エッセイ  - 麗しの磐梯 -

「心豊かな日々」をテーマに、エッセイやスケッチを楽しみ、こころ穏やかに生活したい。

良寛 乙子神社草庵

2009-11-09 | 文芸

 
 最近、良寛を訪ねたい心境だった。
朝霧が晴れ、いい秋日和、明日から天気が崩れそうなので、モミジの季節に分水町の国上山に五合庵を訪ねた。かつては雪のある季節、桜の時期に訪ねたが、この季節に是非良寛の見た景色を眺めたいと思った。

 高速割引も魅力だったが、皆同じ、どこも混んでいてがっかりした。
 国上山は観光地化していて、良寛を偲ぶ雰囲気ではなかった。散る落ち葉を楽しみにして遠路訪ねたが、駐車場は満車で入れず、結局五合庵の下にある乙子神社に、傍らの草庵と、あの石碑を見て山を下った。


 
 杉の林に囲まれ、昼なお暗き小庵がひっそりたたずんでいた。
良寛も歩いたであろう山道をたどった。大きな杉の切り株を見ると、遙か代は変われど、約200年前も同じような雰囲気であったろうと想像できた。
 草庵は当時の間取りを参考に昭和62年に再建されたものだ。
良寛は、老朽化した五合庵から少し下ったこの小庵に10年間住み、ここで円熟した作風を見せた。
 乙子神社の良寛歌碑は安政5年(1858年)良寛が示寂して27年後に建立されたもの。流麗な筆致をたどり、解説板の文字と見比べた。なんとか、「生」[立」そして小さな「懶」も確認できる。良寛の人生観「騰々」の文字も読めなかった。
 あらためて、良寛の貴い心を思った。





寺泊によりおいしい魚で昼食をと考えていたが、広い駐車場も入れず、魚市場も人混みで歩けないほど、またの機会にすることにした。
 人が少ないだろう落ち葉の頃に、また訪ねてみたいと思っている。
(2009.11.8)

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