■渓流には行きたいけれど…■
今年のスケジュールとして、沖釣りは一旦4月いっぱいで中断して、10月の禁漁までの間は渓流釣りに行こうと考えていた。
しかし、5月に入ってからほとんど雨が降らず、岐阜県の高原川等ではかなり広範囲でヌルヌルの藻類が石にべったりと着くような状態だそうで、状況的に厳しい日々が続いていた。渓流魚は雨が降り、一旦増水した後に水位が落ち着き始める頃がベストの状況だ。差し詰め、海で言うところの「潮が動かない」と同じで、晴天続きは魚の活性を落とし、警戒心が強まって食い渋る。
であるから、ボクは躊躇し、相変わらず海へと向かっていたのだが、その裏には「スカッと納得のいく釣果をあげてから」という思いもあった。
■鷹巣沖■
そこで向かったのが福井県の越前岬の北~三国にかけての総称「鷹巣沖」というところだった。
ここ鷹巣沖は、今から15年ほど前、ボクが初めて「完全フカセ釣り」を体験した場所だ。当時はヒラマサの中型がよく回遊しており、初めてでありながら65~75cmのサイズを4~5本釣った記憶がある。以来、完全フカセ釣りの面白さにハマッたワケだが、ここ近年はそのヒラマサの回遊量が減り、まれに訪れることはあっても、やや遠ざかり気味だった。
ただし、ヒラマサの回遊は減ったが、毎年5月1日の解禁~梅雨までの間は、40~80cmクラスのマダイが一船3人で50匹近い釣果が何度も記録されているから、付近の海域ではダントツにマダイの濃いところであり続けている。同様に秋のハマチ~ブリクラスの大量回遊も恒例のように続いている。
普通の釣り船店とは違って個人営業で客を取る船は少なく、「越前フィッシングセンター」、「鷹巣釣り船センター」、「アラタニ釣具」等の地元釣具店で斡旋してもらわないとほとんどの船で予約が取れないシステムになっている。また、このシステムで船を押さえた場合は、斡旋店経由でしかエサは持ち込めないので注意が必要だ。
船は仕立て船がほとんどだが、各斡旋店では乗合の募集も行っているのでインターネットでチェックしたり、電話で問い合わせてみるとイイ。希望日を伝えておくと他の希望者との仲介をしてくれるのだ。
■実釣スタート■
今回もボクは単独での釣行だったから、当然乗合船利用だ。岐阜から来たという二人と共に乗船した。
今回は晴海丸(はるみまる)という船だったが、気さくで好感の持てる船長だったので一安心。
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ポイントに向かうまでの間、状況確認などをしていたが、15分以内に到着する。この近さも鷹巣沖の魅力でもある。
到着後、船が落ち着くのを待って投入開始。ハリスは超大型に備えて6号の2本バリ、全長は6mのモノを使った。
フカセ釣りでは、20mクラスの長いハリスを使う人が居るのだが、ボクの場合はほとんどが6m・2本バリを使っている。乗合船で横に並んだ人が長い仕掛けを使っていても差を感じたことは無いから、これをほぼ押し通しているが、恐らく長い仕掛けはこの釣りが始まったごく初期段階に、沈みの早いフロロカーボンの道糸ではなく沈みの遅いナイロンの道糸を使っていた名残ではないのか?というのが僕の個人見解だ。
仕掛けを長大にすることよりも、発泡ウキで浮力をつけたり、オモリで沈めたりという自分の工夫で流すタナを探り、魚の居るタナを見つけ出すことの方が大事だと思っている。ただし、釣りには絶対はないから、決めつけることはダメなのだが…。
その辺のことを船頭さんに確認してみると、「それは潮次第で臨機応変に。」と言うことであった。
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完全フカセ釣りでは流し始めに「送り出し」という、リールから手たぐりで強制的に引き出す作業がある。これは潮に馴染ませるため、一気に無抵抗で沈ませる部分だが、この長さでも狙うタナが変わってくるから、その日の潮流に合わせて工夫する必要があるが、この日は上潮が遅く、底潮がそこそこ動いている状況だったので、送り出しの長さは20mとした。
20mが馴染むには時間がかかったが、その後は順調に流れてゆく。仕掛けの入る角度も道糸の様子を見る限り海面から45度という、理想的な角度だ。
「今日はイイかも?」と思った矢先にリールが急回転した。何と一投目からのアタリだ。魚の引き自体は大したことはなく、すんなりと上がってきたが、この日の初物である40cmほどのマダイをゲットする。
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しかも、こちらの巻き上げの途中で、隣の釣り座でも当たりが出ていた。そちらのマダイは二回り以上大きい60cm弱のサイズだ。
■連発の横で■
続いてのアタリ、その次のアタリも隣の釣り座からだったが、ボクには一向にアタリがない。しかもハリに着いたエサは残ったままだった。
