■肝心要のタナ取り■
船からの完全フカセ釣りで、一番大切な部分。それは本命魚がエサを拾うタナへハリの付いたサシエサを届けること=タナとりだ。それは誰にでも解ることだと思うが、その方法には色々あって我々を悩ませる。
タナとりの方法は、各地で細かにスタイルが違うようだが、ボクが知るのは、福井県鷹巣&玄達方式(以下福井方式)、京都府経ヶ岬沖&冠島方式(以下、舞鶴方式)、そして京都府間人方式(以下間人方式)の3つだ。もっとも、3箇所は隣り合わせの海域のため、明確に分かれているわけではないので、“そこでの主流派”と捉えて於いて欲しいが、その中で、福井県鷹巣&玄達方式がボクにとっては一番解り易く、合理的な方法だと思っている。
タナとりについての説明は難しいが、福井方式を中心にタナとりを行っているボクから見た、他の地域方式の欠点なんかに触れつつ、何故ボクが「一番解り易く、合理的な方法」だと思うのかを、以下に記してゆこうと思う。
■タナとりの実際■
タナとりを行う際に目安となるのが、エサの盗られ具合だ。つまりは、ハリに付いたサシエサが盗られれば、より上層を狙い、残れば、より下層を狙うということで探りを入れ、「残るか、盗られるのギリギリのライン」を狙うのが良しとされている。これは天秤ズボ釣りであっても、磯のグレ釣りであっても同じであり、狙うタナを探るための根拠になっていて、これが基本中の基本ということになる。これは、「本命魚がエサ盗りの層を突き破って上層を流れるエサを採る」という習性を利用したモノで、特にマダイ狙いではこの理屈がピッタリと当てはまることが多い。また、ヒラマサなどの青物も同じ理屈が当てはまるが、これらの場合は自身が食われることを恐れてエサ盗りが散ってしまうことが多く、それまで盗られたり残ったりしていたサシエサが、急に完全に残りだした時が、その回遊の知らせになることが多い。
では、実際に「どうやってタナをとるのか?」だが、これには少々の小道具を揃えて、それぞれを使いこなす必要がある。

小道具の使う目的は大まかに「沈めるため」、「浮かせるため」「潮を受けるため」の3つになるが、まずは「沈めるため」に使用する物から。
■オモリ系■
舞鶴辺りの船に乗り合わせていると、道糸とハリスの連結部に付いているサルカンの数を増減したり、サイズの大小を交換している光景を目にすることが多い。それは仕掛の重みの増減で仕掛を入り具合を調整しているのだとは思うが、福井方式ではガン玉の数やオモリのサイズで調節していることが多い。
浮力調整のキビシイ磯釣りのグレ釣りでの要求から、最近のガン玉は重さの表示がされている物が多いため、材質の違いや構造の違いで比重にバラツキのあるサルカンを使用するよりも、ガン玉を打った方が精度が上がるように思える。ガン玉の重さ基準は各社で少しバラツキがあるので、同一メーカーの物を揃えた方が良いが、標準的な重さはガン玉B=0.55g、同G3=0.25g、丸玉0.5号=1.87g、同1号=3.75gとなっている。
因みに今から20年程前、この釣りの初心者だった頃に鷹巣沖の船長から教えてもらったのは、ハリス8号までに使うサルカンは、インターロック付きローリングスイベル5号のみを使用し、それを基準にしてガン玉等のオモリを打っていくことで沈み具合を調整するという方式だったが、このようにサルカンはハリスの強度に合わせた一手に固定しておいた方が迷いが無くなるので、オススメだ。
揃えるガン玉は、サイズBと、その約半分の重さのG3あたりを持っていれば事足りるはずで、後はその数の多少や組み合わせで対処すればイイ。ガン玉を選ぶ際にはゴム貼りタイプがベストだが、これだとハリスに滑らずピッタリと固定できるし、外す際にも爪が入れて開き易い構造になった物が殆どなので便利だ。

現場では、サルカン1個のみの状態でもエサが盗られずに残ったら、とりあえずガン玉Bを1つ打って様子を伺い、ここで盗られたらガン玉G3に、それでも残ればBを2個にといった具合に微調整を繰り返す。普通に流れる潮であれば、徐々に増やしてゆくこのパターンでOKだが、激流時など、仕掛を更に沈ませたい場合は号数表示の0.5~1号程度までの丸玉オモリをサルカンの上部=道糸側に入れて強制的に沈めるようにしている。
ただし、ボクの場合は、1号でもエサが盗られない場合は、激流のためにマキエサの流れる層とサシエサが流れる層が大きく違っていると考え、石鯛用の小さな天秤を装着して、ナイロンカゴにマキエサを詰めて流すことも試す場合がある。

