【木彫りの薬師如来像】
若い時から仏像を鑑賞したいと思ってきた。
仏像の美しさに見とれて、静寂の中に身を置く時間の尊さが好きだ。
仏像を見つめるとき、自然とこころやすらぐから不思議だ。
仏像の鑑賞は、自分のこころをふり返るところへ戻る。
いつか、整然と立つ千体の千手観音像を前に佇んだ京都・三十三間堂では、心を静かに見つめる豊かさが込み上げ、感動に震えた。個性的な写実味豊かな二十八部衆とじっくり語らい、自分を見つめたこともあった。安らかで聡明な観音坐像の表情に見入るとき、俗世間の出来事など取るに足りないものに思えてきた。
これからも沢山の仏像を見つめていきたいが、自分を見つめることから、さらに仏教美術、仏像本来の存在意義なども考えてみたいと思っている。仏像との出会いに、古人の知恵、技術の素晴らしさを確認しながら、心の豊かさを感じ、求めていきたいと思っている。
我が家には、古都で求めたお面や弥勒菩薩の写真などが壁に掛けてある。
お面は新薬師寺の薬師如来の信仰者を守ってくれる神々,一二神将の伐折羅大将である。ガラスの本棚には木彫りの薬師如来像が静かに見つめている。
いつも、これらの仏に心を静められている。
【伐折羅大将】