この隣の釣り人はフカセ釣り初体験のオジサンだったが、こちらと「何が違うのか?」を探るために、流す方法に違いがないか?を探してみる。
普通、エサが残ればタナを下げるため、連結部にサルカンが1個着いただけの、この時点での仕掛けに小さなオモリを足して、より沈む方向に浮力を調整してゆくのだが、隣のオジサンの使っていたリールは借り物であり、ボクの持ち込んだ”手入れが行き届いてよく回るリール”とは違って、明らかに回転が遅い。そこから、
「魚が食うのは50m前後の距離なので、回転に抵抗がかかるリールだと、仕掛けは浮いているのだろう。」という予測の下、まずは、それまでの仕掛けに着いていたサルカンをより小型のモノに換えてみた。すると即アタリが出たのだが、これまた40cm前半クラスで、隣のオジサンの平均からするとかなり小さい。そこで、
「現況では活性が高く、大きい魚は我先に食い上がってきているのかも?」という、予測を立て、更に上層を狙うべく、サルカンのすぐ上に発泡シモリウキを入れることにした。サイズを始めから、やや大きめの7号にするか、6号にするか迷ったが、船長のアドバイスに従って6号とした。そしてこの仕掛けが当たったのだ。
リールの急回転音とアラームでアタリをキャッチし、アワセを入れると、今まで以上の引きがロッドを絞り込んだ。とは言っても、心地よい引き程度であったが…。
そしてその引きを味わった後、やって来たのは50cmオーバーのマダイだった。
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タナさえ掴めばこっちのモノ。アタリは連発する。続いて上がったのは60cm級だった。
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■本日最長寸■
船長に「写真を撮って」という度にサイズがアップし、気を良くしていたが、「そんなにウマイ話は続くまい。」と思っていた矢先、それまでにない強い引きがボクのロッドを襲った。
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ハリスは太めの6号を使用していたため、余裕があったが、それでも一応ドラッグをゆるめ気味に、慎重にやりとりを続けつつ、その引きを楽しむ。
そして無事に取り込んだのは本日最長寸のマダイだった。
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”大型という領域に足を突っ込んだばかり”ながら、このサイズは久しぶりなので、正直嬉しい。
■日は昇り、食い落ちて…■
午前8時を回ると、風向きがそれまでの南東から西系統に変わり、日が高く昇ると、明らかにマダイの活性が落ち、食い渋り傾向となった。
それまでの仕掛けだとエサが残ったままになるので、今度はより沈む方向へと調整を始める。まずはウキを外し、それでもダメなので、ジンタンオモリのBの数を徐々に増やしてゆく。それと共に、流す距離もそれまでよりも長くしてみた。
周りではアタリが途絶える中、ジンタンオモリが1個~2個の間で着けたり外したり、流す距離は水深の2倍強の150mまで流したりといった、工夫を重ねていけばポツポツとマダイのアタリがキャッチという、「ここが腕の見せ所」といった展開が続き、ラストの1投直前の魚を最後に、この日の釣りが終わった。
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この日、ボクは43~73cmのマダイが9枚と、ハマチのオマケが1本、隣のオジサン達は二人で63cm以下のマダイが15枚、助っ人で仕掛けを少し流した船長が50cm台中盤を2枚の、合計26枚という、大満足の釣果だった。
■鷹巣沖の今後■
さてさて、鷹巣沖の今後だが、この海域では更に沖にある玄達瀬(げんたつせ)が6月16日から8月15日までの間で解禁になることから、主にメーターオーバーのヒラマサを狙って多くの船がそちらを目指すことになる。しかし、一部の船はその時期であっても鷹巣沖に出漁している。
勿論、この時期の鷹巣沖は空いているので攻め易く、まだ居残り組や産卵に出遅れたマダイも出ることから、それを好んで狙う人も居ると聞く。だから、まだまだ目が離せない鷹巣沖であることには間違いない。
この日の釣行で沖釣りに対して一応のケジメがつき、これでようやく渓流釣りに取り組むことが出来るだろう。
先頃梅雨入りし、それ以前の晴天続きで、雨が降らない「晴天続きなのに暗雲が垂れ込める」という状況からは脱出し、これからは期待できそうである。だが、ボクのことだから、釣行直前に大雨に遭って「今度は水がありすぎて…。」という状況にならないか心配だ。「何事もほどほどが肝心」なのだが…。とにかく渓流道具を引っ張り出しつつ、期待に胸を膨らませる今日この頃である。
今年のスケジュールとして、沖釣りは一旦4月いっぱいで中断して、10月の禁漁までの間は渓流釣りに行こうと考えていた。
