■念願だったDVD■
ボクには高校時代から35年ほどのつきあいになる友人が数人居て、そのうち東京在住の一人から今年になって初めて意外な話を聞いた。それはボクと同じく、彼が倉本聰氏の脚本のファンだということだった。それも、ドラマ「北の国から」のDVDを全巻持っているという、彼のキャラからは想像もできない事実から始まった話なので、正直ビックリしてしまった。
そんな彼と9月に会う機会があって、その時に二人で盛り上がったのが、倉本聰氏の、もう一つの代表作である、ドラマ「前略おふくろ様」の話だった。
「前略おふくろ様」のパートⅠとパートⅡが本放送していた頃、ボクは小学校6年から中学2年だったが、例によって、岩城滉一&ショーケン(萩原健一)ファンの姉が欠かさず見ていたせいか、ストーリーやシーンの一部をあやふやながら覚えている。しかし、ドラマの舞台が”大人の世界”なだけに、ガキだった自分には理解し難いような深い内容が多く含まれているに違いなく、脚本家が意図するところの数%も理解していないハズだ。
それでも、覚えているシーンの断片をつなぐだけでも笑ってしまうくらい、ストーリー展開が面白いことを知っているし、今となっては、描かれている”大人の世界”の多くが理解できるように思える。
そんなことを考えれば考えるほど興味が更に深まってしまい、しばらくの間、思いは募る一方であったが、とうとう、「本気で見よう」と決意するに至った。
見るにあたって、調べを進めてみると、制作年度が古いだけに、障害が多いことに気付かされた。
以前は、VHSビデオには存在したレンタル品にはDVDでは存在せず、現在のところはTV、BS等で再放送の予定はないようだ。従って現状では、いわゆるセルDVDを購入するしか見る手立てがないのだ。
しかし、このドラマは合計50話もあるからセルDVDは高額だ。そこで上述した友人と協議し、二人で折半して購入することになったのだが、負担が2分の1になっても高額なため、新品を買う気にはなれず、中古品をなんとか探し出して、ようやく手に入れるに至った次第だ。
そして到着後は、妻と息子との家族三人で、時には腹を抱えて笑い、時にはうっすら涙を浮かべながら、日々少しずつ鑑賞している。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/25/23/b714fab44aa34ee14d964402ef0e4c88.jpg)
■ブルースの世界■
このドラマは、ショーケンが演じるところの、主人公=サブちゃんの、板前としてのリアルな日常を描いている。
その日常で自身の周囲に起こる「あちらを立てれば、こちらが立たず」的な毎日と、サブちゃんの年老いた母親への思いが、このドラマの中で展開されてゆくが、その背景には、江戸文化や江戸情緒を受け継ぎ、義理と人情の中で暮らしてきた”町”の人々が、東京という”街”の発展と共に滅びゆく姿があって、ストーリーから伝わってくる「切なさ」は、見る側の心に染み入り、何とも言えない心地にさせる。
その「切なさ」を「解るよな~」なんて、心で言いつつ見ていると、ドラマは心の琴線をずーっと震わせ続けてくれるが、ボクにとってこの味わいは、音楽で言うところの、正にブルースの世界であって、心地良い。
普通のドラマでは気にも留めないような細かなところにこだわり、リアリズムに徹しているから、見る側の多くは素直に感情移入できるので、あたかもドラマ中の住人になった気分にさせてくれる。勿論それは、倉本聰氏の脚本(ただし、パートⅠの一部は他のライターも書いている)によるところも大なのだが、「収録期間は専属し、他の仕事を一切入れない」という、今では考えられないような条件の下に出演していた、役者魂あふれる”本物の役者たち”の、火花が散るような演技によるところも大きいと思う。
ひねくれたオジサンの勝手な解釈と言われても仕方ないが、この時代の前後に渡って本気で作られた幾つかの”迫真”のドラマに比べると、近頃のドラマは「あり得ない設定と台詞回し」ばかりに思え、残念ながらほとんどリアリズムを感じない。その結果、感情移入がし辛くなって、ヘタをすれば、「これってファンタジー物なの?」と感じ取ってしまい、心が引いてゆくから困りものだ。
ひとたび目を海外TVドラマに移すと、1999~2007年度の米国作品「ソプラノズ」なんかは、ブルージーで”物凄く”良かったのだが、あちらは視聴者やスポンサーに媚びる必要のない、有料チャンネルで配信するために映画会社が制作したドラマだからできることであって、ごく一部の例外を除いて基本的に”タダ”で見られる日本とは事情が違うということなのだろうか?。
いずれにせよ、「おっと、これは…」と思える、心に染み入るブルージーな国内TVドラマに早く出会いたいと願っている。それは、いつの日なのだろうか…。
