去年の夏、里山の林で採ったカブトムシが卵を産んだ。
真っ白いイクラほどの卵から1年、孫が水分に気をつけながら大事に育てたカブトムシが生まれた。
丁度ガラスケースの見えるところで巣を作った幼虫は白から褐色の蛹に、そして先日、5頭の真っ黒なカブトが土から這い出してきた。
いずれもかなりの小型で、オスもわずかばかりのツノから分かるほどだったが、孫は大喜びだった。
角はちっちゃいが
今朝、孫たちとその生まれたカブトムシを森の樹液に放した。
虫たちへの大人のエゴかも知れないが、前から森に帰そうと孫と約束していた。
カブトムシの誕生を見つめて1年、4年生の孫に今の気持ちを聞くと、複雑だと答えた。
虫が森で生きられる嬉しさ、自分がもう少し飼っていたい気持ち、そして虫たちとの別れなどが複雑に交錯する少年の心の動きが愛おしかった。
自然に親しみ、いのちをみつめながら、孫たちが少しづつ成長していって欲しいと願っている。(2012.8.1)