巡り来た秋、何ら今までと変わらない里山の自然を見つめている。
銀色に輝くススキが波打つ山道で、ハンミョウの美しい金属色にみとれる。
色あせたアザミには羽の傷んだヒョウモンチョウが無心に蜜を吸っている。ウラギンスジヒョウモンが盛んに産卵している。
マイコアカネの交尾
今、暑さの夏を過ごした小さな命は安らぎのとき、すべてが愛おしく、昔のままだ。
トリカブト
アキアカネ
でも、いつも震災や原発のことが頭から離れずに、心が沈む。
わずかな義援をしても心は晴れず、当たり前の生活にもなぜか後ろめたさが募る。きっと、誰もがそうなのだろう。
もう、過ぎてしまった3・11を「仕方ない」と言い聞かせ、
すり切れた良寛の漢詩に、「今日を生きよう」と気を新たにしたいと思う。
この天高い青空を、すっきりした気持ちでながめられる日が一年でも早くと願っている。