中島ブラザーズ ”弟”の「外で遊ぼう!」

近頃は日本海で、ヒラマサを追ってばかり。よって磯釣りや渓流釣りは休止状態ですが…。

マキエサの話

2013-05-18 12:30:00 | 船釣りタックル&仕掛、戦略他
■マキエサ論争■

 実は、前回の釣行時に乗り合わせた隣の爺さんの口から、クレームの言葉が発せられていた。
 爺さん曰く「マキエサを多く(爺さんにとっての)撒くと、エサ取りが沸くから止めてくれ」とのことだった。しかし、この論争には一過言あるため、その場ですぐに反論させてもらったのだが…。

 爺さん理論では、「マキエサを止めればエサ取りが減ってサシエサが残る」ということなのかも知れないが、果たしてそうなのだろうか?。もしそうであるのなら、マキエサをせずに狙うカワハギ釣りは成立しないであろう。(奇しくも、この日のエサ取りはウマズラハギがメイン)マキエサを撒かなければそこに始めからカワハギはいないからだ。
 結局、マキエサをしようが、しまいが、エサ取り達は執拗であり、自分たちにとっての条件が良ければ、そこに居座って流れてくるエサを待ち構えている。であるからこそ、エサ取り対策は、そんなに甘くはないのだ。
 ただし、唯一の例外はアジ、サバ、イワシといった、回遊性のある魚がエサを取る場合だ。これらは、マキエサを中止すると、どこかに消えてしまうことを実際に磯釣りで経験したことがある。しかし、これはグレを狙っている最中のことだ。船で狙う本命魚=マダイや青物は、”フィッシュ・イーター”という側面を持っているから、アジ、サバ、イワシは恰好のエサになるワケであり、本命魚達が近くにいる場合は、悠長に流れてくるオキアミのエサを拾っているヒマはないから、その条件下ではエサ取りになり得ない。
 また、本命魚のエサとはなり難いカワハギ類であっても、自分より大きな本命魚が行動し始めると、蹴散らされて恐怖を感じるのか、岩の間に隠れたり、下層に沈んだりするのだ。
 つまりは、「本命魚達に活性があれば、エサ取り達を凌駕する」ということだ。だから極端な話、本命魚に食う気がないからエサ取り達が高活性化しているのだから、潮流の変化その他で本命魚の食い気が上がるのを待てばよいということになる。
 仮に、もし爺さん理論を採用し、マキエサを中止してサシエサだけを流している最中に、潮流が変わる等の理由で再び本命魚の活性が上がった場合には、それをどうやって判断すれば良いのだろうか?。その際にマキエサが届いていなければ、本命魚に気付いてもらえず、それらが安定してエサの流れてくる、他船の後ろに着いてしまう可能性もあるのだ。

 ただし、いつも本命魚が高活性化している状況で竿出しできるとは限らない。更に量的な優位関係があって、いくら本命魚に活性があっても、エサ取り達があまりに多量で他を圧倒した場合は、動きが大胆になって我々釣り人を悩ませる。
 では、「そんなとき、どうすればよいのか?。」
 実はエサ取りをある程度かわす方法があるのだが、それについて、一番研究が進んでいるのは、磯からのグレ釣りである。だからそこから学ぶのが一番の方法だと思う。グレ釣りのステップアップを目指すには、マキエ術(マキエ・ワーク)とサシエサの投入術を覚えることが必須になるからだ。
 エサ取りをかわしてグレを釣るには、多種多様な方法がとられているが、①.「足の遅いエサ取りを潮筋から外した位置に多量のマキエサを打って足止めし、潮の本筋に少量のマキエサを打って、そこに足の速いグレを集める(=平面で分ける)」、②.「マキエサを打った位置を変えず、エサ取りの層を割って浮上するグレのタイミングにあわせて仕掛けを投入する(=立体的に分ける)」といった「完全ではないものの、エサ取りと本命をどう分離させるか」が基本になる。(その方法全部を書くと長大な文章になるので省略する。)
 また、③.「グレの量が多く、エサが容易に食べられる場合はマキエサの全体の量を減らし、エサ取りの量が多く、グレにエサが行き渡らない場合は全体の量を増やす」という原則があることも頭に入れておかなくてはならない。

 船から釣る場合に上記を当てはめてみると、仕掛けを遠投することはできず、投入点は常に竿下のため、上記「①」は実行不可能となるから、エサ取りが多い場合は「②」の方法を演出すれば良いことになる。
 そこで発泡シモリウキという浮力体をサルカン部に入れることで仕掛の沈み具合を調整し、マキエサの上層を通過するようにして、エサ取りの層を割って浮上する本命魚を狙うのが、その手段の一つとなる。発泡シモリウキには番手があって、大きくなるほど浮力が増すので、大きさや個数で調整を繰り返してエサがギリギリ残る浮力に調整してやると良い。発泡ウキは場合によっては2~3個付けることもあり、これだけ浮力が強くなると、かなり道糸を送り出しても海面に浮かんでいるが、フロロカーボンの道糸のマイナス浮力に負けて、いずれは沈んでゆくので全く気にすることはない。

