■手軽に北アルプスへ■
ハイキングとは違って、本格登山へのチャレンジは危険が伴い、初心者同士では命に関わるトラブルが発生することがあるので、経験者の同伴が必要になる。とは言っても、「コースによりけり」ということなので、ガイドブックなどで確認すれば探せば結構な数のコースがあることに気付かされる。中でもお手軽と言えるのが、途中までロープウェイを使ったコースだろう。
途中までを徒歩以外の手段を使うことを”登山”と言えば、登山に情熱を掛ける諸先輩方に怒られるかも知れないが、とにかくこの方法は、登山には向かない体型をしたボクのような人間であっても、確実に“高いところ”まで連れて行ってもらえるので、ありがたい存在だ。
今回はそんなコースの一つである、新穂高ロープウェイを使ったコースに妻と二人でチャレンジしてきた。
このロープウェイは、ボクがよく渓流釣りで釣行する高原川の上流=蒲田川沿いの標高1305m(しらかば平駅)から、ボクらのような登山者気取りのハイカーや、穂高連峰を縦走をする本格登山者まで、あるいは全く歩く気のない展望台止まりの観光客を乗せて、標高2126mまで、僅か約7分で一気に運んでくれる。
ボクら夫婦は紅葉シーズンの混雑を予想していたので、朝一の始発を狙って、午前8時前に到着したのだが、乗り場には既にたくさんの客が押し寄せており、121人乗りのロープウェイであっても、結局は2便目となってしまった。
■コースイン■
山頂の駅を西穂高口駅と呼び、観光客は展望台へと向かい、登山~ハイカーはここから上部を目指す。既に2便目だということは、240人も降り立っていることだし、これから時間が経てば、ドンドン人が増えてコース上はドエライ混雑になるのかと思ったが、観光客が大半であったことは予想外であった。
今回歩くコースは、西穂高口駅から歩き始め、途中で小休止をとりながら西穂山荘を目指し、そこで大休止。そしてそこから西穂高独標を目指すという、一般ハイカーにも安全かつ本格登山気分が味わえるコースだ。
駅を降りて散策園を抜けたところが登山口になり、そこには登山届出所がある。そしてその横からコースインする。
初めての北アルプスだけあって、やや興奮気味にスタートしたが、期待に反してほとんどの区間で景色は開けてこない。その様子は六甲山の麓辺りのコースと雰囲気は変わらないので心も晴れず、日頃の運動不足で鈍った足には堪える。
それでも、希に林間からチラッと見る笠ヶ岳方面の山容は「あの全景を見なくては…。」と、ヘタレなオジサンには励みとなり、約1時間半を歩き切ると、そこに西穂山荘がある。
西穂山荘の名物はラーメンと言うことなので、それを昼食で食うことを帰りの楽しみにとっておき、この段階では予定通りにそのまま大休止をとる。
■丸山へ■
大休止の後は、更に上部を目指す。ここから先は稜線に出るので、これまでとは打って変わり、360度の展望が広がってくる。
まずは20分ほど登った先にある、丸山を目指す。
山荘までは、正直言って鈍った体にはキツかったのだが、視界が広がると俄然ヤル気が出てきて足取りが不思議と軽くなった。そして、程なく丸山に到着する。
■独標へ■
稜線に出てからは、今まで約50年間も生きた中で、全く見たことのない世界が広がり、今までのハイキングとは違う初めての感覚に、「これが登山の楽しさの一つなのか?」と、感動することしきりであった。
特に左手に見る笠ヶ岳方面の景色が素晴らしく、時折足を止めて見入るほどだった。
丸山を過ぎて1時間弱で今回の最終到達予定地の「西穂高独標」が、間近に迫ってきた。ここからが本格登山のダイナミックさが少し味わえる区間になる。とは言ってもザイルやハーケン等の専用器具類が必要なわけではないので、諸先輩方に笑われてしまうかも知れないが…。
ここに来て初めて知ったことだが、手を掛けたり足を掛けても安全な部分には「○印」が、危険なところには「×印」が、白ペンキで描かれていた。恐らくこれはガイドさんのような方々が事故防止のために書いてくれているのだろうけど、当然それに従わないと崩れる可能性があるから、我々夫婦も、この区間は慎重に登った。
■西穂高独標■
崩れる岩を掴むこともなく、無事に登頂が済んだ。次元の低い我々だから、達成後の感動も大きかった。
