前回から続く
■対応ハリス、10号以上クラス■
以下は使用ハリスが10号以上で、玄達瀬スペシャルとも言うべきクラスの竿だ。
残念ながら、このクラスの現行品には磯竿調子の船竿は存在しないし、「完全フカセ専用」と謳うモデルも存在しないため、新品が欲しければボリュームゾーンである、2.5m以下の青物対応竿以外に選択肢は殆ど無い。
2.5m以下の、短い竿のメリットは竿が起こしやすいため、相手の頭がこっちに向いた場合に引き寄せが楽になるが、いざという時の“曲がりしろ”が少ない分だけタメが効かないというデメリットがある。長い竿はその逆で、瀬際の糸が出せない状態での攻防でタメが効くことや船下での攻防時にスクリューや舵といった障害物との距離がとれるというメリットがあるが、強烈な引きに対して竿の角度を保持することに疲れてしまうというデメリットがあるので、長短を好みや用途で選べれば有り難いのだが、無い物ねだりは出来ないのが現状だ。
ボクは選択肢を広げるために、現行~1世代前あたりの青物対応竿を物色し続けているが、このクラスのメインになる調子は6:4とはいうものの、実際には少し負荷を掛けると踏ん張らずに5:5調子になる竿が殆どで、好みに合わないモノが相変わらず多い。だから、今のところベターはあってもベストはないと思っている。
(※以下で触れる竿の多くが1世代以上前の竿なので、当然今ではモデルチェンジしているが、メーカーの指向は劇的に変わっていないし、オモリ負荷や適合ハリスを参考にすれば現行製品から選ぶ際にも、ある程度の目安になるだろうから、ボクの竿選びが参考になれば幸いだ。)
そんな中、マズ手始めに選んだのは、昨年118cmのヒラマサを獲った、旧モデルのダイワ・リーディング-X ゴウマン 240Hという竿だった。(以下GOUMAN H240)適合ハリスは30号まで、オモリ負荷は250までという剛竿だったが、このクラスにもなると、6:4調子そのままで硬くなっていて、玄達瀬での10~12号ハリスには、ややオーバースペックのように感じていた。実際に下の写真が118cmのヒラマサを掛けたシーンだが、胴部があまり曲がり込んでいない様子が見て取れると思う。

実は118cmを掛ける前に、それ以上のサイズであろう、ヒラマサを掛けていたのだが、一瞬のうちに12号ハリスが飛ばされている。それを「竿が硬すぎるからだ。」と竿に責任転嫁した結果、次に手に入れたのが、それよりも一段柔らかい、ダイワ・リーディング-X ゴウイン 265Hという竿だった。(以下GOUIN H265)
この竿は以前、晴海丸船長お薦めだった竿でもあるし、適合ハリスは20号まで、オモリ負荷は200なので、スペック上は全く問題はない。そして実際に65cm級のマダイが竿を曲げたところは下写真になる。

写真を見れば、曲がりとしては綺麗に円を描いて、良いように見えるが、掛けた本人からすると、元ガイドのすぐ前に支点があるように思え、曲がりすぎて余裕がないように感じているのだ。
次いで下写真は85cmのヒラマサが同じ竿を曲げるシーンだが、不思議なことに引きが弱いハズのマダイが曲げる様子とあまり変わらない。

竿を持っている本人も「曲がりすぎてどこか頼りない」と思っていたが、もしかすると、この手の竿の良さは「スイッとすぐに胴まで曲がって、そこから粘る」ところにあるのかも知れない。船長の意見も実際にそうなのだが、結局はボクの好みに合わなかった。
そんな紆余曲折の結果、「ゴウインとゴウマンの中間があれば…。」と思っていた頃、とある釣具店で出会ったのが、アルファタックル社のスフィンクス・ヴァーサタイル 253(以下スフィンクス 253)という竿だった。
この竿、カタログスペック上も適合ハリスは30号まで、オモリ負荷は200までなので、丁度ゴウインとゴウマンの中間になるし、メーカー基準の調子は7:3で、実物を店頭で曲げてみた印象もボク好みだった。
実釣ではマダイの65cm程度なら、7:3の支点で受け止めるような印象で、その様子が下写真になる。