ボクには高校時代から35年ほどのつきあいになる友人が数人居て、そのうち東京在住の一人から今年になって初めて意外な話を聞いた。それはボクと同じく、彼が倉本聰氏の脚本のファンだということだった。それも、ドラマ「北の国から」のDVDを全巻持っているという、彼のキャラからは想像もできない事実から始まった話なので、正直ビックリしてしまった。
そんな彼と9月に会う機会があって、その時に二人で盛り上がったのが、倉本聰氏の、もう一つの代表作である、ドラマ「前略おふくろ様」の話だった。
「前略おふくろ様」のパートⅠとパートⅡが本放送していた頃、ボクは小学校6年から中学2年だったが、例によって、岩城滉一&ショーケン(萩原健一)ファンの姉が欠かさず見ていたせいか、ストーリーやシーンの一部をあやふやながら覚えている。しかし、ドラマの舞台が”大人の世界”なだけに、ガキだった自分には理解し難いような深い内容が多く含まれているに違いなく、脚本家が意図するところの数%も理解していないハズだ。
それでも、覚えているシーンの断片をつなぐだけでも笑ってしまうくらい、ストーリー展開が面白いことを知っているし、今となっては、描かれている”大人の世界”の多くが理解できるように思える。
そんなことを考えれば考えるほど興味が更に深まってしまい、しばらくの間、思いは募る一方であったが、とうとう、「本気で見よう」と決意するに至った。
見るにあたって、調べを進めてみると、制作年度が古いだけに、障害が多いことに気付かされた。
以前は、VHSビデオには存在したレンタル品にはDVDでは存在せず、現在のところはTV、BS等で再放送の予定はないようだ。従って現状では、いわゆるセルDVDを購入するしか見る手立てがないのだ。
しかし、このドラマは合計50話もあるからセルDVDは高額だ。そこで上述した友人と協議し、二人で折半して購入することになったのだが、負担が2分の1になっても高額なため、新品を買う気にはなれず、中古品をなんとか探し出して、ようやく手に入れるに至った次第だ。
そして到着後は、妻と息子との家族三人で、時には腹を抱えて笑い、時にはうっすら涙を浮かべながら、日々少しずつ鑑賞している。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/25/23/b714fab44aa34ee14d964402ef0e4c88.jpg)
●やっとの事で手に入れたパートⅠ&ⅡのBOXセット●
■ブルースの世界■
このドラマは、ショーケンが演じるところの、主人公=サブちゃんの、板前としてのリアルな日常を描いている。
その日常で自身の周囲に起こる「あちらを立てれば、こちらが立たず」的な毎日と、サブちゃんの年老いた母親への思いが、このドラマの中で展開されてゆくが、その背景には、江戸文化や江戸情緒を受け継ぎ、義理と人情の中で暮らしてきた”町”の人々が、東京という”街”の発展と共に滅びゆく姿があって、ストーリーから伝わってくる「切なさ」は、見る側の心に染み入り、何とも言えない心地にさせる。
その「切なさ」を「解るよな~」なんて、心で言いつつ見ていると、ドラマは心の琴線をずーっと震わせ続けてくれるが、ボクにとってこの味わいは、音楽で言うところの、正にブルースの世界であって、心地良い。
普通のドラマでは気にも留めないような細かなところにこだわり、リアリズムに徹しているから、見る側の多くは素直に感情移入できるので、あたかもドラマ中の住人になった気分にさせてくれる。勿論それは、倉本聰氏の脚本(ただし、パートⅠの一部は他のライターも書いている)によるところも大なのだが、「収録期間は専属し、他の仕事を一切入れない」という、今では考えられないような条件の下に出演していた、役者魂あふれる”本物の役者たち”の、火花が散るような演技によるところも大きいと思う。
ひねくれたオジサンの勝手な解釈と言われても仕方ないが、この時代の前後に渡って本気で作られた幾つかの”迫真”のドラマに比べると、近頃のドラマは「あり得ない設定と台詞回し」ばかりに思え、残念ながらほとんどリアリズムを感じない。その結果、感情移入がし辛くなって、ヘタをすれば、「これってファンタジー物なの?」と感じ取ってしまい、心が引いてゆくから困りものだ。
ひとたび目を海外TVドラマに移すと、1999~2007年度の米国作品「ソプラノズ」なんかは、ブルージーで”物凄く”良かったのだが、あちらは視聴者やスポンサーに媚びる必要のない、有料チャンネルで配信するために映画会社が制作したドラマだからできることであって、ごく一部の例外を除いて基本的に”タダ”で見られる日本とは事情が違うということなのだろうか?。
いずれにせよ、「おっと、これは…」と思える、心に染み入るブルージーな国内TVドラマに早く出会いたいと願っている。それは、いつの日なのだろうか…。