全国各地で渓流釣り場が解禁されているが、先週の日曜、3月1日はそれが最も集中する日だ。
このワタシも当然それに合わせて作戦を練っていた。何しろアドバイスをしてくれる人はゼロ。(これはこれで楽しいんだけど…)釣り場選択には数少ない出版物と数あるネット情報を元に考えに考えて結論を出したが、それが鳥取県を流れる天神川水系だった。
選んだ理由は色々あるが、一番は「人が少なそう」だったから。これは調べれば調べるほど、ドンドン頭デッカチになり、解禁日直前に放流される成魚を狙って人が集中し、釣り場が「釣り堀状態」になることを光景を想像し、恐れていたからだ。
当日に備え、前夜に西宮の自宅を出発したのだが、意外に早く2時間半ほどで天神川上流部の支流=加谷川に到着した。
到着時、あたりはもちろん真っ暗なのでライトを照らして川の様子を見るが、今年は雪解けが早かったせいか思った以上に水量が多く、ドバッと流れているようだ。渓流釣りの経験はなくても「雪解け→低水温→魚が低活性→急流には居辛い」という磯釣りで覚えた図式が思い浮かび、この支流をパスすることにした。
次に加茂川という支流向かったが、水量が少なすぎて低水温時に魚が留まる場所が少なそうなのでここもパス。その後アッチコッチをグルグルと廻ってようやくたどり着いたのが野添川という支流だったが、ここについた時点で時計は3時半頃を指していた。
とりあえず仮眠をとるが、1時間ほど経つと誰かが車の窓をノックしている…。よく見ると地元民風の爺さんだ。
「あんた一人か?」(爺)
眠い目を擦りつつ、
「ファ~、何ですか~?」(ワタシ)
「昨日からここに来て草刈りをして準備してたんやけど、アンタ1人やったら一緒に釣りが出来るから、横に入っても構わないか?」(爺)
寝ぼけているし、ルールもよく解らないから
「とりあえず寝させて…明るくなったら考えるから」(ワタシ)
しかし、この判断がまずかった。
夜が明けるまでの間、ウトウトとした後に準備を済ませて下に降りてみると、爺さんは既にデンッとクーラーに座り、身構えている。しかも、いつの間にか仲間と2人になっているではないか!。
「そこをドケッ(退けっ)」という下品な言葉を使えず、はたまた老人の楽しみを奪うような事が出来ない、心優しいワタシはその下流に入ったが、夜が明けるとビックリ、魚が溜まりそうな淵は爺さん達の目の前にあり、ワタシの入った場所は極浅の水深しかない。爺さん達に目をやるともう2、3匹は釣っているようだ。焦ったワタシはあたりをウロウロとするが、これといったあたりもなく、意気消沈。何だかド厚かましい爺さん達に睡眠と魚を奪われ、一杯食わされたような気分だが、仕方なくこのポイントを捨てることにした。
漁協からもらったマップを見ると、隣の支流にある小泉川にも放流地点があるようなので、とりあえず土産を確保するためにその地点へと向かった。
しかし、ここも極浅。上から眺めていると放流した形跡もなく、途方に暮れてしまったが、やや下流で倒れた葦の間を流れる2本の川筋

の中に深みを発見。試しにここで竿を出してみることにした。手前からミミズの餌でじっくりと攻めた3投目、目印がツンッと反応した。すかさずアワセると、小気味よい引きでロッドが曲がる。そしてようやく本日1匹目!のヒレがピンッと伸びきった23cmのヤマメ

