エッセイ  - 麗しの磐梯 -

「心豊かな日々」をテーマに、エッセイやスケッチを楽しみ、こころ穏やかに生活したい。

しばしの冬ごもり 雪に思う

2011-01-20 | Weblog
 今日は暦の大寒、一年中で一番の寒い時期だ。しばらくは雪マークの予報が続く。
毎朝、妻は積もった雪かきに余念がない。枯れ木に花が咲いたように木々がきれいだ。
 今年は昨年末の大雪で、まるで家全体が雪に埋まっているようだ。
車のスペース以外は雪がうず高く積まれ、踏み入れない裏庭はに腰のあたりまで残っている。
 しんしんと降る雪、横殴りの吹雪の日と、毎日自然の厳しさを見つめている。



 
会津の雪について書いた昔のエッセイを探した。
テーマは「もっと楽しみたい会津の雪景色」、これには思い出があった。
 このエッセイが新聞の読者欄に掲載された数日後に、奥会津金山の人からお叱りのはがきを貰った。
自分としては、豪雪地域の苦労も知っているつもりで触れたが、それでは済まない辛さがあったのだろうと、反省した。
もう10年も前、元気で勤めていたころの思いだった。

毎日毎日鉛色の空から落ちてくる雪は恐ろしいものだ。膝ほどの雪道でも、開けるの一苦労だった。
また、何年も繰り返し降り積もった雪の重みで庇が壊れ、数年前に屋根工事を余儀なくされたこともある。

 確かにいろいろ苦労な雪ではある。でも私は基本的に雪が好きだ。
その雪への思いは今も変わらない。

最上川逆白波のたつまでに
ふぶくゆふべとなりにけるかも

齊藤茂吉(白き山)

「雪を厄介者としか見ない生活は実に味気ない。」と思っている。

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もっと楽しみたい会津の雪景色
 昨夜来の吹雪に車がすっぽり埋もれていた。市道までの雪かきを妻に任せ、徒歩で出勤することにした。
「雪の降る街を」と口ずさみながら、何を考えるでもなく歩を進めた。太郎の屋根、次郎の屋根に降り積む雪は人の心にお構いなしだ。
 豪雪に悩む地域の方のつらさは時折の体験から十分わかるが、私は雪が大好きだ。そして雪が降るから冬が好きだし、会津が好きだ。
立ち止まり手袋に舞い降りた雪の美しさに見入る。時折小止みになると目の前に杉林の雪景色が山水画のようにぼんやりと浮かんだ。
 「雪は天から送られた手紙である」と言ったのは中谷宇吉郎。私にも雪は天からのこの上ない贈り物だ。
雪景色にどれほど感動しこころ癒されるか知れない。雪を厄介者としか見ない生活は実に味気ない。厳寒の中にも雪には暖かささえ感じられるものだ。
 暦の春はもうそこ、会津の残りの冬をもっと楽しみたいと思っている。(2003.1)
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しばらくの雪に、麗しの磐梯の雄姿が見えそうにないが、やがて節分、雪解けの陽が差す日も訪れるだろう。しばしの冬ごもりだ。
 


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