そして、マダイよりも強い引きの良型ヒラマサが掛かった曲がりが下写真だ。

この時の印象は、7:3の支点からジワジワと曲がり込んでゆくといった感じで、これはこの竿がグラス素材中心の、肉の厚い構造で作られていることからくる良さだと思う。そして、そこから更に曲がり込んだ後にブレンドしたカーボンの金属的な張りが出て、竿の“起こし”が期待できるイメージだが、残念ながら今年の玄達瀬ではメーターオーバーを掛けていないので、実釣での感想ではないことをことわっておく。
この竿の欠点はグラス素材+金属バットのためズシリと重いところが第一になり、その影響で手に持ってやり取りする最中に軽快感が出ないところが不満になる。
■長竿の必要性と、その現状■
玄達瀬への釣行でもボクは乗合船を利用しているが、通常定員が3人となるため、潮上側の釣り人は、オマツリ防止のために、長めの竿を用意した方が良い。そのためボクは、かなり古いモデルの、ヒラマサ用の100号、3.9mを釣行時に持ち込んでいる。

100号竿とは言え、ヒラマサ対応を全面に謳っているだけあって、通常の100号表示とは胴の粘り具合が違って、6:4の支点からジワジワと曲がり込んでゆくといった感じで、一応は気に入っている。
では、「一般的な100号の胴調子竿を使うとどうなるか?。」だが、下写真が65cmのマダイを掛けた際のそれで、

80号表示の同じ竿よりは幾分マシだが、6:4調子のハズが、魚が掛かればすぐに5:5調子になってしまうところは変わらない。
同じ竿で、そこそこサイズのヒラマサを掛けた場合は下写真

のようになって、元部の復元力に余裕が減って来る。写真を撮った同日に結局はハリ外れでバラしたものの、感触からは軽くメーターを超えるヒラマサを掛けたが、その際に竿が曲がり込んでからの“起こし”は期待できなかった。
残念なことに、現在、釣具店の店頭に並ぶ長尺の胴調子竿も手にとって曲げてみる限り同じような感触で、100号オモリを背負える設計はされていても、ヒラマサ竿としての備えがあるように思えない。恐らくヒラマサが掛かればいずれもこんな感じになってしまうだろうから、少なくともボクのような竿が好みの釣り人にとっては、新品での長尺竿選びが困難になっているのが現状だ。
そんなこんなで、現状では何とかベターな竿には出会ったと思っているが、玄達瀬で使う竿のベストを言うのなら、やはり、素材はモタッとするグラス素材がメインより、スタンディング・ファイトや取り回し時に楽になるシャープで軽量なカーボン素材がメインであって欲しい。その上で、磯竿規格で言うところの、ヒラマサ対応で5号程度、適応ハリスで言えば、10~12号で一番性能を発揮する硬さの7:3調子、長さは潮上対応の3.5m前後の竿の登場が待たれるが、そんなニーズは殆ど無いだろうから、そんな竿を手にすることは夢のまた夢だろう。
■好みは色々あるけれど…■
一般釣り師のボクが設計段階の話なんて出来るはずもないので、これまで2回にわたって記したのは、あくまでもボクが現場で得た使用感と釣具店の店頭で手に取って曲げた感想だ。釣り人のスタイルはそれぞれで、好みもあるが、例えば胴まで簡単に曲がり込んでしまう竿であっても、電動リールをウマく操作して大型ヒラマサを獲る釣法もあるから、全てで「一概には言えない」点があることを理解していて欲しい。
しかしボクが度々触れている、磯竿のような胴部の“起こし”は、ヒラマサに対抗する手段がリールのドラグ以外に一つ増えるワケだから、取り込みに余裕が生まれてくるハズだ。特に、最近の舞鶴辺りで流行り始めている、手巻きのイシダイリールを使った釣りでは電動リールとは違って常に巻き続けることができないために、竿で踏ん張らなくてはイケナイ時間帯が必ず増える。そんな時に、この手の竿が持つ“起こし”が生きてくることは間違いないので、特にオススメしておきたい。
■対応ハリス、10号以上クラス■
以下は使用ハリスが10号以上で、玄達瀬スペシャルとも言うべきクラスの竿だ。
残念ながら、このクラスの現行品には磯竿調子の船竿は存在しないし、「完全フカセ専用」と謳うモデルも存在しないため、新品が欲しければボリュームゾーンである、2.5m以下の青物対応竿以外に選択肢は殆ど無い。
2.5m以下の、短い竿のメリットは竿が起こしやすいため、相手の頭がこっちに向いた場合に引き寄せが楽になるが、いざという時の“曲がりしろ”が少ない分だけタメが効かないというデメリットがある。長い竿はその逆で、瀬際の糸が出せない状態での攻防でタメが効くことや船下での攻防時にスクリューや舵といった障害物との距離がとれるというメリットがあるが、強烈な引きに対して竿の角度を保持することに疲れてしまうというデメリットがあるので、長短を好みや用途で選べれば有り難いのだが、無い物ねだりは出来ないのが現状だ。
ボクは選択肢を広げるために、現行~1世代前あたりの青物対応竿を物色し続けているが、このクラスのメインになる調子は6:4とはいうものの、実際には少し負荷を掛けると踏ん張らずに5:5調子になる竿が殆どで、好みに合わないモノが相変わらず多い。だから、今のところベターはあってもベストはないと思っている。
(※以下で触れる竿の多くが1世代以上前の竿なので、当然今ではモデルチェンジしているが、メーカーの指向は劇的に変わっていないし、オモリ負荷や適合ハリスを参考にすれば現行製品から選ぶ際にも、ある程度の目安になるだろうから、ボクの竿選びが参考になれば幸いだ。)
そんな中、マズ手始めに選んだのは、昨年118cmのヒラマサを獲った、旧モデルのダイワ・リーディング-X ゴウマン 240Hという竿だった。(以下GOUMAN H240)適合ハリスは30号まで、オモリ負荷は250までという剛竿だったが、このクラスにもなると、6:4調子そのままで硬くなっていて、玄達瀬での10~12号ハリスには、ややオーバースペックのように感じていた。実際に下の写真が118cmのヒラマサを掛けたシーンだが、胴部があまり曲がり込んでいない様子が見て取れると思う。

