中島ブラザーズ ”弟”の「外で遊ぼう!」

近頃は日本海で、ヒラマサを追ってばかり。よって磯釣りや渓流釣りは休止状態ですが…。

’21年版 完全フカセ戦略 ~その1

2021-01-16 12:30:00 | 船釣りタックル&仕掛、戦略他
 2021年になって繁忙期は過ぎたたものの、天候不良に加え、コロナ禍により乗船し辛く、釣行記は暫く更新出来そうにない。よって、ここ近年で実践している完全フカセ釣り戦略について記してみようと思っている。

■近頃のヒラマサ事情■

 このブログでも、2015年の7~8月に「完全フカセ色々 ~タナとりの話」で、2回にわたってヒラマサ狙いの完全フカセ釣りにおけるタナ取り法について記しているが、時を経て、その頃にメインとしていた発泡ウキの浮力の大小で通すタナを変える方法のみでは大型のアタリが減っている事を実感している。

●発泡ウキのセッティング●


 「何が原因か?」についていろいろと考察しているのだが、近年の高水温化もその一つにあると思う。その影響で上がり過ぎた表層水温はそれ以下の潮とは異質で混じり難く、2層(二枚潮)、あるいはそれ以上の層になって複雑に流れる多層潮の日、それも表層が一番速いという、厄介な日が多くなっているように思える。
 だがそれのみだと「仕掛けを合わせ難い」だけの事。深刻なのは高水温化すると低酸素気味になるので、もしかすると上層が、ガタイの大きなヒラマサにとって必要酸素量の足りない、息苦しくなる状態になっているのかも知れず、そのせいか撒きエサにつられて積極的に浮上する大型ヒラマサが減っているように思える事だ。

 上記はあくまでも魚類学者ではない素人の推測だが、とにかくそんな風に海中の事情が変化する中、発泡ウキの大~小で浮力を調整してエサ盗りをかわす釣りが不利になるのはやむを得ないように思う。但し、同じヒラマサでも「喰いたさ一心で命知らず(?)の中~小型」なら、撒きエサにつられて出てくる可能性が高いので、別の話になるが…。

■多層潮の中■

 多層潮の日に工夫なしに流していると、当然仕掛けが多方向に引かれてラインに弛みが出来る為、仮に魚が刺しエサを咥えたとしても緩衝されてラインが走らず、「リールを巻いたら魚が付いていた。」という事が時々起こる。魚が付いればラッキーだが、ヒラマサはブリ族と違ってほとんどハリを飲み込まないので、刺しエサを咥えた後、違和感を感じる前にアワセを入れないとハリ掛かりせずに食い逃げするヤツも居る。故に、「エサ盗りにやられた。」と思っている中に、実はヒラマサが混じっている可能性があるのだ。
 また、上層のみが速い潮の場合は特に上滑りし易くなるので、魚の居ない方向に仕掛けが入って行き、あらぬ方向や位置でラインが沈んだ時点でエサ盗りの餌食になる。このパターンに陥ると「エサが盗られる」→「発泡ウキのサイズを上げる(数を増やす)」という流れだけでは永遠に刺しエサが盗られ続ける事になる。

 従ってここ近年では、浮力の調整のみに頼らず、複数の方式をアレンジする事で何とか釣果を挽回させているのだが、具体的にいうと、ボクが2015年当時、便宜上「間人(たいざ)方式」と記した方式を中心とし、それに越前方式を組み合わせている。そこで、まずは、その間人方式のおさらいから。


■間人(たいざ)方式■

 間人方式と言うが、当然一般的な呼称ではない。これは丹後半島を西に行った京都府間人沖をホームグランドとしているグループがよく使うパターンの釣りで、船名で言えば梅垣丸さん、釣り人で言えば、がまかつの平井憲さん他が実践している釣法を指す。(共に面識はなく、TVでしか見た事がないのに、名前を出して申し訳ありません…)

