■仕事のついでに■
先日、本業の都合で東京へ出張することになった。得意先の関係上、東京都内の築地市場(正式名称は「東京都中央卸売市場築地市場」)に足を運ぶことが多く、年に1~2度はここを訪れている。
もっとも、いつもは時間の制約があって、得意先へ直行し、商談後は正門前からバスに乗って立ち去っていたのだが、今回は、お昼ちょうどにアポを取っていたことから、商談後に昼食がてらに周囲をウロウロすることになった。
海外からの観光客が目をつけたことから脚光を浴び始め、近頃では観光スポットとしてTV等で紹介されることも多くなったが、場内を歩いているとその通り、昔ながらのバス旅行風に赤い旗をもったガイドさんが先導しているグループを見掛けたり、英語や中国語のガイドさんが、少人数のグループを案内している姿も当たり前のように見受けられた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4c/12/d19918a633c80735f7a6ba1e636ab114.jpg)
■賄い料理■
市場が観光地化するのは、その地特有の食材を見たり、許可が必要だがセリ場風景を眺めたり、といった学生時代の「社会見学」的な要素もあるが、それに加えて、いや、多くの人にとってメインになるのは「ウマいもの」を求めることだと思う。
実情はともかく、「中央卸売市場内」では小売りが禁止されているので、一般客が市場に並ぶ商品を直接購入することができない。しかし、それは場内の業者に限られたことであり、場外へと出て、その並びにある業者からの購入はOKとなる。
築地市場は、「都民を支える台所」としての機能を堅持しているから、他の卸売市場よりも圧倒的に集客力が高い。その上で、上述した市場内外の区分けが厳格に守られているから、卸と市販、そして食事処を兼ねた「場外市場」の活気が非常に高くなるのは頷ける話だ。
場外市場をTV等で採り上げる場合、その場で味わう食事処についてのレポートをよく見掛けるが、そもそもそういった食事処は、本来、市場に勤める人達が合間に食べる場所であることから、「ウマくて、安くて、早く食べられる」という、どこかの牛丼屋さんのコピーのような要素が求められる。差詰め料理店の厨房で言うところの「賄い料理」の感覚だ。そして、その代表格が「丼物」ということになる。
■海鮮丼■
丼物の第一は何と言っても、市場を経由して入る新鮮な魚介類を使った「海鮮丼」だ。今回、ボクもそれを食べようか?と思ってウロつき始めたのだが、どの店も昼食としては「結構なお値段」であるうえ、関西人にとってはとても苦手な行列が出来ていた。
特に「お値段」の方は東京という場所柄、地代が反映されているのか、全国各地にある、例えば石川県・金沢市にある近江町市場界隈や北海道・釧路市にある和商市場と比べるとかなり割高な印象だった。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0a/3f/c89eeceff439f4507564786a107c60cf.jpg)
海鮮丼を物色しつつ、更に巡ると多くの寿司屋も見掛けるのだが、どこも行列があって入りにくい。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3f/2d/c938cbd2d17aa9a719e3124666ab7c3e.jpg)
そこで、魚がし横町から道路沿いに出て北東方向に歩き、もんぜき通りに入る。
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■牛丼■
しばらく歩いていると、前方から急にイイ臭いが漂ってきた。その発信源は「きつねや」という、牛丼&ホルモン煮を扱う店だった。
ここにも行列は出来ていたが、基本的に立ち食いスタイルをとっているので、じっくり腰を落ち着けることが出来ない分だけ客の回転は早そうだ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6f/14/a6414a2052ba1b5fa0ad4f0db3ec11c2.jpg)
早速最後尾に並び、メニューに目をやりながら前へと進むが、予想通り、回転が早い。様子を見ていると、客が自らの注文を言い出すまで待つのではなく、奥さんと思しき人が、流れを見つつ、5人分くらいの注文を「兄さん何するの?」といった感じで聞き込んで、捌いている。そしてそれを鍋釜を管理している旦那と思しき人に伝えるという、連携プレーのおかげで客達はあっという間に丼を手にすることになる。