●GOUMAN H240 Vs. 118cmのヒラマサ●
実は118cmを掛ける前に、それ以上のサイズであろう、ヒラマサを掛けていたのだが、一瞬のうちに12号ハリスが飛ばされている。それを「竿が硬すぎるからだ。」と竿に責任転嫁した結果、次に手に入れたのが、それよりも一段柔らかい、ダイワ・リーディング-X ゴウイン 265Hという竿だった。(以下GOUIN H265)
この竿は以前、晴海丸船長お薦めだった竿でもあるし、適合ハリスは20号まで、オモリ負荷は200なので、スペック上は全く問題はない。そして実際に65cm級のマダイが竿を曲げたところは下写真になる。

●GOUIN H265 Vs. 65cmのマダイ●
写真を見れば、曲がりとしては綺麗に円を描いて、良いように見えるが、掛けた本人からすると、元ガイドのすぐ前に支点があるように思え、曲がりすぎて余裕がないように感じているのだ。
次いで下写真は85cmのヒラマサが同じ竿を曲げるシーンだが、不思議なことに引きが弱いハズのマダイが曲げる様子とあまり変わらない。

●GOUIN H265 Vs. 85cmのヒラマサ●
竿を持っている本人も「曲がりすぎてどこか頼りない」と思っていたが、もしかすると、この手の竿の良さは「スイッとすぐに胴まで曲がって、そこから粘る」ところにあるのかも知れない。船長の意見も実際にそうなのだが、結局はボクの好みに合わなかった。
そんな紆余曲折の結果、「ゴウインとゴウマンの中間があれば…。」と思っていた頃、とある釣具店で出会ったのが、アルファタックル社のスフィンクス・ヴァーサタイル 253(以下スフィンクス 253)という竿だった。
この竿、カタログスペック上も適合ハリスは30号まで、オモリ負荷は200までなので、丁度ゴウインとゴウマンの中間になるし、メーカー基準の調子は7:3で、実物を店頭で曲げてみた印象もボク好みだった。
実釣ではマダイの65cm程度なら、7:3の支点で受け止めるような印象で、その様子が下写真になる。

