【窓際の寒々した木々】
彼岸を過ぎたのにいつまでも寒い。春は名のみの風が冷たい。
今朝方は季節外れの吹雪だった。
しばらく窓際に陣取り、ぼんやり庭を眺めていた。
楽しみはヒヨドリとの会話。雪の中、えさ台に降り立ちリンゴをおいしそうに啄んでいた。
深閑の林に昼下がりの陽が差し、ハクモクレンのつぼみの毛が輝いている。
我が家を覆っている桐の大木、その枯れた実の向こうを白い雲が流れていく。
正にゆく川の流れのごとく、浮く雲の流れは絶えずして、しかももとの雲にあらずだ。
そして、浮かんでいる絹のような薄い雲が、かつ消えかつ結びて久しくとどまりたるためなしである。
巨大地震から二週間、報道に震災の惨状を見るにつけ、また、原発の不安を募らせながら鴨長明の無常観を浮かべた。
諸行無常、この世の移ろいをぼんやり思い浮かべ、うつろな日々を送っている。