やがてボクの番がやってきた。メニューは牛丼の他、豆腐煮やホルモン煮などがあったのだが、ここは初めてなので、とりあえずは牛丼とお新香を注文する。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2e/a5/d7eef306c8eaa0d3f3f3e4e062c43032.jpg)
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牛丼チェーン各店の倍はする価格から、当然の如く味はそれらのレベルを凌駕している。煮込まれた肉は繊維が崩れる手前のジャストタイミングに仕上がって、かなりイケる牛丼だった。
しかし、帰宅後に調べるとガックリ。ここのメインで、第一の評価を受けるのはホルモン煮のほうであるそうな。実際、注文時にホルモン煮も同時注文するか、散々迷っていたのだが、前日夜、友人達に「痩せろ!」とさんざん言われて、躊躇してしまった次第である。ホルモン煮との遭遇が出来なかったことは非常に残念な結果ではあるが、次回以降の楽しみとしてとっておこう。
食事の後も少しブラついたが、TVワイドショー「サンデー・ジャポン」でお馴染みのテリー伊藤さんの兄、通称アニー伊藤さんがやっている卵焼き屋「丸武」を発見する。見ればアニーさんが店内に居る様子。
しかし、腕組みをしたり、腕を腰に当てたりしながら、若い衆の手元を見つめるその姿は真剣そのものであり、頭上のパンチパーマとイカツイ眼鏡とが相まって、何だか近付き難い雰囲気が流れていたので、残念ながら卵焼きの購入には至らなかった。
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短時間だが、巡ってみると面白かった築地市場だった。別に築地まで出向かなくてもご存じの通り、日本各地には卸売市場なる物が存在し、そこには築地同様に食事処も多く存在しているから、見付けて探検するのも面白いかと思う。かく言うボクも、仕事柄そんなところを訪問することが多いので、今後も機会があれば紹介して行きたいと思う。
先日、本業の都合で東京へ出張することになった。得意先の関係上、東京都内の築地市場(正式名称は「東京都中央卸売市場築地市場」)に足を運ぶことが多く、年に1~2度はここを訪れている。
もっとも、いつもは時間の制約があって、得意先へ直行し、商談後は正門前からバスに乗って立ち去っていたのだが、今回は、お昼ちょうどにアポを取っていたことから、商談後に昼食がてらに周囲をウロウロすることになった。
海外からの観光客が目をつけたことから脚光を浴び始め、近頃では観光スポットとしてTV等で紹介されることも多くなったが、場内を歩いているとその通り、昔ながらのバス旅行風に赤い旗をもったガイドさんが先導しているグループを見掛けたり、英語や中国語のガイドさんが、少人数のグループを案内している姿も当たり前のように見受けられた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4c/12/d19918a633c80735f7a6ba1e636ab114.jpg)
●場内の端に固まる観光客達●
■賄い料理■
市場が観光地化するのは、その地特有の食材を見たり、許可が必要だがセリ場風景を眺めたり、といった学生時代の「社会見学」的な要素もあるが、それに加えて、いや、多くの人にとってメインになるのは「ウマいもの」を求めることだと思う。
実情はともかく、「中央卸売市場内」では小売りが禁止されているので、一般客が市場に並ぶ商品を直接購入することができない。しかし、それは場内の業者に限られたことであり、場外へと出て、その並びにある業者からの購入はOKとなる。
築地市場は、「都民を支える台所」としての機能を堅持しているから、他の卸売市場よりも圧倒的に集客力が高い。その上で、上述した市場内外の区分けが厳格に守られているから、卸と市販、そして食事処を兼ねた「場外市場」の活気が非常に高くなるのは頷ける話だ。
場外市場をTV等で採り上げる場合、その場で味わう食事処についてのレポートをよく見掛けるが、そもそもそういった食事処は、本来、市場に勤める人達が合間に食べる場所であることから、「ウマくて、安くて、早く食べられる」という、どこかの牛丼屋さんのコピーのような要素が求められる。差詰め料理店の厨房で言うところの「賄い料理」の感覚だ。そして、その代表格が「丼物」ということになる。
■海鮮丼■
丼物の第一は何と言っても、市場を経由して入る新鮮な魚介類を使った「海鮮丼」だ。今回、ボクもそれを食べようか?と思ってウロつき始めたのだが、どの店も昼食としては「結構なお値段」であるうえ、関西人にとってはとても苦手な行列が出来ていた。
