中島ブラザーズ ”弟”の「外で遊ぼう!」

近頃は日本海で、ヒラマサを追ってばかり。よって磯釣りや渓流釣りは休止状態ですが…。

導火線に火が着いた高原川

2011-05-28 12:30:00 | 渓流&管理釣り場での釣り
■ようやく本格スタートの高原川■

 厳しかった今冬の影響なのか、聞こえてくる話は不調という言葉しかなく、実際に訪れたボク自身の釣果も空振り続きだった高原川。漁協に対する良からぬ噂を立てる者も一部に現れるなど、ロクなニュースが流れてこなかったが、いつもお世話になっている地元の釣具店=宝フィッシングさんの情報では、5月も中盤の大水が出た後にようやく本格的に釣れ始めたとのこと。それを受けて早速釣行と相成った。


●夜中の1時過ぎ、峠の気温は17度を指していた。●


 但し、川の状態はベストではない。大雨に雪解けの雪代が加わった増水の後は、やや高止まりしたままであるうえ、当日午後も天気予報では降雨の予報が出ており、更なる増水を考慮すると「勝負は午前中になる」と初めから予想していた。運のないボクのことだ。果たしてその短時間の間に復調の恩恵は受けられるのだろうか…。


■予想通りの増水■

 朝一番は、今まで何度か入ったことのある、葛山の堰堤から釣り上がることにした。これは上記したような増水傾向から、ある程度予想がつく区間でなければ、更に増水した際に危険が伴うという予想があったためだ。それに、前回、前々回と減水のために潰れていたポイントが復活している可能性が高いことも要因の一つだった。


●スタート地点の葛山堰堤前●


 早速入川するも、予想通りの増水で川幅は前回に訪れた際の3倍くらいになっている。しかも雪代の影響で川はやや白濁気味だったが、前回に訪れた際に感じた川の冷たさは無くなっており、その分だけ期待が持てそうであった。


●増水傾向の高原川本流●



■いつものポイントへ■

 スタート時点での反応は薄く、「またやってしまったのか?」という感もあったが、やがて昨年にヤマメをまとめて抜いたポイントへと差し掛かった。
 様子を見ると、水位がほどよく上昇して窪みの中で渦を巻き、見事に復活しているではないか!。


●チョッとブレた写真だけど、いつものポイント●


 早速仕掛を投入開始したが、増水の影響で今までとは逆にポジション取りが難しく、持ち込んでいた7.5mの竿ではヒジを伸ばした片腕で保持するという、無理な姿勢をとらないと届かない距離になっていた。
 腕がツリそうになりながらも仕掛を投入し、なんとか渦の中で馴染ませる。仕掛が渦の中で1周するまでの間に、アタリを捉えることに成功。しかし、無理な姿勢のおかげでアワセが遅れたせいか、1匹目のヤマメは水面から抜こうとした瞬間にハリハズレで逃してしまう。
 ガックリうなだれながらも投入し続け、何とか次のヤマメは無事に取り込めた。続いて小型のイワナが続く。
 

●高原川らしい体型のヤマメ●



●18cmほどののイワナ●


 サイズは大したことはないが、今シーズンの高原川では初めてのまとめ釣りに気をよくして更に釣り上がってゆく。


■押しの強い流れ■

 魚の反応が一段落ついた後は移動し、更に釣り上がってゆくが、思った以上に流れが強くてポイントが少ない。特に流れ込みのようなポイントは、水量に押されて流芯とその脇との流れの差があまり付かなくなってポイントが潰れていることが多く、投入した仕掛が落ち着かない。更には、この季節にしては低い水温のせいか、流れの速い部分には魚が入っておらず、自ずと大石裏の淀み狙いの方が成果が上がりそうだ。
 そして如何にも魚が着いていそうな石裏を見付けては、ソコに仕掛を打ち込み、シツコク粘ってみることにした。


●「如何にも」なポイント1●


 狙いは的中し、マズマズのサイズのイワナをゲットする。しかし、その姿は無惨にも尾ビレの一部がカットされていた。これは去年にも書いたことだが、フライ・フィッシング界の一部に居る自称愛好家によってカットされたものと聞いているが、しかるべき機関が行う学術的な調査ならいざ知らず、個人でやることに何の意味があるのだろうか?。カットされたヒレの回復は放流魚の例を見れば判るが、そう簡単なものではない。これだけ大きくカットされれば尚更のことだろう。


●尾ビレがカットされた25cmのイワナ●


 押しの強い流れが続く中、ここまで石裏を中心に狙ってそこそこ数を稼いできたが、ようやくボクの好きなタイプの、力強いハッキリとした流れが深瀬に流れ込み、その周りに引き込まれるような流れが生じているポイントに到達した。