 簡単に手順を示す。
 まず最初の送り出し(=ラインを手掴みで手繰り出す、強制的なラインの送り込み)は潮の遅速によって変化=遅い時は少なく、速い時は多く出すが、時には40~50mと、大胆な量になる事があるのを心得ておいて欲しい。そしてその送り出し分が潮に馴染んだら、糸フケを取るために一旦停止を行うが、その際、竿先で聞くなどして、刺しエサの抵抗感を得たら「仕掛け&ラインが一直線になった」と判断し、リールのクラッチを切って逆転を開始する。この時も潮の遅速に合わせて待ち時間は遅ければ長く、速ければ短くなる。

 リールの回転での流し込みが始まったら、回転の変化を注視し、変化があれば底潮に入った証になるという事で、ここからは余分な糸フケが出さないため、または魚にアピールするために張りや誘いをかけつつ流してゆく。つまりはリールのメカニカルブレーキを締めて回転を抑制する事でラインの出過ぎを抑えたり、時折リール回転を停止、あるいはラインの巻き戻しや竿先を引いての引き戻しで対処する。

 これらは潮の遅速に合わせて、回転を抑制する場合は遅ければ絞り気味、速ければ解放気味に調整し、巻き(引き)戻しや停止の場合は遅ければ距離や時間を長く、速ければ距離や時間を短くする。また、一流し中での回数も遅ければ多く、速ければ少なくする。

 尚、「止める時間」は、やった事の無い者にとっては「大丈夫か?」と思うくらい長く、その時間は30秒~1分以上になる事もザラにあるし、引き(巻き)戻す距離も5~20m以上と、場合によってはかなりの距離になる。

 ここまで読むと理解してもらえると思うが、「ライン(道糸)の操作で刺しエサが入るタナを変える」事と、「糸フケを極力減らして刺しエサを先行させ、アタリを明確に得る」事がこの釣法の基本になる。その為、張りや巻き(引き)戻しを行っても簡単にタナから仕掛がズレないよう、ハリスに水中ウキを装着する事が多く、より深く入れたい場合はマイナス浮力(重さ)で沈み具合を調整しているようだ。従って、サルカンの有無や大小で沈み具合を調整する「舞鶴方式」や、発砲ウキの大小で浮き具合を調整する「越前方式」とは仕掛けの組み方も違う。
 以上が間人方式に対する私の認識だが、直接現地に行って指導されたワケではなく、インターネットを通じて得た知識なので、ボクの解釈違いにより多少の相違点があるかも知れない点はご容赦いただきたい。


■間人方式のメリット■

 何故この方式を取り入れたのかを問われると、「中~底潮を中心に攻められる」という点と「糸フケが少ない分だけ多層潮に強い」点だと答えたい。

 考えてみると、長年にわたって凝っていた磯のグレ釣り界では「ただ流すのではなく、ハリスを斜めにピンと張り、余分なライン(道糸)は出すな。」と、言われ続けていた。
 グレ釣りのように比較的狙う水深が浅い場合でも表層は風の影響を受けて、グレの居る、あるいは撒きエサにつられて浮上してくる層(=撒きエサが流れて行く先)とは違う流れをしている事が多く、何も考えずにウキの流れに任せていると、撒きエサの流れと刺しエサが流れが同調せず、極端に喰いが悪くなるし、エサ盗りの標的になり易くなる。
 また、グレ(他の魚もほとんどそうだが)は潮上に向かって泳ぎながらエサをエサを取る事が殆どなので、サシエサを先行させて流さないとサシエサを咥えた直後にウキに引かれて違和感が出て、刺しエサを吐き出す事があるので、結果アタリの出が悪くなり、条件悪化で喰いが渋い場合はその傾向がより顕著になる。

 これらを防ぐために、道糸の出をサミングでセーブしつつ、サラシや風を利用してフライフィッシングで言うところのラインメンディングを行い、なるべく撒きエサとサシエサが同調しつつ流れてゆくことを優先する。そして、更に条件が悪くなると、表層での影響を極力減らすためにウキを強制的に沈めて水中帆とし、竿先でアタリを取るようにする。

●最初から沈めるのが目的の00~マイナス負荷のウキ●

これを「沈め探り」と言い、より流れが複雑かつ速い離島の釣りでも有効な釣法になる。これがまさしく間人方式の目指すところと重なっているのだ。

 以下、~その2へと続く
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