中島ブラザーズ ”弟”の「外で遊ぼう!」

近頃は日本海で、ヒラマサを追ってばかり。よって磯釣りや渓流釣りは休止状態ですが…。

シーボーグ 500MJ-AT

2022-06-04 12:30:00 | 船釣りタックル&仕掛、戦略他
 今回は気になっている人も多いかと思われる、新発売の「DAIWA シーボーグ 500MJ-AT」のインプレッションの一回目。まだ届いたばかりで実釣には導入していないから、あくまでも「陸の上からの観点」なのはお許しいただきたい。

●届いたばかり●


■超音波センサー非搭載■

 このモデルはアタリが出るとオートでクラッチが掛かる=フカセクラッチが搭載されているので品番の最後にーATが付いている。
 youtubeなんかを見ていると、このクラッチが付いた、シーボーグZ500FT、Z500MM、500ATを「超音波センサーが付いているからオートでクラッチが掛かる。」と勘違いしている人も居る。しかし、そのセンサーは糸巻プログラムに関与するモノで、それが証拠に「Z」が付かない500FTは普通の糸巻プログラム機だったし、今回のMJ-ATも普通の糸巻プログラム機だ。
 実は、この超音波センサーが入ったICモジュールがクセ者で、よく壊れる。ボク自身も500ATで2回、Z500MMで1回壊れているし、同船者でアウトになっている人も時折見かけるので、全く信用していなかった。
 しかも交換修理が¥50000前後にもなるので、ボクの場合、新品購入した500ATを保証が切れる前に売却して次を購入していたほどだ。
 そんな事までして使用していたのは、このシリーズのフリー回転性能が「使える電動リール」の中ではダントツだったためで、「まずは喰わせてから」でないと、その後の展開は無いワケだから、言わば「苦肉の策」で使用していた次第だ。特にマグシールド・ベアリング非搭載のため、自分で注油&メンテが出来るZ500MMのフリー回転は圧倒的だった。
 とにかく500MJのAT化にあたって、超音波センサーが搭載されなかった点は大歓迎だ.


■手持ち3機の比較■

 完全フカセ用電動リールとしての必須条件は、ボク的には「1にフリー回転の良さ、2にスムースなドラグ、3.が巻き上げスピード」とボクは考えているが、その3つ全てを備えた電動リールを手にした覚えは一度もない。だから「実用には充分だが、何かが欠けて理想ではない」リールを使っているので、いつもモヤモヤしている。

 では、直近では使用率の高い3機種の重量比較から。

●左からZ500MM、500MJ-AT、600MJ●


 重量は、Z500MMが最軽量で、


816g。

次いで600MJが


974g。

一番重いのが500MJ-ATで


1014gもある。

 ボクの場合は通常、ロッドは重い600gオーバーの、マッドバイパー・スティングと組み合わせるので軽いほど助かる。これだけ重いと「何とかならんモノか…。」と、つい思ってしまう。

 補足だが、Z500MMと、つい最近カタログ落ちした500ATの比較をしておく。
 金属パーツが増えたので、30g重くなって500ATは公称840gとなり、210m/分に対して500ATでは230m/分にスピードアップしているが、パーツリストで確認する限り、2機種の構造はほとんど同じだ。最大巻き上げ力はZ500MMの30kgに対して500ATは72kgになっているが、実使用感に違いはないのでデータの基準や取り方が違うのだと思う。
 また、500ATはドラグ力を10kgから13kgに上げている。だが、ボクの苦手なドラグ・フィーリングを生み出す分厚いカーボン・ドラグ・ワッシャーも同一価格品であり、枚数も同じ3枚構成になっているし、周辺パーツの構成も変わらない。手に取ってみてもカーボン・ドラグ・ワッシャーのザラツキ度にも違いを感じないから、実釣時のバージョンアップ感はボク的には実感できていないので、これまた謎だ。


■MJ3兄弟の比較■

 見た目で解るが、500MJ-ATと600MJは、大まかに言えば同一ボディで、ボク自身は所有していないが、ノーマルの500MJも外観は勿論、パーツも含めてほぼ共通であり、兄弟機になる。で、その3兄弟の比較をしてみる。

●左が500MJ-AT、右が600MJ●

●左が600MJ、右が500MJ-AT●

 機械的な能力差の第一は最大スピードだ。500MJ-ATが230m/分で、500MJと600MJが210m/分になる。完全フカセ釣り、特にヒラマサ狙いではハイスピードの方が獲り易いとボクは考えているので、ハイスピード化は大歓迎だし、回収スピードも当然上がって手返しが速くなる点も有難い。