■次回は「浮力を付ける」から■
ここまでは、サルカンの数で重みを増すか、オモリの数や大きさで重みを増すかの違い程度で、標準状態=サルカン1個だけを付けた状態からの、マイナス方向へのアプローチが狙いであること自体は変わらないが、それとは逆の、標準状態からプラス方向へ積極的アプローチするのが、福井方式の特徴であり、一番のメリットだとボクは考えている。次回はそれを説明してゆく。
船からの完全フカセ釣りで、一番大切な部分。それは本命魚がエサを拾うタナへハリの付いたサシエサを届けること=タナとりだ。それは誰にでも解ることだと思うが、その方法には色々あって我々を悩ませる。
タナとりの方法は、各地で細かにスタイルが違うようだが、ボクが知るのは、福井県鷹巣&玄達方式(以下福井方式)、京都府経ヶ岬沖&冠島方式(以下、舞鶴方式)、そして京都府間人方式(以下間人方式)の3つだ。もっとも、3箇所は隣り合わせの海域のため、明確に分かれているわけではないので、“そこでの主流派”と捉えて於いて欲しいが、その中で、福井県鷹巣&玄達方式がボクにとっては一番解り易く、合理的な方法だと思っている。
タナとりについての説明は難しいが、福井方式を中心にタナとりを行っているボクから見た、他の地域方式の欠点なんかに触れつつ、何故ボクが「一番解り易く、合理的な方法」だと思うのかを、以下に記してゆこうと思う。
■タナとりの実際■
タナとりを行う際に目安となるのが、エサの盗られ具合だ。つまりは、ハリに付いたサシエサが盗られれば、より上層を狙い、残れば、より下層を狙うということで探りを入れ、「残るか、盗られるのギリギリのライン」を狙うのが良しとされている。これは天秤ズボ釣りであっても、磯のグレ釣りであっても同じであり、狙うタナを探るための根拠になっていて、これが基本中の基本ということになる。これは、「本命魚がエサ盗りの層を突き破って上層を流れるエサを採る」という習性を利用したモノで、特にマダイ狙いではこの理屈がピッタリと当てはまることが多い。また、ヒラマサなどの青物も同じ理屈が当てはまるが、これらの場合は自身が食われることを恐れてエサ盗りが散ってしまうことが多く、それまで盗られたり残ったりしていたサシエサが、急に完全に残りだした時が、その回遊の知らせになることが多い。
では、実際に「どうやってタナをとるのか?」だが、これには少々の小道具を揃えて、それぞれを使いこなす必要がある。

●現場に持ち込む小道具●
小道具の使う目的は大まかに「沈めるため」、「浮かせるため」「潮を受けるため」の3つになるが、まずは「沈めるため」に使用する物から。
■オモリ系■
舞鶴辺りの船に乗り合わせていると、道糸とハリスの連結部に付いているサルカンの数を増減したり、サイズの大小を交換している光景を目にすることが多い。それは仕掛の重みの増減で仕掛を入り具合を調整しているのだとは思うが、福井方式ではガン玉の数やオモリのサイズで調節していることが多い。
浮力調整のキビシイ磯釣りのグレ釣りでの要求から、最近のガン玉は重さの表示がされている物が多いため、材質の違いや構造の違いで比重にバラツキのあるサルカンを使用するよりも、ガン玉を打った方が精度が上がるように思える。ガン玉の重さ基準は各社で少しバラツキがあるので、同一メーカーの物を揃えた方が良いが、標準的な重さはガン玉B=0.55g、同G3=0.25g、丸玉0.5号=1.87g、同1号=3.75gとなっている。
因みに今から20年程前、この釣りの初心者だった頃に鷹巣沖の船長から教えてもらったのは、ハリス8号までに使うサルカンは、インターロック付きローリングスイベル5号のみを使用し、それを基準にしてガン玉等のオモリを打っていくことで沈み具合を調整するという方式だったが、このようにサルカンはハリスの強度に合わせた一手に固定しておいた方が迷いが無くなるので、オススメだ。
揃えるガン玉は、サイズBと、その約半分の重さのG3あたりを持っていれば事足りるはずで、後はその数の多少や組み合わせで対処すればイイ。ガン玉を選ぶ際にはゴム貼りタイプがベストだが、これだとハリスに滑らずピッタリと固定できるし、外す際にも爪が入れて開き易い構造になった物が殆どなので便利だ。

●Bサイズのゴム貼りガン玉●
現場では、サルカン1個のみの状態でもエサが盗られずに残ったら、とりあえずガン玉Bを1つ打って様子を伺い、ここで盗られたらガン玉G3に、それでも残ればBを2個にといった具合に微調整を繰り返す。普通に流れる潮であれば、徐々に増やしてゆくこのパターンでOKだが、激流時など、仕掛を更に沈ませたい場合は号数表示の0.5~1号程度までの丸玉オモリをサルカンの上部=道糸側に入れて強制的に沈めるようにしている。
ただし、ボクの場合は、1号でもエサが盗られない場合は、激流のためにマキエサの流れる層とサシエサが流れる層が大きく違っていると考え、石鯛用の小さな天秤を装着して、ナイロンカゴにマキエサを詰めて流すことも試す場合がある。

●石鯛用の小型天秤と1号オモリ●
■次回は「浮力を付ける」から■
ここまでは、サルカンの数で重みを増すか、オモリの数や大きさで重みを増すかの違い程度で、標準状態=サルカン1個だけを付けた状態からの、マイナス方向へのアプローチが狙いであること自体は変わらないが、それとは逆の、標準状態からプラス方向へ積極的アプローチするのが、福井方式の特徴であり、一番のメリットだとボクは考えている。次回はそれを説明してゆく。