●「如何にも」なポイント2●


 丹念に下流側から攻めてゆくが、このような誰もが狙うポイントは前日の土曜日に攻められて居るであろうから、反応は薄い。そして、空からは事前に予想していたモノよりも大きな雨粒が落ち始め、同時にやや強い風が吹き始めた。
 そこで3Bオモリを打って風に対抗させるがそれでも流し辛いので4Bに打ち直し、オモリが根掛かりしない程度のテンションを掛けて底を転がすようなイメージで仕掛を流してゆくことにした。
 この作戦が当たって1匹目は20cmほどのイワナだったが、続いて久しぶりにヤマメをゲットする。


●20cmのヤマメ●


 このポイントでは結局3匹ゲットした後に移動し、再び石裏狙いの区間に入る。
 降り出した雨と共に気温が下がり始め、寒いことこの上ない。それと同時に各ポイントでの魚の反応が鈍くなってアタリが渋くなってくる。それでもイワナは低水温に強いのか、なんとか食い込んでくれるが、ヤマメらしき魚はアタリがあってもハリに乗らない、もしくはやり取りの途中でハリハズレが連発し始める。

 ここまで使用したエサはミミズと川虫類だったが、特にアタリが多いのはクロカワムシとキンパクの2種類だった。


●クロカワムシ●



●キンパク●



■今季初の尺オーバー■

 明らかに下降する魚の活性を感じつつ釣り上がって行く内に、気付けば区間の最終地点が近付いていた。残りポイントが少ない中、その近くにある、とある石裏ポイントに目が向いた。このポイントは大石の裏に、もう一つ二回りほど小さい水没した石が見え、その石と石との間が「如何にも」な雰囲気を醸し出していた。
 強風対策で打っているオモリが大きいので、直接仕掛を打ち込むと、着水音が伝わってそこに潜むであろう魚に警戒されそうだ。そこで奥側に打ち込んだ後に引き込むイメージで仕掛を馴染ませてみることにした。


●「如何にも」なポイント4●


 この作戦が一発で成功し、目印の動きが止まると同時に「ゴンッ!」という衝撃がボクのロッドを襲った。
 スピードはないがトルクのある引きから容易に相手がイワナだと想像できたが、サイズはそこそこありそうだ。
 天候具合とアタリの遠退き具合からこれが本日のラストチャンスだと思い、逃したら後がないことが判っていたから、やり取りは慎重になる。
 何度か空気を吸わせて充分に弱らせた後、無事玉網に誘導したイワナは尺を少し超えていた。ホッとしたのも束の間で、そう喜んでも居られない。ナゼならこれまた尾ビレがカットされていたのだ。


●尾ビレにカット痕のある31cmのイワナ●


 その後も同じ石裏を攻め続けたが、大きめの魚にはナワバリ意識があるのか、一等地ポイントに「二匹目のドジョウ」のイワナは居なかった。
 程なく最終地点の芋生茂(おいも)橋に到達したが、この下にあったハズのポイントも増水のために消滅しており、何も手だてが打てないまま、退渓を決意した。


●芋生茂(おいも)橋●



■最後っぺ■

 退渓後は車で移動しつつ各ポイントの様子を覗いて回ったが、降り出した雨により更に上昇した水位の影響で、ほとんどの区間で釣りにならない状況に陥っていた。
 唯一何とかなりそうだったのが景勝地の杖石(つえいし)裏だった。早速竿を出してみたが、ブッ飛ぶ流れに仕掛が馴染まず苦労の連続だ。


●杖石裏のポイント●


 それでも何とか仕掛が落ち着くところを見つけ出し、イワナを1匹を追加する。


●24cmのイワナ●


 その後も少し粘ってはみたが、続く魚は居なかった。
 釣果が20を超えていることもあって、この魚を機に「これ以上の続行は危険」と判断し、高原川を後にすることにした。


■本番はこれから■

 帰り際に立ち寄った宝フィッシングさんの話では、遅れに遅れていた渓魚がマトモに釣れ出したのは、ほんの一週間前のことだそうだ。
 渓魚自体の「本番はこれから」ということであるらしいし、更には今年も鮎の解禁が遅れるそうなので、7月上旬までは充分渓流釣りが楽しめるということであった。
 釣行当日は前日に30℃近くあった気温が10℃以下に下がり、加えて冷たい雨の影響で急に水温が下がったせいか、釣果のほとんどが、より低水温に強いイワナだった。しかし、これから水温が上がればヤマメも本格化するだろうから、楽しみが増えるだろう。

 ここに来てようやく導火線に火が着いた感がある高原川の現況だった。今後は、遅れていた分だけ凝縮されて大爆発するのかどうかはボクには予想できないが、「そうあって欲しい」と願うばかりだ。
コメント
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