●スフィンクス 253 Vs. 65cmの真鯛●
そして、マダイよりも強い引きの良型ヒラマサが掛かった曲がりが下写真だ。

●スフィンクス 253 Vs. 84cmのヒラマサ●
この時の印象は、7:3の支点からジワジワと曲がり込んでゆくといった感じで、これはこの竿がグラス素材中心の、肉の厚い構造で作られていることからくる良さだと思う。そして、そこから更に曲がり込んだ後にブレンドしたカーボンの金属的な張りが出て、竿の“起こし”が期待できるイメージだが、残念ながら今年の玄達瀬ではメーターオーバーを掛けていないので、実釣での感想ではないことをことわっておく。
この竿の欠点はグラス素材+金属バットのためズシリと重いところが第一になり、その影響で手に持ってやり取りする最中に軽快感が出ないところが不満になる。
■長竿の必要性と、その現状■
玄達瀬への釣行でもボクは乗合船を利用しているが、通常定員が3人となるため、潮上側の釣り人は、オマツリ防止のために、長めの竿を用意した方が良い。そのためボクは、かなり古いモデルの、ヒラマサ用の100号、3.9mを釣行時に持ち込んでいる。

●レオアーク・ヒラマサ 100号 390 Vs. 88cmのヒラマサ●
100号竿とは言え、ヒラマサ対応を全面に謳っているだけあって、通常の100号表示とは胴の粘り具合が違って、6:4の支点からジワジワと曲がり込んでゆくといった感じで、一応は気に入っている。
では、「一般的な100号の胴調子竿を使うとどうなるか?。」だが、下写真が65cmのマダイを掛けた際のそれで、

●KAIKOU 100号 3.6m Vs. 65cmのマダイ●
80号表示の同じ竿よりは幾分マシだが、6:4調子のハズが、魚が掛かればすぐに5:5調子になってしまうところは変わらない。
同じ竿で、そこそこサイズのヒラマサを掛けた場合は下写真

●KAIKOU 100号 3.6m Vs. 75cmのヒラマサ●
のようになって、元部の復元力に余裕が減って来る。写真を撮った同日に結局はハリ外れでバラしたものの、感触からは軽くメーターを超えるヒラマサを掛けたが、その際に竿が曲がり込んでからの“起こし”は期待できなかった。
残念なことに、現在、釣具店の店頭に並ぶ長尺の胴調子竿も手にとって曲げてみる限り同じような感触で、100号オモリを背負える設計はされていても、ヒラマサ竿としての備えがあるように思えない。恐らくヒラマサが掛かればいずれもこんな感じになってしまうだろうから、少なくともボクのような竿が好みの釣り人にとっては、新品での長尺竿選びが困難になっているのが現状だ。
そんなこんなで、現状では何とかベターな竿には出会ったと思っているが、玄達瀬で使う竿のベストを言うのなら、やはり、素材はモタッとするグラス素材がメインより、スタンディング・ファイトや取り回し時に楽になるシャープで軽量なカーボン素材がメインであって欲しい。その上で、磯竿規格で言うところの、ヒラマサ対応で5号程度、適応ハリスで言えば、10~12号で一番性能を発揮する硬さの7:3調子、長さは潮上対応の3.5m前後の竿の登場が待たれるが、そんなニーズは殆ど無いだろうから、そんな竿を手にすることは夢のまた夢だろう。
■好みは色々あるけれど…■
一般釣り師のボクが設計段階の話なんて出来るはずもないので、これまで2回にわたって記したのは、あくまでもボクが現場で得た使用感と釣具店の店頭で手に取って曲げた感想だ。釣り人のスタイルはそれぞれで、好みもあるが、例えば胴まで簡単に曲がり込んでしまう竿であっても、電動リールをウマく操作して大型ヒラマサを獲る釣法もあるから、全てで「一概には言えない」点があることを理解していて欲しい。
しかしボクが度々触れている、磯竿のような胴部の“起こし”は、ヒラマサに対抗する手段がリールのドラグ以外に一つ増えるワケだから、取り込みに余裕が生まれてくるハズだ。特に、最近の舞鶴辺りで流行り始めている、手巻きのイシダイリールを使った釣りでは電動リールとは違って常に巻き続けることができないために、竿で踏ん張らなくてはイケナイ時間帯が必ず増える。そんな時に、この手の竿が持つ“起こし”が生きてくることは間違いないので、特にオススメしておきたい。