独標頭頂部からのパノラマは素晴らしく、しばし見入っていた。
ここから先にチャレンジするグループもいたようだが、我々ヘタレな夫婦は、すぐ横にある次のピークまでの道のりを見た結果、精神的にも体力的にも不可能と判断して、ここで折り返すことを確認した。
しばらくは、座り込んでいたが、後から来る人達のことを考えると狭い頭頂部に長居はできないので、堪能した後は速やかに下りの途についた。
「登りよりも、下りの方が怖い」とよく言われるが、まさしくその通りであった。より慎重に岩壁の区間を降りた後は思わず「フーッ」と、一息が出てしまうほどだった。そしてその後、西穂山荘への道のりを戻っていった。
山荘に戻って、「名物のラーメンを!」と楽しみにしていたのだが、残念ながら売り切れていた。がっくりしたが、既に口が「ラーメンのお口」になっていたので、ロープウェイ乗り場の食堂目指して一気に歩くことにした。
■コースを振り返って■
ロープウェイ乗り場で遅めの昼食を済ませた後は、観光客で賑わう展望台へと向かう。
紅葉シーズンまっただ中、しかもこの日は薄くモヤがかかりながらも、一日中晴れており、人はひっきりなしに出入りして大盛況だった。人の隙間を見つけて穂高を初めとする北アルプスの山々をバックに記念撮影を済ませた後は、歩いた区間の西穂山荘から西穂高独標までを目で辿り、しばし眺めていた。
西穂高から左に目をやると、槍ヶ岳までもが明確に見えたので、「いつかあそこへ行ってみたい…」との思いも少しは沸いたが、「独標から先へ行けないようでは…」と、己の体力の無さに現実へと引き戻される。
まぁ、ボクら夫婦のような”チョイかじり”のハイカーにとっては、今回のようなロープウェイを使ったお手軽ルートがお似合いなのだろう。とにかく、またいずれは登ってみたくなる。そんな西穂高独標だった。
ハイキングとは違って、本格登山へのチャレンジは危険が伴い、初心者同士では命に関わるトラブルが発生することがあるので、経験者の同伴が必要になる。とは言っても、「コースによりけり」ということなので、ガイドブックなどで確認すれば探せば結構な数のコースがあることに気付かされる。中でもお手軽と言えるのが、途中までロープウェイを使ったコースだろう。
途中までを徒歩以外の手段を使うことを”登山”と言えば、登山に情熱を掛ける諸先輩方に怒られるかも知れないが、とにかくこの方法は、登山には向かない体型をしたボクのような人間であっても、確実に“高いところ”まで連れて行ってもらえるので、ありがたい存在だ。
今回はそんなコースの一つである、新穂高ロープウェイを使ったコースに妻と二人でチャレンジしてきた。
●紅葉の中の新穂高ロープウェイ●
このロープウェイは、ボクがよく渓流釣りで釣行する高原川の上流=蒲田川沿いの標高1305m(しらかば平駅)から、ボクらのような登山者気取りのハイカーや、穂高連峰を縦走をする本格登山者まで、あるいは全く歩く気のない展望台止まりの観光客を乗せて、標高2126mまで、僅か約7分で一気に運んでくれる。
ボクら夫婦は紅葉シーズンの混雑を予想していたので、朝一の始発を狙って、午前8時前に到着したのだが、乗り場には既にたくさんの客が押し寄せており、121人乗りのロープウェイであっても、結局は2便目となってしまった。
■コースイン■
山頂の駅を西穂高口駅と呼び、観光客は展望台へと向かい、登山~ハイカーはここから上部を目指す。既に2便目だということは、240人も降り立っていることだし、これから時間が経てば、ドンドン人が増えてコース上はドエライ混雑になるのかと思ったが、観光客が大半であったことは予想外であった。
今回歩くコースは、西穂高口駅から歩き始め、途中で小休止をとりながら西穂山荘を目指し、そこで大休止。そしてそこから西穂高独標を目指すという、一般ハイカーにも安全かつ本格登山気分が味わえるコースだ。
●ピンクの丸間の往復が今回のコース●
駅を降りて散策園を抜けたところが登山口になり、そこには登山届出所がある。そしてその横からコースインする。
●登山届出所●
初めての北アルプスだけあって、やや興奮気味にスタートしたが、期待に反してほとんどの区間で景色は開けてこない。その様子は六甲山の麓辺りのコースと雰囲気は変わらないので心も晴れず、日頃の運動不足で鈍った足には堪える。
