■阪神高速湾岸線にて■
普段は営業という仕事をしているので、ほとんどの場合移動は車を利用する。勤務先が阪神間の沿岸部にあり、訪問先が大阪方面になることが多いことから、帰社する際には阪神高速湾岸線を利用することが多くなる。ここを走った人はよく知っているとは思うが、湾岸線が尼崎市内の埋め立て地を貫く際にイヤでも目に飛び込んで来るのが、道の両側にそびえ立つPANASONICの尼崎工場群だ。
先日、そのPANASONIC社は7200億円もの大赤字を計上し、報道がそれを大々的に採り上げていたが、この尼崎工場をその象徴として映像に流していることが多いと言えば、他府県の人にもその姿を思い起こしてもらえるかも知れない。
この尼崎工場が稼働開始したのは2005年9月で、ここではプラズマテレビ用のパネルを生産している。
隣の西宮市にあるボクの会社では、繁忙期に差し掛かかると派遣社員やパートさんを募集するのだが、この工場が稼働する少し前から数年間は、人材が奪われてしまって、全く人が集まらないほどの活況だった。
そのことからも、その生産規模の巨大さがうかがい知れたが、調べてみると最初の第1工場が月産22万台でスタートし、需要に合わせて2007年6月から稼働した月産60万台の第2工場、2010年1月から稼働した月産33万台(当初予定であれば、最大100万台とも)の第3工場と、たった4年4ヶ月の間に、これほどまでの生産体制になっていたそうだから、世界一のプラズマパネル工場群だということだ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/39/c8/fb6760acd39b5fae674b205e654296cb.jpg)
しかし、その隆盛から一転。最初の稼働から6年後、第3工場の稼働からに至っては僅か1年9ヶ月後の昨秋10月、この工場の内、2ヶ所を閉鎖するという報道があった。これには驚いたが、心のどこかで「薄々ながら、このご時世だから『さもありなん』」と感じていたことには、日本人としてどこか悲しい思いが駆け巡る。
構造改革=いわゆる小泉・竹中路線(賛否両論あるが)によって、少しは持ち直すかに見えた日本経済は、リーマンショック以降、再び低迷路線をたどり、それ以前からずっと今日まで続くデフレの影響と、近年の超円高…。日本が縮んで行く一連の様子の縮図をこの工場の盛衰が表している。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1e/0b/87f12ce75fc163d975a25d498a7ebce0.jpg)
ご存じの通り、日本の家電メーカーに関しては、PANASONIC社を始め、SONY、NEC等々の大赤字と大規模リストラ、そして海外市場では、韓国企業に押されっぱなしでシェアを奪われ続けているという報道ばかりが流れてくるし、他の製造業全般でも苦戦しているはご存じの通りだ。
一部ではTPPに参加すれば少しは改善するという意見もあるが、韓国がアメリカと結んだFTAの状況を見る限り、良いことばかりでは無さそうだ。それよりも超円高の方が直接の影響大であり、それを是正する策の方が効果大であることが各方面から聞こえてきている。
しかし、昨年「ギリギリまではこらえるが、このまま超円高が続けば、もう日本では生産できない」と、社長自ら異例の発言をしたトヨタからは、今年に入ってとうとう福岡の工場で製造していたSUVを全面的にアメリカ生産に切り替えるという発表があったから、事態は「待ったなし」の状態を過ぎて、もう手遅れになっているのかも知れない。
品質が他国に劣るハズもなく、まだまだ技術レベルは世界一クラスと言っても過言ではない日本の製造業が、これほどまでに追い込まれているというのに、なぜ、この国の当局者は本腰を入れた対処をせず、「超円高&世界最長のデフレ」を放置するのだろうか?。
世界の先進各国の中央銀行間では常識の、「インフレ率2~3%」にすることが、どうしてもイヤなのか?。この率を守らなければ、総裁の罷免を始めとする、罰則までもが規定されている国があるというのに、ナゼなのか?。そのあたりの理由がボクには全く解らない。(素人なんかには、理解できない理由があるのかも知れないけれど…。)
あなた方の大先輩である高橋是清(恐慌時は大蔵大臣、それ以前に内閣総理大臣や日銀総裁を歴任)は、関東大震災、昭和金融恐慌(昭和恐慌)によって弱体化していた日本経済に対して更にのしかかった世界恐慌時に辣腕をふるい、世界で一番早くそこを抜け出した実績があるというのに…。
とにもかくにも、ボクは湾岸線を走行し、この工場が目に入る度にPANASONIC社と、この工場で働いていたであろう人達に思いを巡らせて意気消沈する。
そして「この先日本はどうなるのだろうか?」と、肩を落とすのである…。