特に「お値段」の方は東京という場所柄、地代が反映されているのか、全国各地にある、例えば石川県・金沢市にある近江町市場界隈や北海道・釧路市にある和商市場と比べるとかなり割高な印象だった。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0a/3f/c89eeceff439f4507564786a107c60cf.jpg)
●海鮮丼のメニュー看板●
海鮮丼を物色しつつ、更に巡ると多くの寿司屋も見掛けるのだが、どこも行列があって入りにくい。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3f/2d/c938cbd2d17aa9a719e3124666ab7c3e.jpg)
●寿司屋の並ぶ、魚がし横町●
そこで、魚がし横町から道路沿いに出て北東方向に歩き、もんぜき通りに入る。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/25/53/9ebb2e56731852fc659c78a721217973.jpg)
●もんぜき通りを行き交う人達●
■牛丼■
しばらく歩いていると、前方から急にイイ臭いが漂ってきた。その発信源は「きつねや」という、牛丼&ホルモン煮を扱う店だった。
ここにも行列は出来ていたが、基本的に立ち食いスタイルをとっているので、じっくり腰を落ち着けることが出来ない分だけ客の回転は早そうだ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6f/14/a6414a2052ba1b5fa0ad4f0db3ec11c2.jpg)
●きつねや●
早速最後尾に並び、メニューに目をやりながら前へと進むが、予想通り、回転が早い。様子を見ていると、客が自らの注文を言い出すまで待つのではなく、奥さんと思しき人が、流れを見つつ、5人分くらいの注文を「兄さん何するの?」といった感じで聞き込んで、捌いている。そしてそれを鍋釜を管理している旦那と思しき人に伝えるという、連携プレーのおかげで客達はあっという間に丼を手にすることになる。
やがてボクの番がやってきた。メニューは牛丼の他、豆腐煮やホルモン煮などがあったのだが、ここは初めてなので、とりあえずは牛丼とお新香を注文する。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2e/a5/d7eef306c8eaa0d3f3f3e4e062c43032.jpg)
●牛丼630円とお新香130円なり!●
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1d/36/993ea8b2f273f44169be6ef8f063efe5.jpg)
●基本的に立ち食い●
牛丼チェーン各店の倍はする価格から、当然の如く味はそれらのレベルを凌駕している。煮込まれた肉は繊維が崩れる手前のジャストタイミングに仕上がって、かなりイケる牛丼だった。
しかし、帰宅後に調べるとガックリ。ここのメインで、第一の評価を受けるのはホルモン煮のほうであるそうな。実際、注文時にホルモン煮も同時注文するか、散々迷っていたのだが、前日夜、友人達に「痩せろ!」とさんざん言われて、躊躇してしまった次第である。ホルモン煮との遭遇が出来なかったことは非常に残念な結果ではあるが、次回以降の楽しみとしてとっておこう。
食事の後も少しブラついたが、TVワイドショー「サンデー・ジャポン」でお馴染みのテリー伊藤さんの兄、通称アニー伊藤さんがやっている卵焼き屋「丸武」を発見する。見ればアニーさんが店内に居る様子。
しかし、腕組みをしたり、腕を腰に当てたりしながら、若い衆の手元を見つめるその姿は真剣そのものであり、頭上のパンチパーマとイカツイ眼鏡とが相まって、何だか近付き難い雰囲気が流れていたので、残念ながら卵焼きの購入には至らなかった。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/38/24/8a4dc878f58d4adde30870fea35e1179.jpg)
●中央奥がアニーさん●
短時間だが、巡ってみると面白かった築地市場だった。別に築地まで出向かなくてもご存じの通り、日本各地には卸売市場なる物が存在し、そこには築地同様に食事処も多く存在しているから、見付けて探検するのも面白いかと思う。かく言うボクも、仕事柄そんなところを訪問することが多いので、今後も機会があれば紹介して行きたいと思う。