が玉網に収まった。この川では稚魚放流をしていないそうなので、恐らく天然モノだろう。全く大きくはないが、初めて胸を張って言える”天然モノ”の美しさに感動した瞬間であった。
更に続けて攻めるが、小場所ゆえ、魚影が薄いのか続くアタリはなく、また車に乗っての移動が始まった。
移動をしつつ、アチコチの良さそうな場所で竿をだすものの、一向にアタリはなく、焦りに焦って最後に向かったのは、三徳川という支流だった。この日のパターンは底に石が転がる深み(=淵)だということに感づいてはいたので(知っている人にとっては当たり前のことだけど…。)車窓から横目でチェックしていると、とある橋の下に適当なスポットを発見。上から覗くと何匹かが群れている。ただし、成魚放流されたモノのようだ。
エサのイクラをつけて投入するが無反応。どうやら朝から多数の釣り人からプレッシャーを受けてかなりスレているようだ。エサをブドウ虫やミミズにローテーションさせてもダメで、こうなりゃダメ元でこの日のためにわざわざ岐阜県から通販で取り寄せた川虫(キンパク)を装餌すると、小さくアタリが出始めた。しかし、ほとんど触る程度なので合わせるタイミングが難しい。
数投目、ようやく針にかかるが、すぐに外れてしまう。以後は警戒心が更に増したのか、全く当たりが出なくなり、このポイントからの撤退が決まった。
もう諦めて帰ろうかと思いつつ、移動をしていると、また大きい淵を発見し、最後のつもりでそのポイントに入った。どうせ誰かが攻めた後だろうから、川虫を装餌し、第一投。予想に反して人流し目からアタリが出た。1回目は空振りだったが、徐々にタイミングを掴んで本日2匹目をようやくここでゲット。川虫がイイのか時合いなのかは判らないが何投かに1度の割合でゲットし夕暮れせまる頃にはこのポイントで成魚放流モノながら8匹ゲットに成功していた。
天然河川を1日中ウロついた結果、最初の1匹以外の釣果の全てが成魚放流モノになったことに何だか複雑な気分になったが、家族が大好きな”渓魚の天ぷら”用の土産の確保だけはかろうじて出来たので、ホッとした気分で帰路に就いたワタシであった。
このワタシも当然それに合わせて作戦を練っていた。何しろアドバイスをしてくれる人はゼロ。(これはこれで楽しいんだけど…)釣り場選択には数少ない出版物と数あるネット情報を元に考えに考えて結論を出したが、それが鳥取県を流れる天神川水系だった。
選んだ理由は色々あるが、一番は「人が少なそう」だったから。これは調べれば調べるほど、ドンドン頭デッカチになり、解禁日直前に放流される成魚を狙って人が集中し、釣り場が「釣り堀状態」になることを光景を想像し、恐れていたからだ。
当日に備え、前夜に西宮の自宅を出発したのだが、意外に早く2時間半ほどで天神川上流部の支流=加谷川に到着した。
到着時、あたりはもちろん真っ暗なのでライトを照らして川の様子を見るが、今年は雪解けが早かったせいか思った以上に水量が多く、ドバッと流れているようだ。渓流釣りの経験はなくても「雪解け→低水温→魚が低活性→急流には居辛い」という磯釣りで覚えた図式が思い浮かび、この支流をパスすることにした。
次に加茂川という支流向かったが、水量が少なすぎて低水温時に魚が留まる場所が少なそうなのでここもパス。その後アッチコッチをグルグルと廻ってようやくたどり着いたのが野添川という支流だったが、ここについた時点で時計は3時半頃を指していた。
とりあえず仮眠をとるが、1時間ほど経つと誰かが車の窓をノックしている…。よく見ると地元民風の爺さんだ。
「あんた一人か?」(爺)
眠い目を擦りつつ、
「ファ~、何ですか~?」(ワタシ)
「昨日からここに来て草刈りをして準備してたんやけど、アンタ1人やったら一緒に釣りが出来るから、横に入っても構わないか?」(爺)
寝ぼけているし、ルールもよく解らないから
「とりあえず寝させて…明るくなったら考えるから」(ワタシ)
しかし、この判断がまずかった。
夜が明けるまでの間、ウトウトとした後に準備を済ませて下に降りてみると、爺さんは既にデンッとクーラーに座り、身構えている。しかも、いつの間にか仲間と2人になっているではないか!。
「そこをドケッ(退けっ)」という下品な言葉を使えず、はたまた老人の楽しみを奪うような事が出来ない、心優しいワタシはその下流に入ったが、夜が明けるとビックリ、魚が溜まりそうな淵は爺さん達の目の前にあり、ワタシの入った場所は極浅の水深しかない。爺さん達に目をやるともう2、3匹は釣っているようだ。焦ったワタシはあたりをウロウロとするが、これといったあたりもなく、意気消沈。何だかド厚かましい爺さん達に睡眠と魚を奪われ、一杯食わされたような気分だが、仕方なくこのポイントを捨てることにした。
漁協からもらったマップを見ると、隣の支流にある小泉川にも放流地点があるようなので、とりあえず土産を確保するためにその地点へと向かった。
しかし、ここも極浅。上から眺めていると放流した形跡もなく、途方に暮れてしまったが、やや下流で倒れた葦の間を流れる2本の川筋

の中に深みを発見。試しにここで竿を出してみることにした。手前からミミズの餌でじっくりと攻めた3投目、目印がツンッと反応した。すかさずアワセると、小気味よい引きでロッドが曲がる。そしてようやく本日1匹目!のヒレがピンッと伸びきった23cmのヤマメ

が玉網に収まった。この川では稚魚放流をしていないそうなので、恐らく天然モノだろう。全く大きくはないが、初めて胸を張って言える”天然モノ”の美しさに感動した瞬間であった。
更に続けて攻めるが、小場所ゆえ、魚影が薄いのか続くアタリはなく、また車に乗っての移動が始まった。
移動をしつつ、アチコチの良さそうな場所で竿をだすものの、一向にアタリはなく、焦りに焦って最後に向かったのは、三徳川という支流だった。この日のパターンは底に石が転がる深み(=淵)だということに感づいてはいたので(知っている人にとっては当たり前のことだけど…。)車窓から横目でチェックしていると、とある橋の下に適当なスポットを発見。上から覗くと何匹かが群れている。ただし、成魚放流されたモノのようだ。
エサのイクラをつけて投入するが無反応。どうやら朝から多数の釣り人からプレッシャーを受けてかなりスレているようだ。エサをブドウ虫やミミズにローテーションさせてもダメで、こうなりゃダメ元でこの日のためにわざわざ岐阜県から通販で取り寄せた川虫(キンパク)を装餌すると、小さくアタリが出始めた。しかし、ほとんど触る程度なので合わせるタイミングが難しい。
数投目、ようやく針にかかるが、すぐに外れてしまう。以後は警戒心が更に増したのか、全く当たりが出なくなり、このポイントからの撤退が決まった。
もう諦めて帰ろうかと思いつつ、移動をしていると、また大きい淵を発見し、最後のつもりでそのポイントに入った。どうせ誰かが攻めた後だろうから、川虫を装餌し、第一投。予想に反して人流し目からアタリが出た。1回目は空振りだったが、徐々にタイミングを掴んで本日2匹目をようやくここでゲット。川虫がイイのか時合いなのかは判らないが何投かに1度の割合でゲットし夕暮れせまる頃にはこのポイントで成魚放流モノながら8匹ゲットに成功していた。
天然河川を1日中ウロついた結果、最初の1匹以外の釣果の全てが成魚放流モノになったことに何だか複雑な気分になったが、家族が大好きな”渓魚の天ぷら”用の土産の確保だけはかろうじて出来たので、ホッとした気分で帰路に就いたワタシであった。