しかし、5月に入ってからほとんど雨が降らず、岐阜県の高原川等ではかなり広範囲でヌルヌルの藻類が石にべったりと着くような状態だそうで、状況的に厳しい日々が続いていた。渓流魚は雨が降り、一旦増水した後に水位が落ち着き始める頃がベストの状況だ。差し詰め、海で言うところの「潮が動かない」と同じで、晴天続きは魚の活性を落とし、警戒心が強まって食い渋る。
であるから、ボクは躊躇し、相変わらず海へと向かっていたのだが、その裏には「スカッと納得のいく釣果をあげてから」という思いもあった。
■鷹巣沖■
そこで向かったのが福井県の越前岬の北~三国にかけての総称「鷹巣沖」というところだった。
ここ鷹巣沖は、今から15年ほど前、ボクが初めて「完全フカセ釣り」を体験した場所だ。当時はヒラマサの中型がよく回遊しており、初めてでありながら65~75cmのサイズを4~5本釣った記憶がある。以来、完全フカセ釣りの面白さにハマッたワケだが、ここ近年はそのヒラマサの回遊量が減り、まれに訪れることはあっても、やや遠ざかり気味だった。
ただし、ヒラマサの回遊は減ったが、毎年5月1日の解禁~梅雨までの間は、40~80cmクラスのマダイが一船3人で50匹近い釣果が何度も記録されているから、付近の海域ではダントツにマダイの濃いところであり続けている。同様に秋のハマチ~ブリクラスの大量回遊も恒例のように続いている。
普通の釣り船店とは違って個人営業で客を取る船は少なく、「越前フィッシングセンター」、「鷹巣釣り船センター」、「アラタニ釣具」等の地元釣具店で斡旋してもらわないとほとんどの船で予約が取れないシステムになっている。また、このシステムで船を押さえた場合は、斡旋店経由でしかエサは持ち込めないので注意が必要だ。
船は仕立て船がほとんどだが、各斡旋店では乗合の募集も行っているのでインターネットでチェックしたり、電話で問い合わせてみるとイイ。希望日を伝えておくと他の希望者との仲介をしてくれるのだ。
■実釣スタート■
今回もボクは単独での釣行だったから、当然乗合船利用だ。岐阜から来たという二人と共に乗船した。
今回は晴海丸(はるみまる)という船だったが、気さくで好感の持てる船長だったので一安心。
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●福井新港の晴海丸(はるみまる)●
ポイントに向かうまでの間、状況確認などをしていたが、15分以内に到着する。この近さも鷹巣沖の魅力でもある。
到着後、船が落ち着くのを待って投入開始。ハリスは超大型に備えて6号の2本バリ、全長は6mのモノを使った。
フカセ釣りでは、20mクラスの長いハリスを使う人が居るのだが、ボクの場合はほとんどが6m・2本バリを使っている。乗合船で横に並んだ人が長い仕掛けを使っていても差を感じたことは無いから、これをほぼ押し通しているが、恐らく長い仕掛けはこの釣りが始まったごく初期段階に、沈みの早いフロロカーボンの道糸ではなく沈みの遅いナイロンの道糸を使っていた名残ではないのか?というのが僕の個人見解だ。
仕掛けを長大にすることよりも、発泡ウキで浮力をつけたり、オモリで沈めたりという自分の工夫で流すタナを探り、魚の居るタナを見つけ出すことの方が大事だと思っている。ただし、釣りには絶対はないから、決めつけることはダメなのだが…。
その辺のことを船頭さんに確認してみると、「それは潮次第で臨機応変に。」と言うことであった。
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●リールは、うなりを上げて逆転するだろうか?●
完全フカセ釣りでは流し始めに「送り出し」という、リールから手たぐりで強制的に引き出す作業がある。これは潮に馴染ませるため、一気に無抵抗で沈ませる部分だが、この長さでも狙うタナが変わってくるから、その日の潮流に合わせて工夫する必要があるが、この日は上潮が遅く、底潮がそこそこ動いている状況だったので、送り出しの長さは20mとした。
20mが馴染むには時間がかかったが、その後は順調に流れてゆく。仕掛けの入る角度も道糸の様子を見る限り海面から45度という、理想的な角度だ。
「今日はイイかも?」と思った矢先にリールが急回転した。何と一投目からのアタリだ。魚の引き自体は大したことはなく、すんなりと上がってきたが、この日の初物である40cmほどのマダイをゲットする。
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●40cmほどのマダイ●
しかも、こちらの巻き上げの途中で、隣の釣り座でも当たりが出ていた。そちらのマダイは二回り以上大きい60cm弱のサイズだ。
■連発の横で■
続いてのアタリ、その次のアタリも隣の釣り座からだったが、ボクには一向にアタリがない。しかもハリに着いたエサは残ったままだった。