普段は営業という仕事をしているので、ほとんどの場合移動は車を利用する。勤務先が阪神間の沿岸部にあり、訪問先が大阪方面になることが多いことから、帰社する際には阪神高速湾岸線を利用することが多くなる。ここを走った人はよく知っているとは思うが、湾岸線が尼崎市内の埋め立て地を貫く際にイヤでも目に飛び込んで来るのが、道の両側にそびえ立つPANASONICの尼崎工場群だ。
先日、そのPANASONIC社は7200億円もの大赤字を計上し、報道がそれを大々的に採り上げていたが、この尼崎工場をその象徴として映像に流していることが多いと言えば、他府県の人にもその姿を思い起こしてもらえるかも知れない。
この尼崎工場が稼働開始したのは2005年9月で、ここではプラズマテレビ用のパネルを生産している。
隣の西宮市にあるボクの会社では、繁忙期に差し掛かかると派遣社員やパートさんを募集するのだが、この工場が稼働する少し前から数年間は、人材が奪われてしまって、全く人が集まらないほどの活況だった。
そのことからも、その生産規模の巨大さがうかがい知れたが、調べてみると最初の第1工場が月産22万台でスタートし、需要に合わせて2007年6月から稼働した月産60万台の第2工場、2010年1月から稼働した月産33万台(当初予定であれば、最大100万台とも)の第3工場と、たった4年4ヶ月の間に、これほどまでの生産体制になっていたそうだから、世界一のプラズマパネル工場群だということだ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/39/c8/fb6760acd39b5fae674b205e654296cb.jpg)
●湾岸線北側の大工場●
しかし、その隆盛から一転。最初の稼働から6年後、第3工場の稼働からに至っては僅か1年9ヶ月後の昨秋10月、この工場の内、2ヶ所を閉鎖するという報道があった。これには驚いたが、心のどこかで「薄々ながら、このご時世だから『さもありなん』」と感じていたことには、日本人としてどこか悲しい思いが駆け巡る。
構造改革=いわゆる小泉・竹中路線(賛否両論あるが)によって、少しは持ち直すかに見えた日本経済は、リーマンショック以降、再び低迷路線をたどり、それ以前からずっと今日まで続くデフレの影響と、近年の超円高…。日本が縮んで行く一連の様子の縮図をこの工場の盛衰が表している。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1e/0b/87f12ce75fc163d975a25d498a7ebce0.jpg)
●湾岸線南側の大工場(この裏に、もう1棟ある)●
ご存じの通り、日本の家電メーカーに関しては、PANASONIC社を始め、SONY、NEC等々の大赤字と大規模リストラ、そして海外市場では、韓国企業に押されっぱなしでシェアを奪われ続けているという報道ばかりが流れてくるし、他の製造業全般でも苦戦しているはご存じの通りだ。
一部ではTPPに参加すれば少しは改善するという意見もあるが、韓国がアメリカと結んだFTAの状況を見る限り、良いことばかりでは無さそうだ。それよりも超円高の方が直接の影響大であり、それを是正する策の方が効果大であることが各方面から聞こえてきている。
しかし、昨年「ギリギリまではこらえるが、このまま超円高が続けば、もう日本では生産できない」と、社長自ら異例の発言をしたトヨタからは、今年に入ってとうとう福岡の工場で製造していたSUVを全面的にアメリカ生産に切り替えるという発表があったから、事態は「待ったなし」の状態を過ぎて、もう手遅れになっているのかも知れない。
品質が他国に劣るハズもなく、まだまだ技術レベルは世界一クラスと言っても過言ではない日本の製造業が、これほどまでに追い込まれているというのに、なぜ、この国の当局者は本腰を入れた対処をせず、「超円高&世界最長のデフレ」を放置するのだろうか?。
世界の先進各国の中央銀行間では常識の、「インフレ率2~3%」にすることが、どうしてもイヤなのか?。この率を守らなければ、総裁の罷免を始めとする、罰則までもが規定されている国があるというのに、ナゼなのか?。そのあたりの理由がボクには全く解らない。(素人なんかには、理解できない理由があるのかも知れないけれど…。)
あなた方の大先輩である高橋是清(恐慌時は大蔵大臣、それ以前に内閣総理大臣や日銀総裁を歴任)は、関東大震災、昭和金融恐慌(昭和恐慌)によって弱体化していた日本経済に対して更にのしかかった世界恐慌時に辣腕をふるい、世界で一番早くそこを抜け出した実績があるというのに…。
とにもかくにも、ボクは湾岸線を走行し、この工場が目に入る度にPANASONIC社と、この工場で働いていたであろう人達に思いを巡らせて意気消沈する。
そして「この先日本はどうなるのだろうか?」と、肩を落とすのである…。