藍染の布の文字が心に残った。
 「そこは新しい風の通り道 吹き抜ける風の中で ふるさとの雪はめざめる」
 通りすがりに尊敬できる一芸術家を知り思わぬ収穫であった。そしてここに本当の美術館のあり様を見た思いがした。          (1998.9)  

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