この隣の釣り人はフカセ釣り初体験のオジサンだったが、こちらと「何が違うのか?」を探るために、流す方法に違いがないか?を探してみる。
普通、エサが残ればタナを下げるため、連結部にサルカンが1個着いただけの、この時点での仕掛けに小さなオモリを足して、より沈む方向に浮力を調整してゆくのだが、隣のオジサンの使っていたリールは借り物であり、ボクの持ち込んだ”手入れが行き届いてよく回るリール”とは違って、明らかに回転が遅い。そこから、
「魚が食うのは50m前後の距離なので、回転に抵抗がかかるリールだと、仕掛けは浮いているのだろう。」という予測の下、まずは、それまでの仕掛けに着いていたサルカンをより小型のモノに換えてみた。すると即アタリが出たのだが、これまた40cm前半クラスで、隣のオジサンの平均からするとかなり小さい。そこで、
「現況では活性が高く、大きい魚は我先に食い上がってきているのかも?」という、予測を立て、更に上層を狙うべく、サルカンのすぐ上に発泡シモリウキを入れることにした。サイズを始めから、やや大きめの7号にするか、6号にするか迷ったが、船長のアドバイスに従って6号とした。そしてこの仕掛けが当たったのだ。
リールの急回転音とアラームでアタリをキャッチし、アワセを入れると、今まで以上の引きがロッドを絞り込んだ。とは言っても、心地よい引き程度であったが…。
そしてその引きを味わった後、やって来たのは50cmオーバーのマダイだった。
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●50cm台後半サイズ●
タナさえ掴めばこっちのモノ。アタリは連発する。続いて上がったのは60cm級だった。
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●60cm台中盤サイズ●
■本日最長寸■
船長に「写真を撮って」という度にサイズがアップし、気を良くしていたが、「そんなにウマイ話は続くまい。」と思っていた矢先、それまでにない強い引きがボクのロッドを襲った。
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●只今、マダイと攻防中●
ハリスは太めの6号を使用していたため、余裕があったが、それでも一応ドラッグをゆるめ気味に、慎重にやりとりを続けつつ、その引きを楽しむ。
そして無事に取り込んだのは本日最長寸のマダイだった。
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●73cmのマダイ●
”大型という領域に足を突っ込んだばかり”ながら、このサイズは久しぶりなので、正直嬉しい。
■日は昇り、食い落ちて…■
午前8時を回ると、風向きがそれまでの南東から西系統に変わり、日が高く昇ると、明らかにマダイの活性が落ち、食い渋り傾向となった。
それまでの仕掛けだとエサが残ったままになるので、今度はより沈む方向へと調整を始める。まずはウキを外し、それでもダメなので、ジンタンオモリのBの数を徐々に増やしてゆく。それと共に、流す距離もそれまでよりも長くしてみた。
周りではアタリが途絶える中、ジンタンオモリが1個~2個の間で着けたり外したり、流す距離は水深の2倍強の150mまで流したりといった、工夫を重ねていけばポツポツとマダイのアタリがキャッチという、「ここが腕の見せ所」といった展開が続き、ラストの1投直前の魚を最後に、この日の釣りが終わった。
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●3人分の釣果(右を向いているのがボクの魚)●
この日、ボクは43~73cmのマダイが9枚と、ハマチのオマケが1本、隣のオジサン達は二人で63cm以下のマダイが15枚、助っ人で仕掛けを少し流した船長が50cm台中盤を2枚の、合計26枚という、大満足の釣果だった。
■鷹巣沖の今後■
さてさて、鷹巣沖の今後だが、この海域では更に沖にある玄達瀬(げんたつせ)が6月16日から8月15日までの間で解禁になることから、主にメーターオーバーのヒラマサを狙って多くの船がそちらを目指すことになる。しかし、一部の船はその時期であっても鷹巣沖に出漁している。
勿論、この時期の鷹巣沖は空いているので攻め易く、まだ居残り組や産卵に出遅れたマダイも出ることから、それを好んで狙う人も居ると聞く。だから、まだまだ目が離せない鷹巣沖であることには間違いない。
この日の釣行で沖釣りに対して一応のケジメがつき、これでようやく渓流釣りに取り組むことが出来るだろう。
先頃梅雨入りし、それ以前の晴天続きで、雨が降らない「晴天続きなのに暗雲が垂れ込める」という状況からは脱出し、これからは期待できそうである。だが、ボクのことだから、釣行直前に大雨に遭って「今度は水がありすぎて…。」という状況にならないか心配だ。「何事もほどほどが肝心」なのだが…。とにかく渓流道具を引っ張り出しつつ、期待に胸を膨らませる今日この頃である。