エッセイ  - 麗しの磐梯 -

「心豊かな日々」をテーマに、エッセイやスケッチを楽しみ、こころ穏やかに生活したい。

無言館の戦没画学生を思う

2006-02-09 | 文芸
 最近、夜中に目ざめるとラジオ深夜便を聞いている。勤めていたころは仕事が心配で、眠れないことも悩みとなったが、今はいつでも日曜日、ついつい聞いてしまう。

 数日前、午前4時からの「心の時代」で、洋画家の野見山暁治氏が、友人の戦没画学生の思い出を語っていた。いつかも、夜半に目覚めラジオのスイッチを入れると、無言館窪島誠一郎氏が父、水上勉を語っていた。その後、このお二人の出会いがきっかけで無言館が建設されたと知った。
 長野県上田市郊外に、戦場に散った画学生の絵を展示する無言館を訪ねたのは4,5年前だったか、長い時間をかけてそれらの絵や手紙を見て歩いた。その思いを手帳に綴り、志半ばで失われた彼らの無念を心に留めた。その時、いつも忘れてはいけない戦争の悲劇に込み上げた涙を、今も忘れない。
 無言館での心の整理はまだついていない。8月に戦争のことを考えるが、いつもこれまで平和に生きてきた自分の幸せを申し訳なく思っていた。
 ラジオを聞いていて、もう一度、覚悟して無言館を訪ね、無言の意味を問い直してみたいと思っている。
 今私は還暦を迎え、もっと学びたかったと叫ぶ亡き若者の気持ちを胸に、私自身、これからの老いを精一杯生きなければと考えている。