 第二は最大巻き上げ力で、500MJ-ATが90kg、500MJが96kg、600MJが101kgになる。ATはギヤのハイスピード化の影響で落ちているが、実釣に影響は無いだろう。同じギヤ構成でありながら、500MJと600MJに違いが出るのは、巻き糸量を増やす為にスプール軸が細くなったので、恐らく軸付近で計測した結果だと思われる。(自転車のチェーンホイールの小径化と同じ理屈)
 ただ、軸が細くなると「歪んだりしないのか?」と、不安に思うが、今まで完全フカセで100時間使ってトラブルは起こっていない。

●スプール軸の違い(左が500MJ-AT)●


 第三はドラグ力になる。500MJ-ATと500MJがが23kg、600MJが28kgとカタログに掲載されていて、500番台は単価¥600の薄いカーボンドラグワッシャーが5枚構成としている。実は、一つ下位の500Jシリーズも同じ23kgで5枚構成で、こちらは単価¥500の薄いカーボンドラグワッシャーを使用している。その差がどう響くかは判らないが、500Jシリーズを過去に使用した印象では緩め気味に使うと、やや引っ掛かりがあって好ましいフィーリングではなかっただけに心配だ。
 但し、600MJは格上で、単価¥600の薄いカーボンドラグワッシャーが7枚構成になっている。実際、過去に所有したDAIWA製電動リールの中では若干の引っ掛かりはあるものの、一番フィーリングが良い。

 3機種共にスプール回転を抑制するためのメカニカルブレーキがパワーアップされ、強力かつクリック入りでポジションを固定できる「フォールブレーキダイヤル」を装備している。これは落とし込み等、重いオモリを背負わせながら制御をする場合は便利だが、完全フカセ釣りユースでは効き過ぎで、1クリック締めると完全停止し、1クリック緩めると回り過ぎるので、「間は無いんか~い!」と、いつもツッ込みながら慎重にクリックの山?に掛かる位置で留めている。自分で解除する方法を探ろうにも分解が難しい左サイドに配置されているので、簡単にはいかない。500MJ-ATは完全フカセ・ユースであるがために下で記す、落とし込みで便利なハズのクラッチ・オンのスイッチを廃しているのだから、同時にこっちも廃して欲しかったのが本音だ。
 この辺りを知ると、「DAIWAさんには完全フカセ釣りに精通したスタッフが居ないのかな?」と、勘繰ってしまうのだが…。


■フカセクラッチと裏ワザ■

 外観上の、カラーリングとスプール軸径以外で大きな違いは、クラッチ・オンの、スイッチの有無になる。

●左が600MJ、右はスイッチが省かれた500MJ-AT●

 先日までのメイン機であった600MJでも全く問題は無かったが、「新しモン好き」の性格と「最大スピードが上がった」事、それに「よそ見をしていた際の保険」が導入のポイントだった。だが、クラッチ・オンの手動スイッチが無いのは痛い。
 潮速が速い時の送り出しはサッサと出したいので、フル回転でラインを手繰る事が多いのだが、この際の誤作動でクラッチがオンになる事を嫌って、ボクは感度を20台に下げていたのだが、そうなると、弱いアタリが捉えられないので、そんなアタリが出ると手動で対応していた。
 メーカーの説明では「ハンドルを回してオンにする」と記しているが、ボクの場合は左の指でスプールを押さえてから右手指でクラッチをオンにして、次いでアクセル・レバーを入れるのがアタリが出た際の、一連の流れとしている。ハンドルに手をやるのは導線から外れるので、とっさの時に迷うのは目に見えているのだ。
 そこで、「あの裏ワザが使えるかも?」と購入前から考えていたのが、クラッチをオフにするサム・バーを持ち上げる方法で、到着後試してみたが、これが使える事が解って一安心した。

●サム・バー下に親指を入れて持ち上げる●

 メーカーとしては電動でクラッチを上げる電動カムを収納せねばならず、スイッチを配置するスペースが無かったのが廃止の理由かも知れないが、この裏ワザが可能ならサム・バーの縁をもう少し延長して、上げ易くする等の対策が低コストで出来たハズだ。その点が惜しまれる。


 と、ここまで長々と机上論を記してきたが、その範囲で3兄弟をセレクトするのなら、玄達瀬釣行を視野に入れ、大型狙いの取り込み重視であれば10号が300m近く巻けてドラグ性能の良い600MJ。但馬海岸~白石グリ、鷹巣沖での完全フカセ釣り専用なら、フカセクラッチ搭載の500MJ-AT。落とし込みと兼用するのなら、クラッチ・オンの手動スイッチが付いた500MJといったところかな?…。
 だがコロナ禍による電子部品不足の影響か、リールの流通量が減っている。昨年5月発売の600MJだと、通販サイトでの動きをみていると、販売開始直後を逃すと、年間で2~3回程度しかメーカーから出荷されていないように思える。
 「適正価格で販売されていれば、買い時」と言っておくが、何しろ高額過ぎるのが難点だ。

 後は実戦投入を待つのみだが、実際の使用感等のレポートは、この先掲載予定の実釣編でお伝えする。
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