●西穂山荘までのコースは木道と土道●
それでも、希に林間からチラッと見る笠ヶ岳方面の山容は「あの全景を見なくては…。」と、ヘタレなオジサンには励みとなり、約1時間半を歩き切ると、そこに西穂山荘がある。
●西穂山荘●
西穂山荘の名物はラーメンと言うことなので、それを昼食で食うことを帰りの楽しみにとっておき、この段階では予定通りにそのまま大休止をとる。
■丸山へ■
大休止の後は、更に上部を目指す。ここから先は稜線に出るので、これまでとは打って変わり、360度の展望が広がってくる。
まずは20分ほど登った先にある、丸山を目指す。
●山荘のすぐ上は大きなゴロ石が転がる●
山荘までは、正直言って鈍った体にはキツかったのだが、視界が広がると俄然ヤル気が出てきて足取りが不思議と軽くなった。そして、程なく丸山に到着する。
●丸山は通称「お花畑」と言うらしいが、既に枯れていた。●
■独標へ■
稜線に出てからは、今まで約50年間も生きた中で、全く見たことのない世界が広がり、今までのハイキングとは違う初めての感覚に、「これが登山の楽しさの一つなのか?」と、感動することしきりであった。
特に左手に見る笠ヶ岳方面の景色が素晴らしく、時折足を止めて見入るほどだった。
●写真に写る山々の頂点が「笠ヶ岳」●
丸山を過ぎて1時間弱で今回の最終到達予定地の「西穂高独標」が、間近に迫ってきた。ここからが本格登山のダイナミックさが少し味わえる区間になる。とは言ってもザイルやハーケン等の専用器具類が必要なわけではないので、諸先輩方に笑われてしまうかも知れないが…。
●最終局面は、この岩壁にとりつく●
ここに来て初めて知ったことだが、手を掛けたり足を掛けても安全な部分には「○印」が、危険なところには「×印」が、白ペンキで描かれていた。恐らくこれはガイドさんのような方々が事故防止のために書いてくれているのだろうけど、当然それに従わないと崩れる可能性があるから、我々夫婦も、この区間は慎重に登った。
●途中で振り返れば…●
■西穂高独標■
崩れる岩を掴むこともなく、無事に登頂が済んだ。次元の低い我々だから、達成後の感動も大きかった。
●「達成感に浸る」の図●
独標頭頂部からのパノラマは素晴らしく、しばし見入っていた。
●西穂高の山頂方面●
●岳沢方面●
●焼岳(右上)と上高地方面●
ここから先にチャレンジするグループもいたようだが、我々ヘタレな夫婦は、すぐ横にある次のピークまでの道のりを見た結果、精神的にも体力的にも不可能と判断して、ここで折り返すことを確認した。
●すぐ横の、次のピークへのルート●
しばらくは、座り込んでいたが、後から来る人達のことを考えると狭い頭頂部に長居はできないので、堪能した後は速やかに下りの途についた。
「登りよりも、下りの方が怖い」とよく言われるが、まさしくその通りであった。より慎重に岩壁の区間を降りた後は思わず「フーッ」と、一息が出てしまうほどだった。そしてその後、西穂山荘への道のりを戻っていった。
山荘に戻って、「名物のラーメンを!」と楽しみにしていたのだが、残念ながら売り切れていた。がっくりしたが、既に口が「ラーメンのお口」になっていたので、ロープウェイ乗り場の食堂目指して一気に歩くことにした。
■コースを振り返って■
ロープウェイ乗り場で遅めの昼食を済ませた後は、観光客で賑わう展望台へと向かう。
紅葉シーズンまっただ中、しかもこの日は薄くモヤがかかりながらも、一日中晴れており、人はひっきりなしに出入りして大盛況だった。人の隙間を見つけて穂高を初めとする北アルプスの山々をバックに記念撮影を済ませた後は、歩いた区間の西穂山荘から西穂高独標までを目で辿り、しばし眺めていた。
●西穂山荘から先は、赤い矢印の間を歩いたことになる●
●展望台から見た西穂高独標●
西穂高から左に目をやると、槍ヶ岳までもが明確に見えたので、「いつかあそこへ行ってみたい…」との思いも少しは沸いたが、「独標から先へ行けないようでは…」と、己の体力の無さに現実へと引き戻される。
●左端が槍ヶ岳●
まぁ、ボクら夫婦のような”チョイかじり”のハイカーにとっては、今回のようなロープウェイを使ったお手軽ルートがお似合いなのだろう。とにかく、またいずれは登ってみたくなる。そんな西穂高独標だった。