●ボクが釣り場に持参する、発泡ウキの数々●


 この方式(釣法?)については、福井県鷹巣~玄達沖では徹底されているが、何故か隣の海域の舞鶴周辺で見かけることはほとんどない。舞鶴の釣りで見かける「仕掛を浮かせる工夫」は、せいぜいサルカンを外して直結することと、スプールの回転に抵抗を加えて糸を張り気味にすることくらいであり、福井側のようなシステマチックさはないように思う。

 考えてみれば、天秤ズボ仕掛で狙う場合であっても、カゴから撒かれたエサに反応したエサ取りの層のやや上を狙う=エサが残るギリギリの水深を狙うのが鉄則であり、これと同様のことを実践しているだけのことだ。
 もちろん、前回釣行時の状況はエサ取りが多い=エサが本命に行き渡っていないと予測されるため、上述「③」の鉄則どおり、マキエサを減らす訳にはいかないのだ。

 
 と、爺さんに全てを説明したかったのだが、「考え方の違いでしょ?、エサ取りの上を狙うのが鉄則だからマキエサを途切れさせることはできない。」とだけ言って、それでもため息と共にブツブツと言っている爺さんを以降は無視して釣り続けていた。

■マキエサの量■

 舞鶴や宮津から出船する乗合船に乗船する場合、ほとんどの釣り船に於いて料金に含まれるエサの量はいわゆる3kg板が2枚になっているが、これは、潮流によっては天秤ズボになることを見越しての量だと思う。また、現場で余ると、客から「値引きしろ」だの「返品させろ」だのと、クレームが出ることも考えられるからこの判断になったのかも知れない。
 しかし、完全フカセ釣りが専門の福井県鷹巣~玄達沖では6時間のコースに斡旋店が1セットとして用意するマキエサは、仕立て船の場合であれば3枚のところがほとんどで、その上「追加は要らないのか?」と必ず聞いてくる。何もこれは商売熱心であるために聞いているのではなく、キッチリと撒き続けるのなら、それでは足らないことを知っているからだ。
 因みに前回の釣行では、ボクは標準セット分2枚に、持ち込み分の3枚を合わせて全5枚を用意し、そのほとんどを撒いた。これでも当日の潮流が遅かったために、この消費量で納まったのだが、潮流が速くて流す回数が増えていれば、もう少しセーブをしなければ一日もたなかったかも知れない。因みにボクが若狭湾で竿を出す場合は、通常の状況下であれば一日あたり5~6枚の計算だが、潮流が速いことの多い福井県の玄達瀬でヒラマサを狙う場合は実釣11時間で、一日あたり10~12枚を用意する。(勿論、一人あたりで、実際は×乗船人数分)

 マキエサとサシエサの関係と言えば、以前に、
 「一人の人間に『甲子園球場のグランドにパチンコ玉一個を投げ入れて、それを見つけ出せ。』というと至難の業だが、その玉の周囲にある程度の玉数を撒いておいても良いのなら、的の範囲が広がり、それが目安になって発見する確率はかなり上昇するし、探す人数を増やして良いとなると、人数に比例して発見する確率が上昇する。」これと同じで「広い海の中にマキエサを入れ、その中、あるいはその周囲にサシエサがあるということであれば、ある程度の塊になるため、目に付く確率が上がるし、臭いも広がる。」そして「それらに反応した周囲のエサ取り達の動きが活発になることで“気配”という要素が加わって本命魚が、よりエサの存在を察知しやすくなる。」
 と、ある磯釣り名人がボクに語ってくれたことを思い出す。

 これまでの説明でマキエサの量がある程度必要であることを理解してもらえたであろうか?。もし、それでも沖釣りで「少量のマキエサで釣ったという経験がある」と反論したい釣り人が居るのなら、それは同船の誰かが撒いたマキエサの流れるラインで釣ったのかも知れず、胸に手を当ててその点を振り返ってみるべきだと思う。

 「マキエサの切れ目が縁の切れ目」と、その昔に、グレ釣りの記事で誰かが書いているのを読んだことがあるが、これは、マキエサで魚を寄せて釣る釣り全般に言えることだとボクは思う。ボクの拙い説明に納得してもらえたのなら、「次回からはセッセと撒きましょう!。」
コメント
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